ラ・リーガ全勝バルサ女子、欧州制覇へ FWオショアラ「美しいサッカーに注目を」

信田勢矢

バルセロナ女子FWアシサト・オショアラ。UWCL決勝を前に意気込み、アジアサッカーについて語ってくれた 【Getty Images】

 16日21時(日本時間16日28時)に行われるUEFA女子チャンピオンズリーグ(UWCL)決勝は、ともに初優勝を目指すバルセロナとチェルシーによる屈指の好カードとなった。2年前の決勝では、強豪リヨンの前に大敗を喫したバルセロナだが、そのとき唯一のゴールを決めて気を吐いたのがFWアシサト・オショアラ(ナイジェリア代表)だった。現在26歳ながら、すでにアフリカ最優秀選手を4回獲得するなど、さまざまな個人タイトルを獲得してきたオショアラにとって、欧州制覇はまだ成し遂げぬ夢。そんな彼女が複数のアジアのメディアに対し、決戦を前に意気込みを語ってくれた。また、自身もアジアでプレーした経験からアジアサッカーについても言及している。普段は陽気な彼女だが、熱い一面を見せてくれた。(取材協力:バルセロナ、取材日:5月13日)

2年前の決勝と同じ過ちを犯すことはない

――バルサには非常にレベルの高い選手、特に攻撃的な選手を中心にそろっていますが、チーム内の競争がプレッシャーになったりしませんか?(中国)

 全く問題ないです。チームの層が厚いことは良いことですし、バルサのようなチームでは当たり前のことです。競争はお互いを成長させますし、それが結果的にチーム全体の成長につながるので、非常に良いことと捉えています。出ている選手がケガをすることもあり得るので、全員がいつでも出られるようにしっかりと準備していますよ。

――あなたはバルサに来る前に中国でプレーしていました。中国の選手がラ・リーガ、そしてバルサのようなチームでプレーできると思いますか?(中国)

 何人かの選手は間違いなくプレーできると思います。中国リーグのレベルも高いですし、代表チームにもタレントがそろっていますね。あとはチームや監督の考え方にフィットするかが大事です。今思い出したのですが、王霜(おう・そう)という選手がパリ・サンジェルマンにいましたよね。彼女は素晴らしい選手でした。おそらく個人的な事情で中国に戻ったのではないかと思いますが、彼女のようにプレーできる選手が何人かいると思います。

――今回で2度目の決勝戦です。2年前の決勝は1-4とリヨンに敗れてしまいましたが、その敗戦からどんな教訓を得ましたか?(インド)

 あの敗戦により、経験値が高まったと言えると思います。また、欧州の大会での戦い方というものが私たちの中でより明確になってきているため、戦術面でも改善していると思います。2年前は負けてしまいましたが、一度決勝を戦い修正点が見つかったことは良かったですし、16日のチェルシー戦では、同じ過ちを犯すことはないと思います。

――チェルシーの中で最も優れた2選手、サム・カー選手(オーストラリア代表)及びフラン・カービー選手(イングランド代表)について、うかがいます。この2人に対して特別な対策はしているのでしょうか?(インド)

 その2選手だけでなく、チェルシーには非常に優れている選手が何人もいます。ただ、結局は相手がどういうサッカーをするかはあまり重要ではなく、自分たちの戦術やスタイルを貫くことが重要だと思っています。対戦相手に誰がいるかはあまり気にしていません。

通常の「バルサスタイル」に徹するだけ

オショアラの特長はスピードを生かした動きだしと決定力。バルサのスタイルでは異色の存在だが、逆にアクセントになっている 【写真提供:FCバルセロナ】

――2年前の決勝で唯一のゴールを奪ったのはあなたでしたね。その当時と比べ、チームとしてどんな点が成長したのでしょうか?(インド)

 先ほどもお答えしましたが、経験値が上がったと思います。決勝を戦っただけでなく、その後もヴォルフスブルグやバイエルン・ミュンヘンといった欧州屈指のチームと戦うことで大きな経験を得てきましたし、2年前よりも今の方が良いチームであると確信しています。今回は進化したバルサをお見せできると思いますよ。

――昨今、欧州女子サッカーにおけるチーム間の実力がかなり拮抗(きっこう)してきていると思います。そのように感じられるのは、技術的にも戦術的にも各チームのレベルが上がってきているからなのでしょうか?(インド)

 そう思います。間違いなくここ数年で女子サッカーは進化していますし、おっしゃったように各チームの技術面、戦術面でのレベルは向上し、競争が激しくなってきています。また、2年前はサポーターすら入らない状況で、設備も乏しかったのですが、今やどのチームもより多くの投資を行い、インフラ面も劇的に改善しました。世界各地から良い選手を連れてくるなど、選手への投資も積極的ですね。


――この度は決勝進出おめでとうございます。決勝を前にチーム内の雰囲気はいかがですか?(シンガポール)

 決勝を戦えるということで非常に気持ちが高ぶっています。相手がチェルシーのような強いチームであればなおさらです。チェルシーも数日前にリーグでの優勝を決めましたし、私たちも同様にラ・リーガでの優勝を決めました。お互い良い状況にあるので、非常に面白い試合になるでしょう。いずれにせよ優勝するためには、どんな強い相手であろうと倒さなくてはいけませんね。

――本当に具体的な対策はないんですか?(シンガポール)

 私たちは通常の「バルサスタイル」に徹するだけです。何も変える必要はないですし、チェルシーも同じことを考えていると思いますよ。

――試合前にゲン担ぎをしますか?(シンガポール)

 私ですか? 特にしないですね(笑)。

――近年ベトナムにおいても代表チームを中心に女子サッカーのレベルが向上しています。ベトナムの選手が将来欧州でプレーするためにアドバイスをいただけますか?(ベトナム)

 ベトナムの女子サッカーのレベルが上がっていると聞いてうれしく思いますし、今後も成長を続けられることを祈っています。欧州でさえUWCLのような競争力のある試合が行われるようになったのが最近のことですし(現在のフォーマットに変更されたのは2010年)、ベトナムサッカーも今後数年で更に飛躍するのではないでしょうか。スペインにとどまらず、UWCLやその決勝で戦うベトナム選手が出てくることを願っています。

――キャリアの中で、東南アジアの選手と対戦したことはありますか?(ベトナム)

 すいません。覚えてないです(笑)。通常対戦相手に誰がいるか、あまりよく知らないんです。自分のチームメートのことはよく知っているのですが。すみません(笑)。

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