スポーツのアカデミー賞“Laureus”とは 日本から「スポ止め」がノミネート
国や競技の偏りが一切ない権威ある賞
2019年には、テニスの大坂なおみが「年間最優秀成長選手賞」に輝いた 【Getty Images for Laureus】
ローレウス世界スポーツ賞には男女それぞれの年間最優秀選手、最優秀チームなど7つの主要な賞がある。アクションスポーツ、障がい者スポーツなども表彰の対象だ。日本人では2019年にテニスの大坂なおみが「年間最優秀成長選手賞」に輝いた。大坂は今年の「年間最優秀女子部門」にノミネートされている。また今年の「年間最優秀復活選手部門」には、交通事故から復活を遂げたバドミントンの桃田賢斗もノミネートされている。
昨年までは2月に表彰式を行っていたが、21年はコロナ禍を受けて表彰式がリモートになり、時期も5月にずれている。
昨年まではレッドカーペットも用意された表彰式が行われていたが、21年はコロナ禍を受けてリモートとなる予定だ 【Getty Images for Laureus】
過去の表彰者を見ると、国や競技の偏りが一切ない。表彰の対象になった競技を挙げると、モータースポーツ・陸上競技・サッカー・ラグビー・野球・クリケット・テニス・ゴルフ・自転車・体操・スキーとあらゆるジャンルが網羅されている。そして世界の五大陸すべてから表彰者が出ている。
錚々たる各大陸の“レジェンド”たちが審査
アカデミーの会長は元オールブラックスのキャプテンでもあるフィッツパトリック 【Getty Images for Laureus】
まずアカデミーメンバーの人選について、彼はこう説明する。
「メンバー入りには厳しい審査があります。さまざまな文化、国、競技を代表する多様性に満ちた構成になっています。南米、北米、アフリカ、オセアニア、アジアと全世界のメンバーがいます。意見や視点がそれぞれ違って、議論は常に熱くて濃いものになります」
アカデミーのメンバーは引退選手で構成される。フィッツパトリックの他にも、セルゲイ・ブブカ(棒高跳び)、ナディア・コマネチ(体操)、エドウィン・モーゼス(400mハードル)、フランツ・ベッケンバウアー(サッカー)、姚明(バスケットボール)といった錚々(そうそう)たる各大陸の“レジェンド”が名を連ねる。
加えて活動に賛同、協力するローレウス・アンバサダーも全世界に200名以上いる。日本からも5名(香川真司、杉山愛、内村航平、有森裕子、為末大)がアンバサダーに入っている。
ローレウス世界スポーツ賞には、一種類だけ一般投票で選ばれる賞がある。それが「ローレウス・スポーティング・モーメント賞」だ。この賞は「これまでになかった新しい方法や他にはない素晴らしい方法で、スポーツが人々に団結力をもたらし、世界中に大きなインパクトを与えた瞬間(モーメント)が称えられるもの」と定義されている。
フィッツパトリック会長は述べる。
「スポーティング・モーメント賞にノミネートされた団体や個人は、さまざまなバックグラウンドを持っています。まさにわれわれが標榜しているスポーツ ユナイツ アス(Sport Unites Us=スポーツを通して一丸になれるという考え)を象徴している賞だと思います」