ソシエダの若き主将、オヤルサバルに聞く タイトル獲得やスペイン代表について

工藤拓

コパ・デル・レイ決勝では決勝点となるPKを決めた

決勝点となったPKについて、「周囲が自分を信頼し、自分にキッカーを任せればうまくいくと信じてくれたことが自信になった」 【Getty Images】

――コパ・デル・レイを勝ち取った今季をどう評価しているか。(ガーナ)

 良いシーズンになっていると思うよ。コパ決勝に勝ち上がったのは昨季だけど、自分たちもファンも、長い間待ち望んできた一戦で幸いにも望み通りの結果を得ることができた。残る5試合(取材日時点)での目標ははっきりしている。ヨーロッパに行くことだ。ここまで順調に来ていると思うので、過去2シーズンに渡って続けてきたことを継続していけば目標を達成できると思っているよ。

――マンチェスター・ユナイテッド戦(EL決勝トーナメント1回戦)でPKを失敗したが、変わらず周囲の信頼を得てコパ・デル・レイ決勝で決勝点となるPKを決めた。(UAE)

 PKもトレーニングし、対策を立てるもの。確かに最近は決められなかったPKもあったけど、決勝の前日にキッカー候補の数人で練習をした際はやるべきことを明確にイメージできたし、チームも自分を信頼してくれた。最後に全員で相手のビデオを見て研究したんだけど、試合前日に決めたことは正しかったと思う。自分がやるべきことははっきりしていた。でもそれ以上に周囲が自分を信頼し、自分にキッカーを任せればうまくいくと信じてくれたことが自信になった。幸運にもゴールを決め、みなが望んでいたタイトルを手にすることができたよ。
――クラブ最後のリーグ優勝から40年が経過した。現状リーグタイトルを争うことができていないラ・レアルの生え抜きの選手たちにとって、40年前に成し遂げた2度のリーグ制覇はどんな重みを持っているのか?(アメリカ)

 実際に入ってみれば、このクラブでプレーし、タイトルを勝ち取ることがどれだけ難しいか理解できるよ。1部リーグで優勝することの価値と重要性もね。自分は当時生まれてもいなかったし、あれから長い歳月が経過しているので、自分たち若い世代にとっては今回のコパ優勝が一番の記憶になっていくと思う。長年遠ざかっていたタイトルだしね。もちろん全ての功績が重要であり、クラブの歴史の一部を担っている。その中に加わることができたことを誇りに思うよ。

――イマノル・アグルアシル、シャビ・アロンソらクラブ出身監督の重要性は?(アメリカ)

 監督が選手たちに信頼を示すことも重要だけど、それ以上に選手たちが監督のことを信頼できるかどうかが重要だと思う。その点、イマと自分たち、サンセバ(Bチーム)とシャビの信頼関係に疑いの余地はない。彼らはクラブと選手たちが全幅の信頼を置いている監督であり、それはとても重要なことだ。何より彼らはクラブに対する忠誠心を持ち、クラブの価値観を象徴する存在だからね。それはクラブで育った選手たちにとっても非常に重要なことなんだ。
――ダビ・シルバ、ナチョ・モンレアルの経験がチームにもたらしたものは?(アメリカ)

 ダビ、ナチョのような選手がラ・レアルに来たいと望んでくれたことは、クラブの取り組みがうまくいっている証拠だと思う。上を目指して戦い、成長していくための理想的な環境だと外から見られていることは、自分たちにとって誇らしいことだよ。

――シャビ・プリエトのように、このチームでプレーし続けたいか?(ブラジル)

 自分たちには過去にクラブで活躍してきた模範となる選手がたくさんおり、その中にはともにプレーした選手もいる。クラブの下部組織で育ち、Bチームから上がってきた生え抜き選手が多いのは素晴らしいことだと思う。スビエタでは自分のようにBチーム上がりでトップチームに定着する選手を育てるべく、多くの人々が従事しているからね。前にも言った通り、自分はこの場所が好きで、この場所に満足している。ここでは素晴らしい環境とグループを作ることができている。長くここにいられることを願っているよ。
――スビエタは最も多くのプロ選手を輩出しているカンテラの1つ。現在トップチームには15、6人の生え抜き選手がいるはずです。(司会者)

 正確な数字は分からないけど、恐らく15、6人くらいはいると思うよ。

――自身のシーズン最多得点に近づいている。得点力が伸びた要因は?(メキシコ)

 今季はPKのキッカーを務めていることで、より多くのゴールを決めるチャンスを得ている。でもPKを蹴り、決めることにも価値がある。誰もがより多くのゴールを求めるもの。個人的にここまでの結果には満足しているけど、もっと決めたいと思っている。決め損ねたもの、GKに止められたものなど、より多くのチャンスがあったはずだからね。ゴール数でチームに貢献できるのは良いことだと思うよ。

