【レビュー】2021年JFL第23節・いわきFC対Honda FC

いわきFC
チーム・協会

【©︎IWAKI FC】

2021年9月19日、いわきFCはJFL第23節にてHonda FCと対戦。1対5で厳しい敗北を喫した。

■JFLのレベルをはるかに超える決定力。

2016〜2019年にJFL4連覇を果たした盟主・Honda FCとは、昨年11月に初対決。今年6月にはアウェーで対戦し、いずれも引き分け。今節は3度目の対戦である。

前節、いわきはアウェーでMIOびわこ滋賀に勝利し、Honda FCはホームで鈴鹿ポイントゲッターズに敗戦。首位いわきFCと2位Honda FCの勝ち点差は7に広がっており、Honda FCとしては絶対に落とせない戦いとなった。

舞台はJヴィレッジスタジアム。普段から天然芝で練習を積み、スピーディなパス回しと流動性の高いポジショニングを武器とするHonda FCをいかに抑えるか。田村雄三監督の事前予想は「打ち合い」。

序盤はその通りの展開となる。

いわきFCはここ2試合と同じ4-3-3。メンバーはほぼ変更なく、唯一、3トップ中央に谷村海那が入った。Honda FCはダイヤモンド型の4-4-2。

Honda FCはピッチを広く使ったスピードあふれる展開でいわきゴールを脅かし、前半5分、左サイドからのクロスをFW児玉怜音選手が頭で決めて先制。しかし、いわきもすぐさま反撃。DF嵯峨理久、FW谷村が相手ゴールに迫る。

前半28分、違いを見せたのはDF嵯峨。右サイドを駆け上がり、粘ってゴール前にボールを運ぶと、左足のシュートでネットを揺らした。

【©︎IWAKI FC】

1対1の同点。ここからさらに打ち合いが続くのか。そう思いきや、試合は一気にHonda FCへと傾く。

33分、右サイドからDF三浦誠史選手がヘッドでゴール。37分には再び児玉選手がCBの背後をついてシュートを決めて追加点。その1分後にもFW岡崎優希選手が得点ランキング単独2位となる今季10ゴール目を決め、4点目。

5分間で3失点。「JFLの門番」Honda FCの持ち前のスピードと精度の高い崩しに翻弄されたいわき守備陣。ある程度やられるのは想定内。だがHonda FCの決定力は、JFLのレベルをはるかに超えるものだった。

いわきは後半開始から米澤哲哉・黒澤丈のCB2人に代え江川慶城・田中龍志郎を投入し、守備の活性化を図る。54分、MF富田湧也選手にミドルシュートを決められ5点目を喫すると、FW古川大悟に代え平岡将豪、MF岩渕弘人に代え山口大輝を投入。長らく欠場が続いていたキャプテンの山口は4カ月半ぶりの試合復帰。MF山下優人からキャプテンマークを譲り受け、相手守備陣を崩しにかかった。

76分にはFW谷村に代え金大生がイン。しかし得点ならず、試合は1対5でタイムアップ。2位Honda FCの伝統とプライド、そして技術と決定力の前に、格の違いを見せつけられる結果となった。

【©︎IWAKI FC】

■田村雄三監督談話

「ひと言で言って完敗。Honda FCさんに実力を見せつけられ『Jリーグは甘くない。首位だからといって浮かれるなよ』と教えられた気がします。5点を入れられるのは久しぶりのこと。チーム1年目に流通経済大の確かCチームに0対7で負け、そこから歴史が始まったことを思い出します。

勝敗の分かれ目は前半の4失点。ただし、完全に崩された失点ではない。セットプレーのマークやCB同士の譲り合いなど、自滅もあった。とはいえ、この試合の重要性を知った上で出たプレー。これが『経験が足りない』ということ。こういう試合を経て成長する、成長させていく、ということでしょう。

敗因を挙げるのは難しいですが、前に向かうプレーをさせてあげられなかったのは残念でした。技術とサッカーの質で完敗しましたが、最も違ったのは決定力。あの決定力の高さはJFLにはない。経験値からくるものなのか、それとも仕留め方を知っているということなのかはわかりませんが、これがHonda FCさんという王者の強さなのだと思います。

【©︎IWAKI FC】

負けたからすべてが悪いわけではないし、この負けには意味がある。選手達は点を取りに行くしかなかった。その中でできたことと、できなかったことがある。この敗戦、そしてできなかったことを真摯に受け止め、次に生かしたいし、生かさなくてはいけない。今回、強くなるチャンスを与えてもらった。そしていつかHonda FCさんに追いつけるよう、日々の練習から積み重ねていきます」

■厳しい敗戦を糧に優勝、そして昇格を勝ち取れるか。

スコアは1対5。厳しい現実を見せつけられる結果となった。チームが現在の形となった2016年以来、公式戦でこのような大差で敗れたのは初めてのことである。

ただし、明るい要素もあった。

前半30分過ぎまでの積極的な攻撃は、JFLの盟主を脅かすに足るものだった。中でもDF嵯峨はゴールの他、後半にも2本のシュートを放ち、疑いのない実力を見せた。そして後半開始から入ったCB2人、特にDF田中は質の高いビルドアップで経験値と存在感を示した。また復帰早々ながら懸命に走り、DF日高大とも息の合ったコンビネーションを見せたMF山口は今後、確実に攻撃陣を活性化させるだろう。また、この先のキャプテンシーにも期待したい。

【©︎IWAKI FC】

なお、この試合の裏側については、田村監督自ら執筆する"魂の息吹く"いわきFC noteの連載コラム「田村雄三ここだけの話〜BEHIND THE SCENES」にて語られる予定だ。ぜひ、アップを楽しみにしてほしい。

試合を終え、勝ち点は48で首位をキープ。だが、2位Honda FCとは4ポイント差。JFLの優勝争いは、今後いよいよ激烈なものとなるだろう。

9月のリーグ戦は今節にて終了。いわきFCは次節10月3日、アウェーで松江シティFCと対戦する。そこからホーム2連戦。10日に昨季王者・ヴェルスパ大分、17日にはソニー仙台FCと対戦。いずれも舞台はJヴィレッジスタジアムだ。

下を向いている時間はない。

厳しい敗戦を糧に、いわきFCは王座を勝ち取り、念願のJ3昇格を果たすことができるのか。引き続きご注目いただきたい。

なおHonda FC戦のハイライトを、いわきFCの公式YouTubeチャンネルにて配信している。

そして、いわきFCの最新コンテンツを、"魂の息吹く"noteにて配信中。

また、いわきFCファンクラブ「LOVE IWAKI」も会員募集中。入会は無料。チケットやグッズの会員限定価格で購入や、メルマガによる情報配信など多くの特典があるので、ぜひご入会を。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

「いわき市を東北一の都市にする」ことをミッションに掲げ、東北社会人サッカーリーグ1部を戦う「いわきFC」の公式アカウントです。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント