【フィギュアスケート】北京五輪・女子シングル|強豪ロシア勢に坂本花織、樋口新葉、河辺愛菜が挑む

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【(C)Getty Images】

北京五輪日本代表に坂本花織、樋口新葉、河辺愛菜が選ばれた。2010年バンクーバー五輪銀メダルの浅田真央さん以来、日本女子が表彰台を目指す。

◆坂本花織:全日本女王として2大会連続のオリンピックへ

坂本は新年早々、アイスショーやインカレ(日本学生選手権)出場と、ハードスケジュールをこなしてきた。しかし、実践を重ねるごとに強くなっていくのが坂本の強み。インカレでは初優勝を飾り、北京五輪に向けて弾みをつけた。

3回転アクセルや4回転ジャンプは構成に入れていないが、それに匹敵する高さと幅のあるジャンプを持つ。また、ショートではコンビネーションジャンプを後半に配置し、基礎点の上積みを狙う。今季は、グランプリシリーズのアメリカ大会・NHK杯、全日本選手権でジャンプの転倒はゼロと、安定感を見せており、精神的な強さも感じられる。

ショートプログラムは「映画『グラディエーター』より」、フリープログラムは「WOMAN」で、どちらもブノワ・リショー氏の振り付けだ。シーズン序盤は特にフリーに苦戦していたが、試合をこなすたびに完成度を高めていった。前回の平昌大会は6位入賞。全日本女王として臨む今大会では、平昌五輪以上の成績を狙う。

◆樋口新葉:3回転アクセルで表彰台を狙う

平昌五輪代表を逃し、この4年間で3回転アクセル習得に励んできた。2020年四大陸選手権から試合に投入している。成功率は徐々に上がり、今季はグランプリシリーズのカナダ大会・フランス大会、全日本選手権で成功させた。

全日本選手権では確実さを求め、ショートでは3回転アクセルを回避。しかし、北京五輪ではショートから構成に入れる可能性もある。女子シングルの現行のルールでは、ショートで4回転ジャンプを跳ぶことはできないが、3回転アクセルは入れることができる。ショートから構成に組み込めば、大きな得点源になるだろう。

ショートは「ユアソング」、フリーは「映画『ライオンキング』より」でどちらもシェイ=リーン・ボーン氏の振り付けとなる。特にフリーのライオンキングのステップは彼女の見せ場であり、グランプリシリーズ2大会と全日本選手権ではレベル4を獲得している。念願の五輪という舞台で、パワフルで情熱的なスケートを見せてほしい。

◆河辺愛菜:シニア2シーズン目で夢の大舞台に挑む

シニア2年目で、五輪イヤーに大きく飛躍した河辺の代名詞は3回転アクセル。ジュニア時代にはすでに習得しており、全日本ジュニア選手権で見事成功させ、優勝を手繰りよせた。今季のグランプリシリーズでは、ショートとフリーで3回転アクセルをそろえることができなかったが、全日本選手権というプレッシャーのかかる大一番ではショート、フリーともに成功させた。

プログラムはローリー・ニコル氏の振り付けで、ショートが「『四季』より 冬」、フリーが「MIRACLE」だ。フリーは昨季から継続している曲で、滑り込んでいるプログラムである。グランプリシリーズ・カナダ大会でショートは最下位だったが、フリーで巻き返し9位に順位を上げている。

その後もショートではNHK杯と全日本選手権で70点超えと高得点をマークした。試合を重ねるごとにプログラムの完成度も高まっている。急成長を遂げている河辺。勢いそのままに、北京五輪という大舞台に挑む。

◆ライバルは最強ロシア勢、新たなスターも誕生

ライバルとなってくるのは、やはりロシア勢だ。今大会もROC(ロシア・オリンピック委員会)としての参加だが、金メダル有力候補の選手たちがそろう。

15歳のカミワ・ワリエワの快進撃が止まらない。今季はここまで負けなし、ショートとフリーで世界歴代得点をたたき出した。3回転アクセルと2種類の4回転ジャンプを持ち、高難度ジャンプでも着氷姿勢が美しく、見ている者を惹きつける。また、スピン・ステップでの評価も高く、グランプリシリーズ 2大会、欧州選手権では全てレベル4を取った。北京五輪では自身の持つ世界歴代得点を更新できるか、注目が集まる。

アレクサンドラ・トゥルソワはショートから3回転アクセルを投入しているが、まだ成功率が高いとは言えない。ここで決まればショートで大きくリードすることも可能。欧州選手権のフリーでは、4本の4回転ジャンプを構成に入れた超高難度プログラムで臨んだ。もちろんリスクは高くなるが、ジャンプを全てそろえれば金メダルに大きく近づくことだろう。

アンナ・シェルバコワもまた、高難度の4回転ジャンプを跳ぶことができ、柔軟性のあるスケーティングと指先まで行き届いた表現には高い評価を受ける。昨季までロシア選手権3連覇と、ここ数年ロシア女子をけん引してきた。今季はワリエワにロシア女王の座を譲る形となったが、ロシア選手権3位&欧州選手権2位という結果で代表入りを決めた。

女子のレベルは年々高くなっており、小さなミスも命とりとなる。ショート、フリーで完成の高い演技が求められる。北京五輪女子シングルはショートが2月15日(火)、フリーが17日(木)に行われる。

文=石川千早弥
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