女子団体追い抜き、連覇目前で乱れた隊列 「攻めた末の銀」を勅使川原郁恵が分析

C-NAPS編集部

美しい隊列とチームワークを世界にアピールした日本

日本の一糸乱れぬ隊列は世界から称賛を浴びた。血のにじむような練習を重ねてきた努力の結晶だ 【写真は共同】

 連覇を逃した点は非常に残念ですが、日本の滑りに関しては本当に称賛に値すると思います。「世界一美しいと称される隊列」は、見事の一言でした。特に必見だったのはスタートです。他のチームは横に並んでいたり、少し位置をずらしたりしてスタートしますが、日本は縦に3人が綺麗に並ぶ形で滑り始めます。足を動かし始めるタイミングや速度が本当にそろっていて、どの試合でもスタートダッシュをしっかりと決めていました。

 隊列の美しさは練習の賜物です。選手それぞれのタイミングを合わせるのはもちろんのこと、メンタルや体調も整っていないとあれだけ綺麗に動きがそろうことはありません。3選手全員が以心伝心で、お互いの動きを理解していましたし、お互いを高め合いながら切磋琢磨して練習してきたのが見て取れました。

 個人戦での自分の速さだけを追求する滑りとは異なり、味方と息を合わせて滑るのは体力、精神の両面でより消耗が激しいと言えます。より頭も使わなければいけませんし、スピード上げたいところで味方の選手と噛み合わないと精神的なダメージを受けることもあります。そうした繊細な種目である団体追い抜きで、これほどまでに高い完成度を見せてくれたことにももっと注目してほしいと思っています。

1000mやマススタートなど残りの種目での活躍に期待

団体追い抜きのメンバーからは、1000mに高木美帆(中)、マススタートには高木菜那(右)が出場する 【写真は共同】

 スピードスケートはまだまだメダルが期待される種目が残っています。17日には高木美帆選手と小平奈緒選手(相沢病院)が出場する女子1000メートルもあります。団体追い抜きの銀メダルで日本女子単独最多となる6個目のメダルを獲得した高木美帆選手には、ぜひ自身の記録の更新に期待したいですね。彼女は計5種目の出場となりますが、連戦の疲労に関しても心配ないでしょう。日頃からそうしたハードな日程をこなせるだけの練習を積んでいますので、次のレースでも快調な滑りを見せてほしいですね。

 500メートルで不本意な結果になってしまった小平選手にも注目です。1000メートルではメダルの有無にかかわらず、悔いを残さない全力の滑りを期待しています。

 今回、転倒してしまった高木菜那選手もマススタートがあります。連覇が期待される種目なのでプレッシャーもかかるとは思いますが、気持ちを切り替えてスタートラインに立ち、最後は笑顔で大会を終えてほしいですね。

勅使川原郁恵(てしがわらいくえ)

【写真:スポーツビズ】

1978年10月27日生まれ、岐阜県出身。中学2年で全日本選手権に総合優勝し、高校1年から5連覇を達成。また、世界ショートトラックジュニア選手権においては日本人として唯一、総合優勝を果たす。五輪には長野、ソルトレイク、トリノと3大会連続で出場し、個人・リレーで入賞するなど長く日本の中心選手として活躍した。引退後は、ショートトラックの解説・リポーターをはじめ、さまざまなスポーツに挑戦し、その分野で資格を取得。特にテレビ出演をきっかけにウォーキングでも認知度を高め、年間多数のイベントに出演する。現在は22もの資格を武器にヘルスケアスペシャリストとして幅広く活動中。

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著者プロフィール

ビジネスとユーザーを有意的な形で結びつける、“コンテキスト思考”のコンテンツマーケティングを提供するプロフェッショナル集団。“コンテンツ傾倒”によって情報が氾濫し、差別化不全が顕在化している昨今において、コンテンツの背景にあるストーリーやメッセージ、コンセプトを重視。前後関係や文脈を意味するコンテキストを意識したコンテンツの提供に本質的な価値を見いだしている。

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