早大男子バレー 全日本大学選手権直前特集『DO THE BEST』 インカレ展望

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【早稲田スポーツ新聞会】

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【早稲田スポーツ新聞会】記事 西山綾乃 写真 日浅美希

 今日から全日本大学選手権(全日本インカレ)が開催される。どのチームにとってもこの1年の集大成となり、賜杯(しはい)を渇望する大会だ。早大もその一角。代替わりをした昨年の冬から今大会での優勝を目標に据え、研さんを積んできた。

 昨年まで早大のエースを務め、今秋開かれた第21回アジア選手権大会(アジア選手権)でオポジットとして活躍した宮浦健人(令3スポ卒=現ジェイテクト)、1年時からブロックの要を担い、4年時にはチームの頭脳としてディフェンスを固めてきた村山豪(令3スポ卒=現ジェイテクト)、丁寧かつ相手ブロッカーを惑わせる多彩なトスワークでスパイカー陣を支えてきた中村駿介(令3スポ卒=現パナソニック)が抜け、今年度からはメンバーが大きく入れ替わった。センターには昨年ベンチ外となっていた岩本大吾(スポ3=兵庫・市立尼崎)と伊藤吏玖(スポ2=東京・駿台学園)を、セッターには佐藤玲(社3=東京・早実)を据え、2、3年生主体となった。心機一転し、歩みたいところだったが、強力なリーダーシップを発揮する存在がいなかったため、チームとして進むべき方向を見いだせず。練習での雰囲気が悪くなることもあった。春季関東大学オープン戦では自分たちの力を出し切れない場面が重なる。また、レフトの重藤トビアス赳(スポ3=神奈川・荏田)やリベロの荒尾怜音(スポ2=熊本・鎮西)ら主力選手のけがや、この間日本代表として活動していた大塚達宣(スポ3=京都・洛南)の不在もあり、ベストメンバーで挑むことができず。満足のいく結果を残すことができなかった。

チームを鼓舞する岩本主将(左)と大塚副将 【早稲田スポーツ新聞会】

 チームの足並みをそろえるべく、秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)を迎えるにあたり、岩本がゲームキャプテンを任された。「自分は去年までベンチ外だったのに、こんなにも早くまとめる立場になった」と不安を覚えながらも、「チームのためなら」と覚悟を決めて就任。また、日本代表での活動を終えた大塚や負傷していた重藤や荒尾が戦線復帰し、気持ちを新たに臨むことができた。1セット目から劣勢になったり、秋季リーグ戦期間に行われた天皇杯全日本選手権関東ブロックラウンドで逆転負けしたりと、序盤こそ不安定さはあったものの、岩本を中心としたブロックが機能しフロアディフェンスが安定。トランジション(※1)の場面では好守備を連発した。変化があったのはプレーだけではない。岩本や大塚ら3年生がタイムアウトで率先して戦術を共有し、コート内では積極的な声掛けでチームを鼓舞するようになった。最終戦となる日体大戦では水町泰杜(スポ2=熊本・鎮西)の不在もあり敗れたものの、「全ての力を出し切った上での結果だった」。セッターとスパイカーのコンビやトランジションからの攻撃などの課題はあったが、秋季リーグ戦での成長は「加速度的」であった。

 狂っていた歯車が徐々に噛み合う。だが、どのチームも実力が拮抗(きっこう)し混戦が予想されるため、厳しい戦いを強いられるかもしれない。成長のピークを今大会に設定し優勝を遂げるべく、リーダーシップの強さを買われた3年生が幹部を託された。主将は岩本、副将は大塚に。新たな船頭は、多くのライバルが待ち受ける大海原へと舵を取った。進むべき方向が分からずバラバラになりかけた早大は困難を乗り越え、『全日本インカレ5連覇』という栄光をつかもうとしている。もう準備はできている。あとはベストを尽くすだけだ。

(※1)トランジション…ラリー中にボールを扱うチームが切り替わる場面のこと
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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