近2年は相当な高速決着となったヴィクトリアマイルを展望
【2020/11/22 阪神11R マイルチャンピオンシップ(G1) 1着 4番 グランアレグリア】
過去10年のヴィクトリアマイル1着馬と勝ち時計
■表1 【過去10年のヴィクトリアマイル1着馬と勝ち時計】
今年もコースの設定は同様で、NHKマイルCの勝ち時計は1分31秒6。これより2秒速い時計が出るかはともかくとして、今年のヴィクトリアマイルも良馬場なら高速決着を想定していいのではないか。
タイムとは別に、表1に関してもうひとつ指摘しておきたいことがある。13年と14年にヴィルシーナ、15年と16年にストレイトガールがそれぞれ連覇。このうちストレイトガールは、連覇する以前の14年も3着に好走していた。ほかにも、12年1着のホエールキャプチャは翌13年も2着、18年1着のジュールポレールは前年の17年に3着、19年1着のノームコアも翌20年に3着と複数回の好走を記録する馬が多く、いわゆるリピーターには注意を払いたいところだ。
近2年の1〜3着馬および1着時最速タイム
■表2 【近2年の1〜3着馬および1着時最速タイム】
人気別成績
■表3 【人気別成績】
当日馬体重別成績
■表4 【当日馬体重別成績】
前走着順別成績
■表5 【前走着順別成績】
前走レース別成績
■表6 【前走レース別成績】
次に好走例が多い中山牝馬S組は、好走した4頭中3頭が5着以下からの巻き返しだったのに対し、1、2着馬は【0.0.1.5】と着順があまり直結しない。また、同じ右回りの1800mという条件の福島牝馬S組にも似た傾向が見られ、1〜3着馬は【0.0.1.12】と苦戦。むしろ4、5着馬のほうが【0.1.1.5】と好走率は高く、その中身も11番人気2着、18番人気3着という激走だった。加えて高松宮記念組も好走した3頭中2頭が10着以下からの巻き返しで、これら3レースは前走凡走馬の扱いに気をつけたい。
最後に、出走があれば【1.1.1.1】と高い確率で好走しているのが大阪杯組。該当する延べ4頭はすべてG2時代のものだが、G1になってからも当然注目だろう。
【結論】
レシステンシアは阪神JFを2歳コースレコードの1分32秒7で制し、2走前の阪急杯でもコースレコードを記録と、こちらも高速決着には強い。前走2着の高松宮記念があまり直結しないレースであることと、ダイワメジャー産駒が【0.0.0.8】というデータはあるものの、跳ね返してふたつめのG1タイトルを狙いたい。
ほかに速い時計で勝ったことがある馬といえば、スマイルカナ(芝1600m・1分32秒7)、ダノンファンタジー(芝1800m・1分44秒4)が挙げられる。ともに前走でふたケタ着順を喫したものの、巻き返しが多いレースであることは表5の項で確認した通りでチャンスはあるだろう。もちろん阪神牝馬Sを1分32秒0で勝ったデゼル、ダービー卿CTを1分32秒6で勝ったテルツェットも忘れてはいけない存在だが、鬼門とも言える前走1着のデータを覆せるかどうか。
そのほか、好走率の高い阪神牝馬S2〜5着に該当するマジックキャッスル、プールヴィル、エーポスの3頭に、繰り返し好走する馬が多いことから昨年2着のサウンドキアラにも注意しておきたい。
文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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