連載:平野歩夢「Two-Sideways 二刀流」

平野歩夢が挑んだ二刀流 技術を失いやすいスケートボード

篠崎公亮

【Photo: Kosuke Shinozaki】

 スノーボード・ハーフパイプ競技は、全長180m、斜度18度、壁の高さ約7mの半円状の斜面を滑り、計5、6回ほどのトリックで採点される。採点基準は主に3つ。高さ、難易度、完成度。空中での姿勢や着地の滑らかさも重要視される。

 一方、スケートボード・パーク競技は、ボウルを40秒間滑り、約10回ほど行うトリックの完成度、難易度で採点される。ボウルの形状は会場ごとに異なるので、その特徴を短時間で把握し、対応する力も求められる。

 ルールだけでもこれほど違う2つの競技に、同時に挑んだ平野歩夢。素人目にはかなり似ているように見えるそれぞれの競技の違いと共通点、二刀流ならではの難しさを、平野自身の言葉で解説してもらった。
(本稿は2021年7月に収録したインタビューと平野歩夢のフォトエッセイ『Two-Sideways 二刀流』を元に加筆・修正を加えたものです)

遊びではないからこその難しさ

 夏のスケートボードと冬のスノーボード。平野歩夢は、史上初めて2つの競技のオリンピアンになった。平野以前に、これまでトップ選手として両立できているライダーが1人もいないという事実が、2つの競技がまったく異なることを示唆している。

「遊びで両方やっている人はたくさんいるし、似ている部分もあります。ただ2つを同時にやるだけであれば、難しいことではないと思います。俺の場合は、遊びでやってしまうと到達できない場所を狙っているからこそ、感じている難しさがあるのだと思います。これまでスノーボードに対して取り組んできたような姿勢で、スケートボード(以下スケート)にも取り組まなければトップレベルにはなれない。これって相当キツいと思うんですよ」

スケートボードの方が技術を失いやすい

【写真:ロイター/アフロ】

 前人未到の領域に挑む者だけが体感する苦労。しかし、平野はそれすらも「自分だけが体験できること」という思いで、キツい練習をプッシュする原動力にしてきた。日々の練習では、どのような違いを感じていたのだろうか。

「スノーボードの場合は練習できる場所が限られるから、1日に滑れる本数が決まってきます。スケートは滑ろうと思えば、1日中ずっと続けられてしまう。そう考えるとスノーボードの方が練習に集中しやすいですね。スノーボードは練習で転けることは滅多にないけど、スケートはほとんどが失敗の連続。1日にベストな滑りが1〜3本くらいあったらいい感じです。俺に限らずですが、スケートはいくら得意な技があっても絶対に失敗の方が多い。スノーボードは本当に自分が得意な技だったら10回やったら10回立てちゃう。スケートの方が繊細な部分があります。スケートボードってスノーボードに比べると、技術を失いやすいという印象もあるんですよ。スノーから2年くらい離れた時期もあったんですが、わりとすぐに戻ってこられましたが、スケートを1ヶ月休むのは考えられない。やってきたこと、できたことが離れやすい印象です。毎日イヤでも練習しなきゃ、という気持ちはスケートから学んでスノーにも生きた大きな要素だと思っています」

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著者プロフィール

篠崎公亮

1980年生まれ。スポーツ庁のナショナルトレーニングセンター(ハーフパイプ)強化拠点施設のディレクターで、平野選手の会社のマーケティングディレクターも兼任。平野選手のドキュメンタリーフォトエッセイ『Two-Sideways 二刀流』(KADOKAWA)では写真撮影も手掛けている。

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