連載:平野歩夢「Two-Sideways 二刀流」

平野歩夢、15年間で起きた転機 ブレイクスルーの瞬間は?

篠崎公亮
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二刀流挑戦が平野のチャレンジャー精神を呼び覚ましたという 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 平野歩夢を一番近い場所から活躍を見続けてきた篠埼さん。初めてのオリンピック出場となったソチ大会の舞台裏を伺った<前編>に続き、後編はこの15年で起きた転機について振り返ってもらった。
(本稿は2021年7月に収録したインタビューと平野歩夢のフォトエッセイ『Two-Sideways 二刀流』をもとに加筆・修正を加えたものです)

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二刀流挑戦の意図は立場と視点を変えること

 ある程度のレベルでやっていれば、年齢を重ねることによってアスリートは立場がどんどん変わっていきます。歩夢の場合、初めての出場したソチオリンピックは、全力で目の前のことをやっているうちにメダルを取っちゃった感覚だったと思います。本人は計算してどうこう、ではなかったはず。しかし、以降は勝つために必要なことを意識的にひたすら積み上げねばならない立場になりました。

 しかし、スケートボードという未知のものに向き合った3年間があったことで、新しい挑戦を通して立場と視点を変えることができた。最初の年は結果が出なくて当たり前だよねと受け入れつつ、そこで見えてくるものがきっとあるはず、というのが二刀流挑戦の意図だったんです。

 スケートへの挑戦が歩夢の中のチャレンジャー精神を呼び覚ましてくれたわけです。常に追われ続けて、1位に居続けなきゃいけない、そんな状況って苦しいじゃないですか。スノーボードも年々新しい技や若いライダーが出てきたり、その変化を追いかけ続けなきゃいけない苦しさは当然あるとは思うけれど、その状況を楽しめる余裕みたいなものを二刀流挑戦を経て得られたのではないでしょうか。
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著者プロフィール

1980年生まれ。スポーツ庁のナショナルトレーニングセンター(ハーフパイプ)強化拠点施設のディレクターで、平野選手の会社のマーケティングディレクターも兼任。平野選手のドキュメンタリーフォトエッセイ『Two-Sideways 二刀流』(KADOKAWA)では写真撮影も手掛けている。

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