【新日本プロレス】「飯伏の“クレイジーな部分”を引き出したい」鷹木選手に直撃!

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【新日本プロレスリング株式会社/タイコウクニヨシ】

いよいよ目前に近づいてきた“真夏の東京ドーム”決戦! 「映画『ゴジラvsコング』Presents WRESTLE GRAND SLAM in TOKYO DOME」7月25日(日)東京ドーム大会。

メインイベントで飯伏幸太を挑戦者に迎えるIWGP世界ヘビー級王者・鷹木信悟に自身の原点である、浅草の地で直撃インタビュー! 異例尽くしの東京ドーム決戦を前に、THE DRAGONは何を語ったのか?

撮影/タイコウクニヨシ

■「映画『ゴジラvsコング』Presents WRESTLE GRAND SLAM in TOKYO DOME」
7月25日(日) 15:00開場 17:00開始 ※第0試合は16時開始予定
東京・東京ドーム
※現在、前回大会延期に伴う払い戻し分のみ、ローソンチケットのみの発売となります

★7月16日(金)18時〜 鷹木信悟選手の撮り下ろし「スペシャル待ち受け」を配信!

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プロレスラーを志して、高校卒業する少し前に浅草に出てきたんだけど、やっぱりこの場所は“原点”かなと。

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――さて、鷹木選手。今日は、煽りVの撮影で浅草を訪れましたけど、鷹木選手にとって、この浅草というのはどういう場所ですか?

鷹木 浅草は、俺にとってまさしく“原点”だね。中学の時に「プロレスラーになるぞ!」と志して、地元の町の図書館に行った時にアニマル浜口さんの『浜口道場』というプロレスラー養成所があると知って。俺の中では、「中学を卒業したらすぐ浅草に行きたい」という気持ちがあったんだけど、親に止められて。高校卒業する少し前に浅草に出てきたんだけど、やっぱりこの場所は“原点”かなと。

――その浅草で、当時は何を思いながら日々過ごされていたんでしょうか?

鷹木 もうひたすら、「強くなりたい」「デカくなりたい」という思いでトレーニングに励んでいたかな。1日2回……。いまでも3回、4回とジムには行くけど、当時はもっと長い時間で1日2回とかのスパンで練習に行っていたし。「すぐ行けるように!」と思って、浜口ジムのすぐ近くにも住んでたね。

――そこはプロレスラーになりたい一心で。

浅草 もちろん。中学の時から、「東京に出たい」「浅草に行きたい」と思っていたし。浅草にいた時は、24時間365日、常にプロレスラーになるために行動していたよね。

最高峰のベルトを奪取したのは間違いないけど、これが“頂点”だとは思ってないよ

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――今年の『NEW JAPAN CUP』は決勝でウィル・オスプレイ選手に敗れて準優勝。そのあと5.4福岡のIWGP世界ヘビー級王座戦で当時の王者、オスプレイ選手に敗戦。その1ヶ月後に、6.7大阪城で世界ヘビー級王座の決定戦と目まぐるしかったですけど、その時のマインドの持って行き方は?

鷹木 1回は切れかけた緊張感だったけど、立て直すのに1週間もかからなかったかな。「ベルトが返上になった」「オスプレイもイギリスに帰っちゃった」なんてニュースを聞いたら、「じゃあ、俺がやらなきゃ!」って思ったから。

――新日本プロレス参戦から、2年8カ月という短期間で頂点に上り詰めましたけど、ご自身で変わったことは?

鷹木 まあ、最高峰のベルトを奪取したのは間違いないけど、これが“頂点”だとは思ってないよ。最高峰のベルトは獲るよりも守ることの方が大変だと思うし、獲ったからって「これが頂点だ!」なんて言葉の通り、有頂天になることもなかったし。逆に「ここからが本番だな」と。頂点を獲ることへのスタートが切れたって感じだね。

――新日本に来て、2年8カ月でIWGPヘビーのベルトを巻くことに関しては、ご自分的には早かったですか? 遅かったですか?

