独特の嗅覚を持つ、こぼれ球ハンター 「リバウンドは僕のアドバンテージ」 #11ザック・モーア

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今季新たに加わった#11ザック・モーアは、アメリカ人の父と日本人の母のもと、アメリカで生まれ育つ。バスケットボールは、5歳のころに始めた。

「親がたくさんのスポーツをさせたがったのでバスケ、野球、サッカー、アメリカンフットボールをやっていました。そのなかで好きだったのは、バスケと野球。中学7年生くらいでバスケか野球を選ばないといけなくなって、より好きだったバスケを選びました。バスケはただ楽しかったし、自分で言うのもなんだけど(笑)上手だったんです。それからもたくさん練習して、すごく頑張って、やっとプロになれたのでうれしかった」

アメリカの名門大学でのプレー経験を持つ彼は、次にキャリアを築く場として大阪エヴェッサを選んだ。

「高校のときに米倉貴之という、bjリーグの大分愛媛ヒートデビルズなどでプレーしていたプロ選手と出会ったんです。僕がクラブのコーチとワークアウトしている場に彼もいて、日本人だから僕がちょっと話をしました。そうしたらヨネさんが僕に『大学を卒業したら手伝うから、連絡して』と言ってくれたんです。彼が僕のエージェントを紹介してくれて、エージェントが大阪やほかのチームに僕のプレー映像を送りました。そのなかでエヴェッサが、いちばん最初に連絡をくれたんです。エヴェッサはクラブがプロフェッショナルだし、交渉の過程でも僕のことが本当にほしいと伝わった。僕もエヴェッサに行きたかったので、すぐにサインしました」

同年代の選手が多く、英語が通じる環境でもあり、すぐチームに溶け込んだ。

「チームメイトはみんなすごく優しいし、仲良くしています。ロッカールームでもみんな笑っていて、楽しいんですよ。最初から、すごくいい印象でした。日本語も頑張っています。もともと日本語は多少できていたけど、アメリカに住んでいたときは練習しないから、ちょっと下手になりました。大阪に着いたころは全然ダメだったけど、日本語を話したいと思い、いつもチームメイトと頑張って日本語で話しています。少しずつ、上手くなっていますね」

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ちなみにこのインタビューも、多少は通訳の手助けを借りながらも、ほとんどは日本語で受け答えした。そんなザックは選手としての自らのストロングポイントをこう語る。

「Bリーグのなかで同じポジションの選手と比べて、大きい(198cm)のはアドバンテージ。バスケIQも高いと思う。どこに味方の選手がいるか、どういうことでチームのためになるかをつねに考えてプレーしています。スコアしていないときでも、どうやってチームのためになるかを考えている。今はそれが、いちばんのスキルだと思います」

ルーキーながら開幕戦から起用され、10月17日の島根スサノオマジック戦では22分出場して8得点7リバウンドと、新人らしからぬ活躍でチームの勝利に貢献。奪ったリバウンドのうち5つがオフェンスリバウンドである点に、彼のプレーヤーとしての特徴が表れている。

「リバウンドは通用していると感じています。とくにオフェンスリバウンド。僕が日本に来る前に、多くの人はリバウンドを期待していなかったと思う。だけど日本で実際にプレーしてみて、同じポジションの選手に対してほとんどサイズで上回っているので、そのアドバンテージが生かせています。ディフェンスでもリバウンドを獲っていって、より頼られる選手になりたい」

ゴール下のリバウンド争いに加わっての奪取は、言わずもがな。不思議なことにリングに弾かれたボールが、ひとり離れた場所にポジションを取るザックのもとに吸い込まれる場面をたびたび目にする。リバウンドを獲るために特別な訓練をしているのか、あるいはリバウンドに対するシックスセンスの持ち主なのか。

「結論から言うと、特別なトレーニングをしたことはありません。リバウンドはディフェンスと同じで、努力のみだと思います。僕は感覚的にどこに打ったら、どこにボールが行くかがわかっている。試合でも、自分が打って外したリバウンドを獲ることもあります。そういうところで、センスがあるのかなと感じています」

リバウンド奪取能力は、自ら高いと評価するバスケIQと関係しているのだろうか。

「そうとも言えるかもしれません。シュートがリングに当たって、どこに行くかが見えるんです。チームメイトがシュートを打つと、僕がガードしている相手選手をちょっと見てから、相手と違うポジションに動く。ボールがどこに行くかが見えるから、ちょっとだけでもアドバンテージを作れば、相手よりも早くボールに触れることができる。それだと思う」

エヴェッサの攻撃時には、ザックのポジション取りにも注目してもらいたいところだ。その一方で彼は、現時点での課題もしかと自覚している。

「オフェンスですね。もっとスコアしたい。身体を上手く使うことをもっと練習すれば、簡単に得点が獲れると思う。#25ディージェイ(・ニュービル)は、すごく身体の使い方が上手いんです。自ら相手に当たったりして、簡単なショットにする。実はそんなに簡単じゃないけど、簡単に見える。そういうことが、できるようになりたい」

昨季は彼にとって学生最後のシーズンだったが、試合はコロナですべて中止になった。

「(長く試合から離れていたので)コンディションの面で、最初は日本のスピードに慣れるのに苦労しました。今は慣れてきて、期待されていることに応えることができてきていると思います。シュート力に関しても、とくに心配していません。シーズンが進むにつれて自分の状態がより良くなってくれば、もっとシュートが入ると思う。今やるべきはディフェンスをハードにプレーして、自信を持ってシュートを打つ。自分がコントロールできることを全力でやって、コントロールできないことは心配しないようにしています」

まだまだ、プロ1年目。それながら先日は#3エリエット・ドンリーとともに、日本代表候補にも選出された。果てしない伸び代を持つ24歳の成長を、しっかりと見届けてほしい。
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著者プロフィール

2005年にクラブ創立。七福神のお一人で商売繁盛の神様である「戎様」を大阪では親しみを込めて「えべっさん」とお呼びするところから、 人情・笑い・商売の街大阪を活気づける存在であることを願い「大阪エヴェッサ」と命名。 同年にスタートしたbjリーグで開幕から3連覇を成し遂げる。 2016年9月に開幕した男子バスケットボールの最高峰・Bリーグでは、ホームタウンを大阪市とする大阪唯一のクラブとしてB1に参戦。

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