【YouTube企画】星野ジャパン同窓会 ―北京の記憶―

藤川球児、夢を繋ぐ侍戦士に伝えたいこと 星野ジャパン同窓会・完結編

ベースボール・タイムズ

北京五輪との違い、侍ジャパンとして戦う意義

北京五輪のマウンドで熱投する藤川氏。代表のユニフォームに袖を通した男だからこそ、伝えたいことがある 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 さらに藤川氏は、北京五輪のチームを改めて振り返り、WBC優勝組と上昇志向の強い若手が入り混じったメンバーに「すごく難しい時期だった。一致団結がどこまでできていたか」と自問する。そして「思いがバラバラだったら勝てない。非常に苦しかった。(五輪は)全競技が国を代表して出場するという中で、野球が他競技の本気度を見た時に飲まれた感じはする」と吐露する。

 だがその後、野球日本代表が「侍ジャパン」が常設化され、「ワンチームの団体になった」と藤川氏。北京五輪当時と比べて「メンバーがガラッと変わって、今回はWBCも五輪も同じ土俵のメンバー。(日本代表として)いよいよ洗練されてきたところに、東京五輪というビッグチャンスがきた」と期待。さらにその期待は、ただ集まって、ただ戦うだけではないと訴える。代表選手たちに「野球がこれだけ国民に愛されている中で、『出場して頑張りたい』だけでいいのか」と問いかける。

 藤川氏は言う。日本代表に選ばれた選手たちがすべきことは、「子供たちに夢を持たせられるかどうか」だと。そして「僕は“夢をつなぐ”と思っている。13年前に自分たちが北京五輪に出て負けた。でもWBCでは2回勝った。その姿を見て頑張りたいと思った選手たちが今、野球界にいる。彼らが同じ思いをつないでいってもらわないといけない」と続ける。

熱く、冷静に、日本らしいワンチームで

北京五輪ではチーム最年少だった田中将大(右から2人目)。今大会は投手陣のリーダーとしての役割が期待される 【写真は共同】

 そして藤川氏は、その思いをつなぐ選手として、今大会のメンバーで唯一の五輪経験者である田中将大投手に期待を寄せる。「北京では最年少(19歳)で初めての国際大会だったけど、今度は最年長なので、上から見てどう伝えるのか。アメリカであれだけ素晴らしい活躍をした選手が、また日本に戻ってきて(代表に入り)、自身にとっても良い経験になると思う」と話し、「北京組のみんなの気持ちが分かるんじゃないかな」と笑みを浮かべる。

 もうすでに戦いは始まっている。もちろん期待は金メダルだが、北京経験者としての藤川氏は、最後に“母なる心”でエールを送る。

「僕自身は(五輪に)出られたことが、大きな経験として活きている。メダルを獲れることを願っていますが、そうでなかったとしても胸を張って帰ってきてもらいたい。熱く、冷静に。そして日本らしいワンチームで頑張ってもらいたい。僕の頭の中は金メダル。心は母なる心を持っています。どんな姿でも胸を張って頑張ってください!」

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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