都市対抗に出場するドラフト勢・投手編 巨人ドラ2山田らの特徴&注目ポイントは?

西尾典文

八木彬(ロッテ5位):三菱重工West(神戸市・高砂市)

ロッテ5位の八木(右)と広島2位の森。両投手による“プロコンビリレー”が見られるか 【写真は共同】

 リリーフタイプの大型右腕。東北福祉大では1年春から主戦となりながらも3年秋以降は故障で登板なしに終わったが、社会人で見事な復活を果たした。大学時代と比べて明らかに一回り体つきが大きくなり、それに比例するようにスピードもアップ。ストレートはコンスタントに150キロ前後をマークし、数字に見合うだけの威力も申し分ない。130キロ台中盤のカットボール、フォークもストレートと同じ軌道から鋭く変化し、決め球として使えるボールだ。7月に行われた日本選手権では痛恨のサヨナラホームランを浴びたが、都市対抗予選では2試合に登板していずれも無失点と抑えとしての役割をしっかり果たした。森との指名選手によるリレーも期待できるだろう。

松本竜也(広島5位):Honda鈴鹿(鈴鹿市)※東邦ガス(名古屋市)の補強選手

 レベルの高い社会人でもトップクラスの制球力を誇る右腕。智弁学園時代は3年春に出場した甲子園で熊本工を相手に12奪三振完封勝利もマークしている。昨年も候補に挙げられていたが指名漏れを味わい、4年目の今年、2年越しのプロ入りを勝ち取った。高校時代のストレートは130キロ台がほとんどだったが、社会人に進んでから順調にスピードアップし、コンスタントに140キロ台中盤をマークする。しっかり腕を振って投げられる100キロ台のカーブで緩急をつけるのが上手く、打者の手元で鋭く横に滑るカットボールも一級品だ。先発でもリリーフでも力を発揮することができるのも大きな特徴で、本大会でもフル回転の活躍を期待したい。

横山楓(オリックス6位):セガサミー(東京都)

 宮崎学園時代は甲子園出場こそなかったものの、九州では屈指の本格派として評判だった右腕。国学院大進学後は4年時にはエース格となり、春秋合計で5勝をマークする活躍を見せている。セガサミー入社1年目の昨年は目立った結果を残すことはできなかったが、2年目の今年はフォームの改造も奏功して春先から成績を残し、7月に行われた日本選手権では初戦で5者連続奪三振を記録した。好調時には150キロを超えるスピードをマークし、ストレートで圧倒する投球が持ち味。コンパクトなテイクバックにフォームを変えたことで、打者にとっては打ちづらさが増した印象を受ける。都市対抗予選では不調だったが、本大会前のオープン戦では徐々に復調してきており、昨年のベスト4から優勝を目指すチームの切り札として期待される。

小木田敦也(オリックス7位):TDK(にかほ市)

 東北の社会人を代表する本格派右腕。角館高時代から秋田県内では評判の投手で、TDK入社後も早くから公式戦に登板。2年目には七十七銀行(仙台市)の補強選手に選ばれ、早くも都市対抗のマウンドも経験している。4年目の昨年は都市対抗予選で150キロを超えるスピードを武器にチームを本大会出場に導いたが、右肩の故障が不安視されて指名は見送られた。その後に行われた本大会、今年の日本選手権でも安定した投球を見せ、5年目にしてようやく指名を勝ち取ることとなった。174センチと上背はないものの、メリハリのあるフォームでストレートも変化球も自在に操るピッチングは安定感十分。昨年はリリーフでの登板に終わったが、今年はエースとしてチームを勝利に導くピッチングを見せてもらいたい。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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