鷹木 べつに早いとか遅いとかはないかな。俺はもう年齢的にはアラフォーだし。新日本参戦当初から言ってたけど、「いつか、いつか」なんて言ってたら、あっと言う間に老け込んでしまうから。いましかできないことをできる限り精一杯やりたいという思いでやってきたし。

――なるほど。

鷹木 2010年から毎年行ける時は、1.4東京ドーム大会を観に行って。何回目かわからないけどオカダ(・カズチカ)vs棚橋(弘至)の試合を観て、対オカダ、対棚橋というのを俺は観客席からずっと考えていたんだ。「俺だったら、棚橋とこういうふうに闘うな」とか。「オカダのレインメーカーはこうやって返すな」とか考えていた。だから、「やっとたどり着いたー!」っていう部分は、もちろん多少はあるけど、そんな感動的な感じじゃないね。むしろ気が引き締まる思いかな。

東京ドームのメイン、最後に花道を歩けるってだけでは決して満足しないよ。「それにふさわしい試合、インパクトを残さなきゃ」って気持ちの方が強いね。

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――あらためて、今回、タイトルマッチで対戦する飯伏幸太選手とは、かなり共通点があると思うんですが。

鷹木 共通点は多いよね。同い年だし、同年デビューだし、他団体から新日本に参戦……。見た目とかファイトスタイルは違うけど、共通点は非常に多いと思うよ。

――そもそも飯伏選手のことはずっと意識されてましたか?

鷹木 俺は意識してたね。彼の存在を最初に知ってから、なんかデビュー当時に、「2004年デビュー」みたいな感じで『週刊プロレス』で取り上げられた時にも「あ、飯伏幸太ってヤツがいるんだな」と、その時から俺はチェックしてたし。向こうは、あまり人に興味がなさそうだから、眼中になかったかもしれないけど。俺の中では勝手に比べてたから。

――飯伏選手と闘うことが、新日本プロレス本格参戦の理由の一つでもあった?

鷹木 そうだね。やっぱり、同世代って間違いのないモノサシじゃない? 試合で上とか下に負けるよりも、同世代に負けるのが一番くやしいし、「負けたくないな」って思いが凄く強いよね。

――飯伏選手という存在ヘのジェラシーはありましたか?

鷹木 ジェラシーはもちろんあった。でも、その心の奥底には「負けてたまるか!」という部分と「いや、べつに負けてねぇよ?」っていう気持ちもあった。リングに上がって試合したら、誰が相手だろうと負けるつもりはないし。そういう気持ちでリングに上がっていないと、結果も残せなかったろうし。「俺なんかが!」なんて思いでリングに上がっていたら、結果は残せないよ。

――そういう相手と7.25東京ドームのメインイベントで闘う。しかも、鷹木選手は王者として東京ドーム大会で最後に入場します。

鷹木 フフフ。ホント、俺が6.7大阪城ホールの試合後に言ったように、「人生っておもしろいな」「何が起こるかわからないな」と。正直、想像していなかったといえば、想像していなかったよ。2カ月前や3カ月前、それこそ福岡でオスプレイに負けた時、2カ月後に“こういう状況”になるなんて思ってもみなかった。

――なるほど。

鷹木 ただ、俺は、3年前に新日本に初参戦した年の1.4東京ドーム大会も観に行っていて、もちろんその時は何も決まってなかったけど。飯伏の入場の写真を撮ったんだよね。その写真だけは、ずっと保存してて、あの時に「いつかコイツとこの東京ドームで対戦するんだ」という……、一つの目標だよね、夢と言うより目標。それが「ついに叶う」という部分。もともと俺は、性格的に結構ドライな部分もあるから、そこに「感動する」というより「モチベーションがさらにあがる」って感じだけど。だから、東京ドームのメイン、最後に花道を歩けるってだけでは決して満足しないよ。「それにふさわしい試合、インパクトを残さなきゃ」っていう気持ちの方が強いね。

飯伏へのコンプレックスはあるよ。そのコンプレックスが反骨心だし、それを発散する場はリングだから。

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――飯伏選手もデビュー当時から鷹木選手を「メチャクチャ意識していた」と言ってました。飯伏選手の方が4カ月デビューは早いんですが、「凄いのが出た」と思っていたそうで。

