4年越しの大舞台で、トリプルアクセルを決めた樋口新葉 フリー『ライオンキング』では完璧な滑りを目指す

沢田聡子

五輪では5人目となる、トリプルアクセルの成功

SPは5位。16日夜のフリーで巻き返しを図り、メダル獲得を果たせるか注目だ 【Photo by Matthew Stockman/Getty Image】

 トリプルアクセルの成功を目指す、個人戦のショートプログラム。6分間練習で、樋口はなかなかトリプルアクセルを跳ぶことができなかったが、練習終了直前にようやく1本決めることができた。

「(6分間練習では)『一回跳べればいい』と思っていたので。(トリプルアクセルに入る軌道が)ちょっと人とかぶっちゃったりということが多くて、その中でも集中切らさず、最後に1本跳べたのは良かったなと思います」

 樋口は、『Your Song』に乗り演技を開始。トリプルアクセルの軌道に入り、見事に決めて1.71の加点を得る。結果的に、この個人戦女子ショートでプラス評価のトリプルアクセルを跳んだのは、樋口だけだった。その後も大きなミスなく演技をまとめたが、採点では3回転ルッツ+3トウループのセカンドジャンプに回転不足がつき、また3回転フリップも4分の1回転不足とエッジエラーで減点され、スピンもひとつレベルをとりこぼすなど、細かいミスが出る。結果的に得点は団体戦のショートより少し低い73.51となり、樋口は5位発進となった。

 ミックスゾーンで「トリプルアクセルの成功、おめでとうございます」と声をかけられ、樋口は「アクセル跳ぶことが目標だったので、本当に挑戦できてよかったなという気持ちでいます」と喜びを表している。しかし、点数について問われると「全然よくない」とはっきり答えた。

「もったいないミスをしてしまったので、アクセル跳べたことよりも悔しいです」

「すごく力を入れて跳ばなくても跳べるようになってきた」

――オリンピックでトリプルアクセルを決めた女子選手としては、5人目です

「気にしたことがなかったんですけど、でも、10人以内に入れてよかったなと思います」

――オリンピックで決めたアクセルを自己採点すると

「スケートをやっている中での、一つの目標だった。達成できたことがすごく嬉しいので点数とかにはできないですけど、今後に生きると思いました」

「軽々と跳んでいる感じで、全然前と違うトリプルアクセルだった」と言われると、樋口は「そうですね、跳べるようになってから大分経つのですが、すごく力を入れて跳ばなくても跳べるようになってきたので」と答えている。

「その部分が、ショートでアクセル跳ぶためにすごく練習したことというか。そういうふうに跳べるように、練習してきました」

 団体戦で意識したことを継続しており、トリプルアクセルでもコンパクトに跳ぶように意識したという。

すべてのジャンプを、クリーンに

 ただ、樋口はトリプルアクセル以外の部分では悔いを残している。

「とりあえずジャンプは、見た目は全部きれいに降りられたと思うのですが…団体戦ではフリップに(エッジエラーが)何もつかなかったけど、今日は(軽度のエッジエラーの)アテンションがついちゃったので。毎回同じようにできないという悔しさと、スピンでもいつも絶対に落とさないところでレベルが落ちてしまったので。ちょっと焦るというか、頭で考えて滑り過ぎちゃったのかなと思います」

 トリプルアクセルを成功させたにもかかわらず演技後にガッツポーズが出なかったのは、他の部分で納得がいかなかったからだという。その落胆と、トリプルアクセルを成功させた喜びが、演技後の樋口の中で入り混じっていた。

「フリップで、降り方がちょっと“カクッ”ってなっちゃったので、そこがもう全然だめで…でも、(トリプル)アクセル降りられたことはすごく嬉しかった」

――率直に、トリプルアクセルが決まった時はどんな気持ちでしたか

「今日の朝(の練習)もすごくきれいに降りられたので、ちゃんときれいに降りるつもりで跳んでいたので、あんまりそんなに『あ、跳べた』って感じではなかった。3回転+3回転など、その後の滑りに影響しないように『落ち着いて』ということを考えていました」

 樋口は、トリプルアクセルだけでなく他の部分も完璧に滑り切ることを目指し、フリーに臨む。

「フリーでも(トリプル)アクセルを入れるのですが、アクセルだけではなく、今日みたいなとりこぼしがないようにすること。最後まで集中を切らさずに落ち着いて、でも思い切り滑りたいなというふうに思います」

 勇壮で、深い情感もあるフリー『ライオンキング』は、4年間でジャンプだけではなくスケーティングも磨いてきた樋口の集大成となるプログラムだ。目指してきた夢の大舞台で、樋口はトリプルアクセルを含めたすべてを、クリーンに滑り切ることを目指す。

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著者プロフィール

沢田聡子

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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