36歳にして最多安打・盗塁王の2冠に。荻野貴司の打撃に見られる「進化」とは?
【撮影:丹羽海凪】
故障を克服し、ついに自身初の全試合出場を達成
しかし、近年は故障離脱が減少し、2021年には143試合全てで1番打者として出場。ついにその高い能力を発揮できるようになりつつある荻野貴選手だが、故障が続いていた時期に比べ、選手としての特性にも少なからず変化がみられることにお気づきだろうか。
今回は、そんな荻野貴選手の年度別成績や各種指標に加えて、盗塁成功率や内野安打数といった数字を紹介。それらの情報から見えてくる、荻野貴選手の変化について見ていきたい。
長年ケガに苦しめられてきたが、近年はその傾向に変化が見られる
【(C)PLM】
しかし、背番号を「0」に変更した2017年から、徐々に風向きが変わり始める。同年は序盤戦こそ不振で二軍調整を強いられたものの、一軍復帰後は好調を維持してスタメンを奪回。プロ入り後初めて、故障による離脱を経験せずにシーズンを戦い抜いた。
続く2018年には開幕から1番打者に定着したものの、7月の打席でスイング中にボールを右手に当て、残りのシーズンを棒に振ることに。それでも、故障が癒えた2019年には再び一番打者として活躍。腰痛による短期間の離脱こそあったものの、自身初の規定打席に到達し、打率.315という好成績を記録。ベストナインとゴールデングラブ賞もそれぞれ初受賞する、充実のシーズンを送った。
翌2020年も引き続きトップバッターとして躍動したが、故障やコロナウイルス感染の影響で出場試合数は減少。捲土重来を期して臨んだ2021年、ついにキャリア初となる全試合出場を果たし、それぞれ自身初の最多安打と盗塁王も受賞。2年ぶり2度目となるゴールデングラブ賞も受賞し、不動の主軸として力強くチームをけん引した。
元々は三振も四球も少ないタイプだったが、近年はより指標が良化
【(C)PLM】
また、荻野貴選手は四球は多くないが三振も少ない、いわゆる早打ちの選手でもある。現在に至るまでその傾向は続いており、三振率は12シーズン中7度にわたって10%未満と、かなり優れた水準にある。俊足の荻野貴選手は相手守備にプレッシャーをかけられる存在でもあるため、三振の少なさは、選手としての適性にもマッチしていると考えられる。
先述した三振も四球も少ないという特性はBB/Kにも影響しており、BB/Kが1.00を超える、すなわち三振数を四球数が上回った年も3度存在。そんな中でも、近年は四球が増加したこともあり、3年続けて.710以上とBB/Kが向上している。こうした点からも、荻野貴選手の打者としての成熟ぶりがうかがえるところだ。
加えて、荻野貴選手はバットを短く持つスタイルながら、2019年と2021年に2桁本塁打を記録するなど、近年は長打力も増しつつある。出塁率に加えて長打率も上がったことにより、打者としての能力を示す指標となるOPSも改善。2015年から2017年までは3年連続でOPSが.600台だったが、2019年以降は3年連続で.750を超え、規定打席に到達した2019年と2021年は、いずれも.800前後の数字を記録している。
ここからは、荻野貴選手が記録した盗塁数と盗塁成功率、内野安打の割合を紹介していく。続きは「パ・リーグ.com」で。
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