萩原智子が驚いた、池江璃花子の修正力 五輪での活躍期待も「休む勇気も大切」
競泳日本選手権で4種目優勝、リレーメンバーとして東京五輪代表に内定した池江。白血病から復帰し見事な活躍を見せた 【写真は共同】
池江は、高校3年生だった2018年にアジア大会で日本選手初となる6冠を達成するなど、東京五輪のメダル候補として注目を集めていたが、19年2月に白血病に罹患(りかん)したことを公表して戦列を離れた。東京五輪の参加は不可能と思われたが、20年8月に1年7カ月ぶりにレースへ復帰。その後、大会を重ねるごとに記録を伸ばし、リレー種目ではあるが、コロナ禍で1年延期となった東京五輪の出場にこぎ着けた。
2024年パリ五輪を目標とする中、想定より早く復調した池江の泳ぎは、どこまで戻っているのか。復活劇に見える強みは何か。2000年シドニー五輪の女子200メートル背泳ぎで4位に入賞したほか、個人メドレーやフリーリレーでも活躍し「ハギトモ」の愛称で知られた萩原智子さんに、解説してもらった。
いつも、こちらの想像を上回ってくる
萩原さんは、100メートルバタフライでの池江の修正力に驚いたという 【写真は共同】
泳ぎの面では、以前と変わらない技術の高さが目を引きました。バタフライも自由形も、体が水面によく浮いていて、抵抗を受けにくい姿勢がとれていました。多くの選手は入水した勢いで手が沈み、釣られてボディポジションも下がりがちになりますが、入水して手が沈まずにすぐ水をかき出す技術は健在でした。
また、大会中の修正力にも驚かされました。体力の消耗が激しい100メートルバタフライは、予選、準決勝で後半に失速していましたが、決勝ではしっかりと修正してきました。50メートルの折り返しのタッチが合わずに減速してターンをしたことで、ターンの勢いを後半につなげられていませんでした。
準決勝からは、スタート後の水中ドルフィンキックの回数を変更したこと、前半50メートルの腕のかく回数を19回から18回に変更しましたが、それでも折り返しのタッチを合わすことができず、後半スピードに乗ることができず、後半失速。決勝では、準決勝での取り組みに加え、前半18回の腕のかき数は変わりませんでしたが、後半に余力を残せるよう大きな伸びのある泳ぎで折り返しタッチも合い、後半に勢いよくつなげることができました。
最後は、腕を上げるのがきつくなるのでキックで進んだという話をしていましたが、相当なレースをやり込まないと難しいところを、復帰してから数回のレースで、しかも一発勝負でできてしまうのは、さすがの一言です。