勝ち点6は必須で使命と誓う酒井宏樹「特にオマーン戦には特別な思いがある」

飯尾篤史

11月シリーズに向けて「勝ち点6は必須」と語る酒井宏樹。右サイドからの攻撃の活性化を期待したい 【Photo by Kaz Photography/Getty Images】

 10月12日に行われたカタール・ワールドカップ(W杯)のアジア最終予選オーストラリア戦に2-1と勝利し、2勝2敗の勝ち点6とした日本代表が、いよいよ11月シリーズに臨む。11日のベトナム戦と16日のオマーン戦はいずれもアウェイゲームだが、なんとしても勝ち点6をつかみ取り、上位に浮上したいところ。DAZNが独占中継するこの2試合に向けた決意と覚悟を、不動の右サイドバック酒井宏樹が明かした。

代表とクラブは別物という考え

――カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の話に入る前に、確認しておきたいことがあります。18年ロシアW杯のベルギー戦後のミックスゾーンで、酒井選手は「今後の代表のことは分からない。若い人が出てきた方がいいと思いますし……」と話していました。その後、カタールも目指したいと思うきっかけはあったのでしょうか?

 いや、単純に呼んでもらったからです。引き続き選んでもらえたのはありがたいことですし、新しい監督が呼びたいと思ってくれて、それを拒否してまで、という考えはなかったので。ただ、若い選手が出てきた方がいいという考えは今もまったく変わらないですね。僕のポジションがなくなれば退くだけ。起用してもらえるなら、自分にできることを100パーセントでやるというスタンスでやっています。

 それはもう、代表に呼ばれてからずっと変わらないですね。呼ばれている限りはやりますし、呼ばれなくなればクラブに専念するだけ。もともと僕はクラブのプライオリティーが高いタイプなので、クラブでのプレーに集中しながら、代表に呼ばれたら気持ちを切り替えて代表でベストを尽くす。クラブと代表は別物だと考えています。

――2年ほど前のインタビュー記事では「日本代表がもっと強いチームになるためには、特定の選手に頼っていてはダメで、例えば右サイドバックだったら、僕と(室屋)成のどちらが出ても遜色ないぐらいにならないといけない」と話していました。そういった大きな視野で代表チームを捉えるようになったのは、主力としてロシアW杯を経験し、壮絶なゲームの末にベルギーに敗れ、どうすればベスト8に進出できるか、と考えるようになったからですか?

 おっしゃる通り、ベルギーとの試合ではいろいろと強いものを感じました。それに14年のブラジルW杯では、コンディションが整っていない内田(篤人)さんを強行出場させてしまったということがありましたし、ロシアW杯でも、グループステージからもっとうまくローテーションしながら戦うことができれば、違った結果になったかもしれない。そうした経験を経て、グループやチームという視点で考えられるようになったんだと思います。

 今回のアジア最終予選も長丁場ですから、この先も何が起こるか分からない。その時々の状況や相手に適したメンバーで戦うことができれば、日本代表はもっともっと強くなるんじゃないかな、ということは日々思っています。

――東京五輪のときもそうでしたが、今も「責任」という言葉が酒井選手の口からよく聞かれます。もちろん、日本代表に選ばれるようになった頃から日の丸をつけてプレーする責任は感じていたと思いますが、ロシアW杯後に先輩たちがゴソッと抜けて、自分の中で責任の重みが変化した部分も?

 いや、代表に関しては昔から強い責任を持ってやらせてもらっています。やっぱり代表戦のピッチには日本を代表する11人が立つわけですから、強い責任を持たないといけない。いいプレーができなかったらすぐに、右サイドバックは……みたいな感じになるので、危機感もありますし、アジアの中では絶対に勝たないといけないというプレッシャーもある。だから代表では常に強い気持ちでやらせてもらっています。

落ち込まなければプロじゃない

準備期間の短さによる困難を認めながら、「ここから強い日本を見せていければ」と酒井は語る 【YOJI-GEN】

――まさに今、プレッシャーを感じながらアジア最終予選を戦っていると思いますが、4試合を終えて2勝2敗という成績、ここまでの戦いぶりについて、率直にどう感じていますか?

 みなさんもそうだと思いますけど、もちろん僕たちの思っていたような結果でないことは事実です。ただ、勝負の世界なので、プロとプロが戦えば、こういう結果はあり得る。ましてやナショナルチーム同士の戦う最終予選ですから。レベルが上がれば上がるほど、うまくいかなかったり、結果がついてこないことはあります。その中でどうやって、みんなでゴール地点に向かっていけるかが大事。今はみんなで修正しながら、一歩ずつ上がっているところだと思っています。

――日本代表がここまで苦戦することを想像できていましたか?

 苦戦するのは想像できていましたけど、結果が出ないとは思ってなかったです。最終的には予選が終わらないことには分からないですけど。スタートとしては、思っていたスタートでなかったのは事実ですね。

――酒井選手は過去に2度、アジア最終予選を経験していますが、今回、対戦相手のレベルが過去と比べて上がっているという感覚はありますか?

 そうですね……年々上がってきているとは思います。ただ、日本代表も上がっていないといけないですし、実際、上がっていると思います。だからこそ、目に見える結果を出せていないのが歯がゆいですね。

――これだけ経験豊富な選手たちがそろっていながら、目に見える結果を出せていない理由はなんでしょう?

 難しいですね……ただ、準備期間に関しては、僕らは海外でプレーしている選手が多いので、他の国に比べると少し不利なのかなとは思いますよね。準備期間がどれだけ大事なのかは、レベルが上がれば上がるほど差が明確になってくるので。ほんの少しのことが結果を分けてしまう。そういうところは、正直難しいですね。でも、それは言い訳にしかならない。同じミスを繰り返さないよう、ここから強い日本代表を見せていければ、と思っています。

――9月、10月の2連戦でいずれも初戦を落としたのは、偶然ではないと思います。選手たちがチームに合流するタイミングもバラバラで、全員が集まって1日、2日で初戦を迎えている。コロナ禍のために日程がタイトで、親善試合も組めません。

 選手個々のコンディションもバラバラで、所属チームの戦術もバラバラ。時差ボケの解消やコンディション調整もあるなかで、全体練習1日とかで試合を迎えるので、どれだけチームメートを信じ、自分を信じてもらえるか。コミュニケーションの部分がすべてですね。

――10月は、サウジアラビア戦でのショッキングな敗戦からわずか4日後にオーストラリア戦を迎えました。その間のチームの様子や雰囲気をどう感じていましたか?

 負けたから、チームの雰囲気が注目されがちですけど、プロですからね。負けて悔しくなかったり、落ち込まなければプロじゃないと思います。ただ、リバウンドメンタリティーというか、しっかり切り替えるのもプロ。ましてや今の日本代表は、精神的に大人の選手がそろっているので、切り替えは早かったと思います。サウジアラビア戦は終わったこと。気持ちを切り替えて、オーストラリアに勝つしかないと、みんなで前を向いていたと思います。

――酒井選手自身はどんな心境でオーストラリア戦に向かっていたのですか?

 僕自身も同じですよ。終わったことは戻らないので。1位だろうが、2位だろうが、たとえ3位でプレーオフに回ることになっても、なんとしてでもW杯のチケットをつかまなければいけない。それに向けて全力でやっていくしかない、という心境になっていました。

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著者プロフィール

飯尾篤史

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

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