八村、渡邊、馬場を生かすためには? 佐々木クリスが占う男子バスケ代表選考

平野貴也

「世界レベルのアスリート」と佐々木さんが評する(写真左から)馬場、渡邊、八村を中核に据える男子日本代表。五輪では、どんな陣容になるのだろうか(写真は2019年W杯の時のもの) 【Getty Images】

 45年ぶりに五輪へ挑戦するバスケットボール男子日本代表は、メンバー12名の選考が佳境を迎えている。6月20日までフィリピンで行われた「FIBAアジアカップ2021予選」を戦った後、代表候補は18人に絞られた。そのうち、海外を拠点としている八村塁(ワシントン・ウィザーズ)、渡邊雄太(トロント・ラプターズ)、馬場雄大(メルボルン・ユナイテッド)の3名を除く15人が、23日、25日、27日と国内でイラン代表との国際親善試合3連戦に挑んだ。7月上旬に予定される東京五輪のメンバー発表に向け、どのような起用と結果が見られたか。また、2勝1敗としたゲームの中で、どのような手応えと課題が見えたか。元プロ選手で現在はアナリストや解説者として活躍している佐々木クリスさんに解説してもらった(選手敬称略)。

※所属は2020-21シーズンのもの

国内組9人は誰になる?

 メンバー選考は、厳しい争いです。海外組3人が中核を担うと考えると、国内組15人から9人しか残れません。その中で、当確なのは田中大貴(アルバルク東京)でしょう。今回の親善試合を見ても、国内組では総合力で一歩抜きん出ています。所属クラブではSGですが、ピックアンドロールを主流に組み立てる攻撃をたたき込まれていて、原理原則の理解度が高い選手。192センチでアジアクラスならエース格とマッチアップできる守備の強みもあり、正PGとして起用するために経験を積ませている部分があると感じました。

 もう一人、SFの張本天傑(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)も絶対に外せない選手だと確信を強めました。3試合目で18分プレーして3ポイントを5本中4本決めましたが、あれくらい打って決めないと強豪国には勝てません。外角シュートでは、安藤周人(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)、金丸晃輔(シーホース三河)もアピールできて良かったのですが、張本は、守備面でも貴重です。海外組3人にアクシデントやファウルトラブルが発生した場合に、198センチという国際水準の高さをキープしながら海外組を休ませられるのは、彼だけです。

外からのシュートなどでアピールした金丸 【写真は共同】

 二者択一になる帰化選手の起用は、難しい判断だと思います。フリオ・ラマスヘッドコーチ(HC)がデザインする攻撃では、センターの選手は、スクリーンでガードのドリブルをサポートした後、中間距離に飛び込んでボールを引き出し、逆サイドのウイングやコーナーにパスを展開する役目が求められます。その点で、私はパスがうまいロシター・ライアン(宇都宮ブレックス)を選ぶべきではないかと思っています。守備面を考えても、スイッチディフェンスが増えていて、3ポイントラインより外に出て行う守備では、彼に分があります。

 海外組3人が入ったときに、エドワーズ・ギャビン(千葉ジェッツ)を得点源とする場面はそれほど多くならないのではないか考えている点も理由の一つです。ただ、この3試合では目立った活躍をしたわけではなく、ファウルが多いという課題も出ました。対照的にエドワーズは、得点やリバウンドで結果を残しました。見ていて、一番決めかねる選択のポイントでした。

 私が12名を選ぶなら、八村、渡邊、馬場、田中、金丸、比江島慎(宇都宮ブレックス)、富樫勇樹(千葉ジェッツ)、シェーファーアヴィ幸樹(シーホース三河)、張本、安藤周、ロシターで11名。そこにPGを加えるなら安藤誓哉(アルバルク東京)かベンドラメ礼生(サンロッカーズ渋谷)。Cを加えるなら渡邉飛勇(カリフォルニア大デービス校大学院→琉球内定)という選択です。

 八村はセンターも兼ねる事ができると考えると、最後はガードを選ぶことになるかなと思いますが、ラマスHCがどのような選考をするか注目です。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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