北京での初白星は尊敬する“チーム・ジョーンズ”から ロコ・ソラーレの強さは、負けから学ぶ姿勢にあり

沢田聡子

武器である、鈴木と夕梨花のスイープを生かす

強豪カナダ相手に8-5で勝利を収め、試合後に笑顔で手を振る鈴木夕湖(左)らロコ・ソラーレの4人 【写真は共同】

 平昌五輪銅メダリストであるカーリング女子日本代表、ロコ・ソラーレの北京五輪は、10日から始まった。初戦の対スウェーデン戦では5-8で敗れ、1次リーグは黒星スタートとなっている。

 ただ、北海道銀行との熾烈(しれつ)な競り合いとなった日本代表決定戦、さらには緊張感が高かった北京五輪世界最終予選を勝ち抜いてきたロコ・ソラーレは、敗北から学ぶ強さを身につけている。チームをけん引するスキップ・藤沢五月は、「昨日のアイスの反省、どういうふうにアイスに立つかをしっかりみんなで確認してこの試合に臨めたのが一番良かった」と振り返る。

「(10日の対スウェーデン戦で)ミスの癖というのは全体的にあったので、それにまず気をつけること。あとはどちらかというとスイープが良く効く氷で、私たちの強みがスイープという部分もひとつあるので、それを生かせるようにしっかり投げの、私の幅どりやショットの選択をやろうと話をしました」

――スイープを生かした試合だったが、他の3人についての評価は

「私はみんなの投げを見るポジションにあるのですが、みんな投げもすごく安定してきました。ただそれよりも氷の上で投げる前のコミュニケーション、どういうところに気をつけなければいけないかということを話してからしっかり投げたということが昨日の試合よりも一段・二段良くなった分、ショットの成功率も上がったのかなと思います」

 ロコ・ソラーレの武器であるリードの吉田夕梨花とセカンドの鈴木夕湖による力強いスイープを生かす戦略は、2014年ソチ五輪金メダリストであり世界ランク5位の強豪、カナダに対しても有効だった。「このアイスは、私と夕湖さんがすごく使えるアイス」(夕梨花)「ありがたいことに、すごくスイープが効くアイス」(鈴木)と、二人とも国家水泳センターの氷に手応えを感じている。

「いつも通り」がロコ・ソラーレの強さ

カナダ戦の第8エンドで指示を出す吉田知那美(中央) 【写真は共同】

 ロコ・ソラーレはカナダ相手に、第5エンドまでの前半で3度のスチール(不利な先攻のエンドで得点すること)を決めた。また第7エンドでは、藤沢が最後の1投でカナダのナンバーワンストーンを押し出し、日本のストーンを中心付近に残して貴重な2点を得ている。

 試合後、ミックスゾーンで「第7エンドで藤沢さんが最後の1投をする前、どういった話し合いをしたのか」と問われた鈴木は「あれは、いつも通りですね」と答えている。

「コミュニケーションをいつも通りとって、いつも通りにさっちゃん(藤沢)が投げてくれて、パニックにならないでストーンを運べたことがよかったです。いつも通りが大事でした」

 強豪のカナダに対しても自分たちの戦いぶりを貫く強さを見せたロコ・ソラーレは、最終的には8-5というスコアでカナダを下した。

 藤沢が「今日の勝利があるのも、昨日の負けがあるから」と言えば、鈴木も前日の敗戦が糧になったことを口にしている。

「昨日の反省点と、昨日良かったところもたくさんあったので、良かったところと反省をしっかり生かしてやれた試合になったと思います」

 また、サードの吉田知那美も「昨日の敗戦をしっかりと私たちの力にできた試合」と振り返った。

「このオリンピックでは負けることも、最後に勝ち切るために大切なことだと思うので。しっかりと負けを自分たちのものにできた」

1/2ページ

著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

新着記事

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント