カップル競技強化が実を結んだフィギュア団体の銅 ジュニア世代の育成が今後の課題に

沢田聡子

ペア、アイスダンスでの飛躍が勝因に

カップル競技での躍進が日本の団体史上初のメダル獲得に貢献した 【写真は共同】

 五輪で団体銅メダルを獲得した日本は、真のフィギュアスケート大国となる第一歩を踏み出した。

 2014年ソチ五輪で初めて正式種目となったフィギュアスケート団体戦で、ソチ、2018年平昌五輪と二大会続けて5位だった日本。今回の北京五輪で3位となり、悲願であるメダル獲得を果たした。

 成長著しいペアの三浦璃来/木原龍一は、ショートプログラム4位、フリー2位と健闘してチームに貢献した。

「少しでも日本の力になればいいとしか思っていなかったので、今すごく驚いています」(三浦)

「(練習拠点の)トロントのオークビルでとにかく数をこなしてきたので、やってきたこと、自分たちが持っているものに対してものすごく自信を持っていた。本当にそれが今回の試合でも、すごく助けになったかなと思います」(木原)

 ソチ五輪・平昌五輪にはそれぞれ別のパートナーと出場している木原は「やっぱり過去二大会は“出させていただいている”とものすごく感じていて」と振り返っている。

「本当に過去二大会のチームメイトに申し訳ない気持ちはすごくあったので、今回ショートは少し力になれなかった部分もあったかもしれないですけれども、フリーを終えて9点とれたのは嬉しいですし、この8年間悔しかった思いが少しずつ晴らせたかなと思います」(木原)

 またアイスダンスで、リズムダンス7位・フリーダンス5位という成績だった小松原美里/小松原尊(ティム・コレト)組の美里は、謙虚に喜びを語っている。

「個人的にはメダルなんて全然届かないものだったけれど、チームのみんなのおかげでこういう経験ができていることを光栄に思います」(小松原美里)

みんなでとったメダルの価値

小松原美里は「個人的にはメダルなんて全然届かないものだった」と銅メダル獲得に「みんなのおかげ」と感慨深げ 【写真は共同】

 団体戦で最初に行われた男子ショートでは好演技をみせた宇野昌磨が2位に入り、日本はいいスタートを切った。男子フリーでは、鍵山優真が圧倒的な演技でトップに。女子ショートでは樋口新葉が、女子フリーでは坂本花織がそれぞれミスをしない演技を披露して2位に入り、強さを見せている。

 団体戦の最後に行われた女子フリーで滑った坂本は、深いエッジワークと飛距離のある大きなジャンプを披露、女性の強さを表現するプログラムを滑り切った。

「自分が滑る前の時点でほぼメダルが確定していたので、本当に後はかっこよく…やっぱりメダリストになりたかったので、しっかりノーミスで締めようと思ってやりました」(坂本)

 メダリストになったことについて「普通に嬉しすぎる。みんなでとれたっていうのが、さらに嬉しいです」と喜びを表現した坂本は、4年前の平昌五輪でも団体に出場している。

「4年前は本当にジタバタして、最初のジャンプでまずミスをしてしまっていたので、もう後の3分半ぐらいずっと頭がパニックで、何をやっているかまったく分からないまま終わった。やっぱり日本にあまり貢献できなかったのがすごく悔しくて、今年はこうやって最後締めとしてノーミスで終えることができたので、4年間頑張ってよかったなと思います」(坂本)

 平昌五輪からの4年間での自らの成長を感じている坂本は、チームジャパンについても「みんなが積み上げてきたものが成果となってつながって、本当によかったな」と語っている。

「それぞれがもっと上を目指して、氷上だけじゃなくて陸上もしっかりトレーニングをしたり、結果につながることをしっかりこの4年間みんながやってきたので、その結果がこうやって順位として表れて。本当に日本はどんどん上がっているなってすごく感じるし、まだまだ向上している途中だと思うので、もっともっとチームジャパンのみんなで力を合わせて、頑張っていきたいなと思っています」(坂本)

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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