EUROでプレーしてみたいし、今夏は五輪も…

スペイン代表について、「EUROでプレーしてみたいし、今夏は五輪もある。シーズン終了後にはいくつもの可能性があるけど、第一に考えるべきはクラブのこと」 【スポーツナビ】

――メッシがスペイン代表でプレーしていたら、どうなっていたと思うか?(アルゼンチン)

 メッシがスペイン代表でプレーしていたら……、何が起きていたかは分からないけど、間違いなく違っていただろうね、特にここ数年は。前にも話した通り、EUROとワールドカップを制した頃の代表はスペクタクルなチームだった。恐らく再びあれほどの黄金期が再現されることは今後ないかもしれない。そこにメッシが加わっていたら、どうなっていたかは分からないけど、特にここ数年は確実に変わっていたと思う。個人的に、ここ数年はメッシのプレーをよく見てきたし、最も苦しめられてきたのでね。

――スーパーリーグ問題に揺れたこの数日、周囲はどんな状況だったか?(アルゼンチン)

 誰もが訴えているように、ヨーロッパのコンペティションの出場権はピッチ上で勝ち取るべきものだと思う。ランダムに選ばれるのではなく、結果で決まるべきだ。結局、1年を通して手にした成績が翌年のヨーロッパ行きにつながる現行の方式がベストだと思うよ。
――クラブが世界中で、とりわけUAEで有名になるためにはどのようなプロモーションが必要だと思うか?(UAE)

 何と言えばいいか分からないな。クラブには独自の価値観があり、ここにいる選手の多くがその価値観を共有し、支えている。当然ながら、他国では他のトップクラブが人気を集めていると思う。有名な選手を多く抱えているし、大きな成功も手にしているからね。その中でラ・レアルが他国のファンをひきつける方法があるとすれば、それは独自の価値観を通してだと思う。クラブが持つ価値観は明確で、とても強力なものだからね。

――デビュー時の監督はモイーズだった。彼との思い出は?(イギリス)

 デイビッド・モイーズに呼ばれて、初めてラ・レアルのプレシーズンに参加した時は、Bチームでプレーする予定だったから驚いたよ。まだ18歳だった自分とイゴール(スベルディア)がトップチームに加わったわけだからね。フィジカルトレーニングが多く、若い自分たちには辛かった。いい思い出である反面、苦しんだプレシーズンでもあったよ。とはいえ、好きなことなら良い苦痛だと言われているし、チャンスを与えてくれた監督にはとても感謝しているんだ。もしあの時チャンスをもらえていなかったら、今の自分はいなかったかもしれないからね。
――デイビッドはとても厳しい監督だった?(イギリス)

 そうだね。彼もフィジカルコーチも。厳しいトレーニング内容で、まだ若かった当時の体にはこたえたよ。

――ラ・ロハ(スペイン代表)のシャツを着る気持ち、EUROでの目標は?(フランス)

 今はラ・レアルに集中しているし、ここで結果を出すことが代表入りにつながっていく。呼ばれるかどうかは、クラブでの活躍次第だからね。EUROでプレーしてみたいし、今夏は五輪もある。シーズン終了後にはいくつもの可能性があるけど、第一に考えるべきはクラブのこと。ラ・レアルでのシーズンが終了したら代表招集の可能性について考えるよ。
――スペイン代表のEUROでの目標は優勝?(フランス)

 もちろん、目標は常に勝つことさ。どのチームも優勝を目指している。他にもハイレベルな代表チームがいるけど、自分はともに戦ってきたグループを信じているし、これまで呼ばれていなかった選手たちが加わってくる可能性もある。もし招集されたら、チームの勝利のためにできる限り力になりたい。

――コパ・デル・レイ決勝後の会見で、イマノルが披露したパフォーマンスを初めて見た時の印象は?(アメリカ)

 あれはバスの中だった。リアルタイムでは見ていなくて、バスに乗って仲間たちとカップを掲げ、音楽をかけて勝利を祝う中でチームメートがビデオを見せてくれたんだ。前にも話した通り、彼は自分たち生え抜き選手と同様にラ・レアルを心から愛している。内から湧き出てきた魂の叫びをあのような形で表現したんだろうね。

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著者プロフィール

東京生まれの神奈川育ち。桐光学園高‐早稲田大学文学部卒。幼稚園のクラブでボールを蹴りはじめ、大学時代よりフットボールライターを志す。2006年よりバルセロナ在住。現在はサッカーを中心に欧州のスポーツ取材に奔走しつつ、執筆、翻訳活動を続けている。生涯現役を目標にプレーも継続。自身が立ち上げたバルセロナのフットサルチームは活動10周年を迎えた。

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