【新門司NOW】這い上がってきた大型ボランチ 西村 恭史選手

ギラヴァンツ北九州
チーム・協会

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残り12試合となった今シーズン。現在17位ながらJ3自動降格圏内との差もわずかと、まだまだ気の抜けない戦いが続くが、ここ6試合負けなしで失点も減少傾向にあり、チームに安定感が出つつあるのも確かだ。その安定化に大きく貢献しているのがボランチの西村恭史選手。リーグ中断期間明けのFC琉球戦から前節のブラウブリッツ秋田戦までフル出場を果たしている。前半戦、思うように出場機会が得られなかった中、自身の状況を変えた要因、そしてJ2残留に向け熾烈極まる残り試合に向けて大事にしたいことを聞きました。

意識の変化

開幕直後こそトップ下での先発出場が続いていたが、その後は途中出場、さらにはメンバー外になる試合も多く、フラストレーションが溜まる日が続いた。そんな状況を変えたのは、自らの意識だった。

「開幕直後は出場機会があった中で、途中から出られなくなって不貞腐れるわけではないですけど、『なんで使われへんねん』みたいな気持ちがあって。ただ、リーグの中断期間中も特にやり方を変えたということはなくて、幸いコンディションはずっと良かったし、考え方を変えたというか…。イライラするのではなくて、もっと矢印を自分に向けてメンタル的なことやプレー面での悪いところを突き詰めたり、技術的にうまくなるにはどうするかということを考えたりしました。中断明けのキャンプでもコンディションはよくて自信もあったし、うまくアピールできて、それを監督も見てくれていたのかなと。そういう意識の変化が一番大きかったのかなと思いますね」

フル出場が続くリーグ中断明け以降、前半戦と違って練習から、より意欲的になったように感じたが、どうやら気のせいではなかったようだ。

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「サッカー選手にとって、試合に出ることが一番成長につながると思うんです。練習でどれだけやれても、試合で発揮できないと自分のいい部分、悪い部分は出ないと思うし、最近出させてもらっている中でそういう部分がわかってきています。それを練習から意識して試合を通じて改善していくことをやれています」

『成長するには?』ということを常に考えられるからこそ、開幕の頃のコンバートに対しても、シマダノメ ピンポイントーク[下記リンク先参照]で話していた通り前向きに捉えられた。そしてその経験がボランチに”復帰”した今、大きく活かされている。

「トップ下で出ていた時は、どこにいたらボランチが出しやすいかとか出し手のことを考えて動いていました。その経験があるので、今は逆にどうやったら出しやすいかということを考えられたりトップ下の選手に要求できるようになりました。大悟(高橋大悟選手)やトミくん(富山貴光選手)もですが、結構受けに来てくれたりするし、逆にもっとこうした方がいいんじゃないかと僕から言ったりもします。こういうところはトップ下で出ていてよかったと感じる部分ですね」

ボランチとして、無失点を

後半戦から再び”本職”でのプレーとなっているが、前半戦はそのポジションからチームを見ることはなかった。違うポジション、あるいは外からチームを見ることでわかったこと、感じたこともあった。

「一番は守備のところです。空中戦や球際の部分を含め、もう少しボランチの所で相手の攻撃を潰したいというのは思っていて、自分が出た時にはそこを意識できたらと思っていました。もちろん、まだまだ取れるところもたくさんありますし、味方に声をかけて動かしたりしながらもっと守備でやれたらと思う部分はありますが、無失点も増えてきていますし、それは僕だけでなくチーム全員が守備の意識をしっかり持っているからこそ。やっぱり練習から球際とか、最後の所で全員が体を張ったりとかできるようになってきていると思うんです。
とにかく前半は失点が続いていたし、ラストでもったいない失点をして負けたりすることもあったので、まずはそれをなくしたかったです。出たらまずは失点しないことを大事にしたくて、ゼロで抑えれば最悪勝点1は取れるわけなので、残りの試合も全員で意識できればいいと思っています」

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守備面での特長が目立つ西村選手だが、一方でトップ下に抜擢された通り、奪ったあとに前に出ていける攻撃性も強みの一つ。チーム状況的にどうしても堅く入る試合が多くなる中、もどかしい気持ちもあるのではないか。

「やっぱりゴール前に行きたいというのもあるし、点を取ったりアシストをしたいという気持ちはあります。ただ、一番大事なことはチームが勝つことなので、一緒に出ているボランチのポジションを見ながらバランスを見て動きます。もちろん狙える時は狙いますけど、今はそこまで意識もしていなくて、まずは失点しないことを重要視していますね」

結果にこだわる!

シーズンも佳境に入り、攻守の要としてその役割の重要性が増してくる。J2残留、そして少しでも上の順位に行くために必要なこととは?

「守備は段々よくなってきているので、あとは攻撃の部分。もっと練習から最後の動きだし・パス・シュートの質を全員で1つ、2つ上げていかないといけないですね。先制したあとに追加点を取って試合を決められればということも多くありましたし、どれだけ守備の時間が長くても、守って守って1つのチャンスをしっかり決めて勝つということもありますから。
試合に出ている出ていないにかかわらず、全員がとにかく”結果”にこだわっていかないとチームとして成長していかないと思うので、僕が言わなくても皆わかっているはずですけど、意識していきたいです」

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最後に、共に闘ってくださるサポーターへのメッセージを。

「開幕から僕たちもサポーターの皆さんも本当にきつい時期がありましたけど、全員でなんとかここまで乗り越えてきて、いい方向に向かっていると思います。残り試合、一つでも多くサポーターの方と一緒に勝ちたいですし、最後は笑って終わりたいので、残り12試合もぜひ熱い応援をよろしくお願いします!」

個人としてもチームとしても苦しんだ前半戦。這い上がってきた若武者のさらなる輝きが、チームの未来を、そして応援してくれる人たちの笑顔を、照らす。

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著者プロフィール

イタリア語で"ひまわり"という意味の「Girasole」と"前進する"という意味の「Avanzare」を組み合わせた造語。ひまわりは、ホームタウン北九州市の市花で、太陽に向かって力強く伸びていく元気を象徴する。「Girasole」は、本来「ジラソル」と発音するが、ここでは「ジラ」部分を「ギラ」と読み、太陽の輝きと躍動を想起させる強い語感に。「北九州から、日本、アジア、そして世界へと飛躍すべく、常に成長・前進を続ける光り輝くチームであり続けたい」「サポーターや地域が輝き、元気になる、その象徴でありたい」という願いが込められている。

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