連載:香川真司「心が震えるか、否か。」

香川真司、祝福ムードが一転して…… 念願のスペイン移籍は目前で破談に

香川真司
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第8回

2018-19シーズン途中、香川真司は出場機会を求めてトルコのベシクタシュへ期限付き移籍。そしてシーズン終了後、新天地を探すことに 【Photo by Etsuo Hara/Getty Images】

 ヨーロッパの東の端にあるトルコから、日本とは真逆の方向へ。行き先はスペインだ。トルコでのシーズンを終えて、秘密裏に別の国に足を踏み入れた。そんなことをするのは2012年のマンチェスター訪問以来だった。

 現地では、あるクラブの選手編成をとりまとめるGMと面談した。先方からはこう言われた。

「○○選手を来シーズンの開幕前までには放出する。彼が移籍すれば、外国人枠がひとつ空く。そこで君を獲得したいと考えている」

 香川もそのクラブと契約したいという希望を伝えた。移籍市場が閉まる間際ではなく、シーズンが終わって市場が開いたばかりのタイミングだった。1年前とは比べものにならないほど、早いタイミングからアクションを起こしていった。
 2019年、夏。つかの間のオフをはさんで、日本を発(た)つ日はすぐにやってきた。ベシクタシュへのレンタル期間は終わっているため、ドルトムントに戻って練習をしながら、オファーを待つことになる。もちろん、契約が残り1年となったドルトムントと香川の間には、この夏に完全移籍を目指すことでコンセンサスがとれていた。

 ただし、ドイツへ戻る直前に、クラブからの連絡ではなく、報道を通して知ったひとつの事実があった。

 2019-20シーズンから、新加入のT・アザールが23番を背負うことになるというニュースだった。

 香川の夏の移籍がほぼ確実であるため、ずっと背負ってきた23番は期待の新加入選手に送られたわけだ。ただ、そのあとに香川がチームに合流してからも、T・アザールたちから「23番をもらったよ」という話があったわけではない。移籍が絡むと、色々なことがドライに進んでいくが、その点だけは違和感を覚えた。

 プレシーズン序盤には、香川もドルトムントのトップチームの選手たちと一緒に練習試合でプレーすることもあった。代表で活動した選手が遅れて合流したり、怪我人が出ていたりしていたからだ。

 やがて、トップチームの選手たちが続々とチームに戻ってきたため、それもなくなった。このタイミングでクラブ側からは、トップチームの一員として練習するか、2軍にあたるU-23で練習するのか好きな方を選んでよいと言われた。前年の11月のようにいきなりトップチームの練習から離れるように言われたわけではない。ただし、トップチームとともに練習したとしても、紅白戦などに出場する機会は基本的には与えられないと説明を受けた。一方のU-23はドイツ4部リーグを戦うチームだから、レベルは落ちる。ただ、移籍が決まったときに、すぐに試合でプレーできるよう準備をするためには、レベルが落ちたとしても紅白戦を含めて全てのメニューに取り組める方が良い。だから、U-23と一緒に練習したいと伝えた。
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著者プロフィール

香川真司

1989年3月17日生まれ。兵庫県出身。中学入学と同時に宮城県へサッカー留学し、FCみやぎのジュニアユースに所属。高校2年生でセレッソ大阪に加入、J2得点王に輝くなどクラブのJ1昇格の原動力となる。2010年、ドイツのボルシア・ドルトムントに移籍すると中心選手として活躍し、9期ぶりのブンデスリーガ制覇やクラブ史上初となる国内2 冠に大きく貢献。2012年にイングランド・プレミアリーグの名門マンチェスター・ユナイテッドに移籍してリーグ優勝を経験。その後、ドルトムント、トルコのベシクタシュJK、スペイン2部リーグのレアル・サラゴサを経て、ギリシャのPAOKテッサロニキに所属。日本代表には平成生まれの選手として初めて選出され、背番号10を背負い、2014年ブラジルW杯、2018年ロシアW杯に出場。日本代表97キャップ、通算31ゴール。

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