鷹木 ハハハ! その言葉は、ちょっと素直にうれしいね(ニッコリ)。ハッキリ言ってしまえば、俺にできないことを飯伏は全部できちゃうわけだから。俺なんかドロップキックもキレイにできないし、新人の頃から打ったこともない、「やれ」って言われたらとんでもないドロップキックになっちゃうかもしれない。でも飯伏は、打撃だったり、場外ダイブだったり、超合金のような肉体もそうだけど。そういう意味では、彼へのコンプレックスはあるよ。そのコンプレックスが反骨心だし、それを発散する場はリングだから。そもそも俺自身は決して自分をパーフェクトな人間だとは思っていない。でも、「負けてたまるか!」っていう部分だよね。俺には、魂の叫びというか、魂の闘いしかないから。

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――飯伏選手には、同年代、同世代ということでいつも以上に思い切りいけますか?

鷹木 “プロレス観”は絶対に似通っていると思うんだよ。ファイトスタイルは違うけど、これは内藤(哲也)や石森(太二)もそうだと思うけど、俺たちはみんな90年代のプロレスを観て育ってきたから。当時の「プロレスは闘いだ」とか、「ストロングスタイル」とか、「キング・オブ・スポーツ」とか。そういう部分に憧れて、この業界を目指したから。そこは、10歳上とか10歳下のレスラー達とはまた違う感覚だと思う。 

――世代間でそういう違いがあるんですね。

鷹木 だから、今回、アイツのクレイジーな部分を引き出したいという想いはあるんだよね。そのためには、俺もクレイジーにならなきゃいけないなと。いいんじゃないの? それで。

――いずれにせよ飯伏選手は、自分を思い切りぶつけられる相手だと。

鷹木 俺はもう誰であろうと、打撃もガッチリ来てくれた方がやりやすいし。俺の試合って、「凄く熱い」とか「激烈」だとか言われるけど、ホントはガッチリ来てほしいんだよ。ガッチリ来てくれた方がガッチリ返せるから。中途半端より、リミッターを外してきて欲しいね。

特別に「東京ドームのメインだから」とか、そういうのは……。ただ、“秘策”はあるよ。ここじゃあ、言えないけど(ニヤリ)

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――飯伏選手は、東京ドームのメインを3度経験していて、「大舞台の経験値は自分が上」と言っていました。逆に鷹木選手は今回が東京ドーム初メインとなります。

鷹木 俺が常に心に置いているのは、「いつもどおり、自分らしく闘う」ということだから。それが後楽園ホールだろうが、東京ドームだろうが、そこまでは意気込まないかな。今年の1.5東京ドームのジェフ・コブとのNEVER無差別級タイトルマッチでも、控室で(高橋)ヒロムが「鷹木さん、いつもどおりすぎませんか?」と言ってたけど、ゆっくり会場入りして、コーヒー飲んで。「いつもどおりが一番だろう」って言ったんだよ。

――なるほど。

鷹木 今回は、調整だったり、試合に向けての想いは違うけど、いつもどおり自分らしさをぶつけることを俺は大事にしてるんで。特別に「東京ドームのメインだから」とか、そういうのは……。ただ、“秘策”はあるよ。ここじゃあ、言えないけど(ニヤリ)。

――気になりますね。東京ドームは拍手が遅れて聞こえたり、いろんな選手がやりずらさを語ってる会場でもありますが、そこも気にならない?

