大ジャンプの応酬も…小林陵侑二冠にあと一歩 残すは団体戦、日の丸飛行隊は有終の美なるか
ノーマルヒルに続き、ラージヒルでも銀メダルを獲得した小林陵侑 【写真は共同】
五輪史上4人目の快挙にも、飄々と挑む
前日の予選でも「(決勝が)楽しみですね」など、大半が短い回答に終始した。しかし、ラージヒルにジャンプ台が変わったことについて聞かれると「楽しいっす、でかいんで」と語り、もっと高く、遠くへ飛びたいという思いは感じられた。
迎えた当日、直前練習でも風にうまくのって136.5メートルの大ジャンプを決め、コーチ陣もうなずいた。しかし本人に派手なアクションはなくいつも通りのクールな表情を見せている。そして迎えた1本目、風はほぼない微風の状態でこれ以上飛ぶと危険とされるヒルサイズ140メートルを超える142メートルの最長不倒。圧巻のパフォーマンスを見せ、右手で握りこぶしを作り力強く胸を叩いた。1本目を終えてトップにつけたが、2人前に飛んでいたリンビクも、同じくヒルサイズを超える140.5メートルを飛んでおり、その差は2.2点という接戦になっていた。
徐々に敗北を実感
そして小林陵侑の2本目、飛び出しの高さはリンビクと互角の素晴らしいテークオフだった。どこまで伸ばせるかという期待もあったが、記録は138メートル。兄の小林潤志郎のほかにも、中村直幹、佐藤幸椰と共に出場していた選手たちが駆け寄り、抱き合って結果を待つもわずかに及ばず。仲間からは「あーっ」という声が聞こえたが、本人の表情に落胆の様子はなかった。
「空中でばたついた気がしていたが、自分のできることはできた」。着地の瞬間、1本目同様にガッツポーズを見せたことについては、「(優勝に)届いてないだろうなと思ったんですがうれしかったのでしました」と、結果よりも自身の納得がいくパフォーマンスを出せたことに、満足感を示した。ただ、時間がたつと心境に変化が出たのか「難しいですね。金メダルを逃したことによる悔しい気持ちも……。相手選手もいいジャンプをしていたので負けました」と敗戦の悔しさをかみ締めた。