廣瀬俊朗コラム「『東京 2020 オリンピック』から見るキャプテンシー」

RUGGERS(ラガーズ)
チーム・協会

【廣瀬俊朗】

RUGGERSオリジナルコラム

筆:廣瀬俊朗
1981年生まれ、大阪府吹田市出身
元ラグビー日本代表キャプテン
株式会社HiRAKU 代表取締役
NPO法人 Doooooooo 理事
スクラム・ジャパン・プログラムアンバサダー
 
 前回のコラムで東京オリンピックのラグビーについて書きました。今回はラグビー以外で印象に残った競技について書きたいと思います。

 オリンピックでは色々な競技に感動しました。僕自身は様々なスポーツを見ることが好きで、興味を持っているので、選手とキャプテンや監督との関係性がどうなっているのかとても気になっていました。
 男子サッカーの吉田麻也選手は、コメントがいつも落ち着いていて、自分やチームを客観視できているんだろうなと思いました。オーバーエイジとして参加し、きっと若い選手にも寄り添っていくような形を意識されているのではないかと感じました。残念ながら3位決定戦に負けてしまった時も、「胸を張って」という言葉をチームメイトにかけていて、素敵だなと感じました。これから始まるワールドカップ2022のアジア最終予選に向かって、吉田選手筆頭に今回悔しい想いをした選手たちがどのような準備をしていくのか楽しみですね。

 女子バスケットボールの試合も印象的でした。タイムアウトの様子を見ていると、強烈なキャラクターのトム・ホーバス監督はエディさん(前ラグビー日本代表監督 エディ・ジョーンズ氏)と被るなと思いました。女子バスケはとにかく選手の団結した雰囲気や、楽しそうな感じが良かったですね。この感じは、エディさんの時のラグビー日本代表と似ているかもしれません。強烈な監督と渡り合っていくには選手も困難を乗り越えて団結していくしかなく、その中で結束が固まっていく。懐かしい匂いを感じました。
 トム・ホーバス監督は、試合中に少しでも選手の気が緩めば引き締める。「どうしたいの?なんで?」と。監督が試合中のリーダーの一人であると強く感じました。でも、この構造は直接タイムアウトなどをとって選手に介入できるバスケだからかもしれません。バレーボールもそうですね。主将である石川祐希選手が素晴らしかったですが、プレーで引っ張ることがより求められるようにも感じました。ラグビーでは試合が始まれば、監督は試合を止められません。選手がやるしかないのです。そう考えると、選手に求められるリーダーシップも競技によってやはり変わってくるなと感じました。まさに僕の場合はプレーではそこまで引っ張れないので、皆の潤滑油となったり、試合中にどう皆を一つにするのかを考え抜いていたように思います。

 女子ソフトボールも監督と選手の信頼関係が厚いように感じました。この仲間とともに頑張りたい!!という想いが滲み出ていて、観ていて気持ちがよかったですね。

 男子ハンドボールの“レミたん”こと土居レミイ杏利選手の記事を見ましたが、キャプテンとしてどう振る舞えば良いのかとても悩んだと書かれていて、とても共感しました。自分自身は何をどうしていけば良いのかわからないと、たくさん悩んで、最後にようやく見えてきたと仰っていました。
 キャプテンシーというのは、まだまだブラックボックスです。何を伝えるか、どう伝えるか、どう振る舞って行動するのがチームにとって良いか、考えることが多過ぎて迷います。そういったとき、自分自身が何を大事にどうしていけば良いのか、ある程度のセオリーがわかれば、迷いすぎることなく進めるのではないかと思います。この辺り、僕自身も大変興味があることなので、引き続き学んでいきたいと考えています。

 競技によるキャプテンシーの違いはパラスポーツにもあるのか、とても気になりますね。注目している車いすラグビーを筆頭に、キャプテンシーと監督との距離感についてなど学びがあると思うので、その視点でもパラリンピックを楽しみたいと思っています!
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著者プロフィール

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