鷹木 東京ドームは席が遠いお客さんだったら、俺らがホントに豆粒くらいにしか見えないワケだから。そういうお客さんに自分たちの喜怒哀楽をどう伝えるかってことは考えるね。いつも以上に、鷹木信悟らしさというか。もう“激烈×10”くらいでいかないと。

――今回、新日本の東京ドームのメインを他団体から来た二人が闘うということで「見せつけてやる」とか、新日本プロレスに対して「ざまあみろ」みたいな気持ちはありますか。

鷹木 「ざまあみろ」って気持ちはないけど、俺がベルトを獲ったことによって生え抜きだったり、以前から新日本にいた人間から、「もっと怒りとかはないのかな」と思ったけどね。ちょっとさびしいなって。「俺にそんな魅力ないのかな」「このベルトに魅力がないのかな」とも思ったし。リング上は喜怒哀楽を出す場所だから、いいんだよ、全然怒ったって。だから、「ざまあみろ」はないけど、「見てろよ」ってのはあるよね。まあ、俺たちにしかできない闘いを見せたいなと。

オリンピック期間中に東京ドームのメインでやれるんだから。そこは、いろいろな奇跡が重なったかなと思うけど。これも“運命”なのかなと。

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――IWGP世界ヘビーのベルトを獲った、やはり鷹木選手にとっての“全盛期”はいま現在でしょうか?

鷹木 俺は「常にいまが全盛期」「常にいまがベストだ」と思ってやってるから。あまり過去は振り返らないし。いまを一生懸命生きているからね。いまを胸いっぱい生きたいと思って、一日一日過ごしているんで。

――さらに、この7月末というのは、世界的にも日本が注目されるタイミングだと思うんですけど。

鷹木 いや、そうなんだよ! 俺、日本でオリンピックをやるって決まった時から、勝手に凄く意識していて。「必ず“和”の精神が活きる時が来る」と思っていて。それはオリンピックが開催されるときだなと思ってたんだよ。それがオリンピック期間中に東京ドームのメインでやれるんだから。そこは、いろいろな奇跡が重なったかなと思うけど。これも“運命”なのかなと。

――これぞ、日本のプロレスを見せつけられる願ってもいない好機というか。

鷹木 アメリカのプロレスとか、メキシコのプロレスとかあるけど、俺は日本のプロレスが世界一だと思っているんで、「これぞMADE IN JAPAN!」「これぞ日本のプロレス!」っていうのを見せたいね。

今回は東京ドームで飯伏とやるけど。東京ドームだったら、“もう一人”やりたい相手がいるんだよ。

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――あと飯伏選手は、「あのハツラツさは脅威だけど、弱点でもある」と言っていました。

鷹木 フフフ。なるほどね……。ただ、そもそも「ハツラツおじさん」とか言い出したのは飯伏だったと思うから。俺のハツラツさに最初に気づいたのは飯伏なので。まあ、いまは東京ドームに向けてエネルギー貯めてるから、いきなり試合開始から“スーパーハツラツおじさん”として暴れ狂いたいなと思ってるよ。

――最後に、まずは7月25日(日)東京ドームで飯伏戦をクリアすることが大前提ですけど、王者として“その先”も見据えていらっしゃるんですか?

鷹木 うーん。やっぱり、獲ることよりも守ることの方が大事だと思うから。実際、大変だと思うし。まあ、今回は東京ドームで飯伏とやるけど。東京ドームだったら、“もう一人”やりたい相手がいるんだよ。言っちゃってもいいかな?

――非常に気になりますね。

鷹木 俺がシッカリと年内、このベルトを守り続けられたら、来年の東京ドームでは“内藤”とやりたいよね(ニヤリ)。……飯伏を撃破して、さらに内藤を倒したら、「昭和57年生まれ最強は鷹木信悟だ」って言えるし。言ってみれば、「いまのプロレス界のトップは鷹木信悟」と言えるわけであって。

――なるほど。

鷹木 それは、俺の自己満でもあるけどね。「俺たちの世代がまだまだプロレス界のトップにいるんだよ」ってことを証明したいし、その中でも“ジャイアニズム”な俺は、「一番強いのは俺だよ」ってことを証明していきたいね。

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著者プロフィール

1972年3月6日に創業者のアントニオ猪木が旗揚げ。「キング・オブ・スポーツ」を旗頭にストロングスタイルを掲げ、1980年代-1990年代と一大ブームを巻き起こして、数多くの名選手を輩出した。2010年代以降は、棚橋弘至、中邑真輔、オカダ・カズチカらの台頭で再び隆盛を迎えて、現在は日本だけでなく海外からも多くのファンの支持を集めている。

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