スポーツの力で、福島県を盛り上げる。 〜東日本大震災メモリアルマッチ 福島ダービー いわきFC対福島ユナイテッドFC
【@IWAKI FC】
決して負けてはいけない相手。
「お互いが存在するからこそ、ダービーがある。盛り上がるのは、それぞれのチームが一所懸命やっているから。福島ユナイテッドさんと切磋琢磨しながら、スポーツの力で一緒に福島県を盛り上げていきたいと思います。
ただしそれは、クラブ間の事情に過ぎません。
福島ユナイテッドさんとはチームが現体制となった2016年から毎年戦ってきました(※2020年は新型コロナ禍の影響で中止)。2016年は延長で敗れましたが、2017年からは3連勝しています。また2019年2月のJヴィレッジ再開記念マッチでも、5対0で完勝しています。
チーム立ち上げ当初こそ、勝って自信をつけた面はある。でも、今は違う。福島ユナイテッドはライバルというよりも、決して負けてはいけない相手。だから選手にもスタッフにも『一緒に頑張る』なんて気持ちはない。バチバチにやり合って圧倒するだけです」
田村監督はそう語り、闘志をむき出しにする。この言葉のバックボーンには、昨年のJFLで味わった悔しい思いがある。
【@IWAKI FC】
「日本のフィジカルスタンダードを変える」という思いに立ち返る。
初参戦となったJFLでは、持ち前の攻撃力を発揮。全15試合で24得点を挙げ、観客動員数もナンバーワン。チームは初の全国リーグでも、十分戦えることを示した。しかし成績は7位。優勝はおろか、4位以内というJ3参入要件を満たすこともできなかった。
この結果は、とうてい受け入れられるものではない。
2021年。チームは原点回帰を目指し「Humble&Hungry」というテーマを掲げ、年初から例年にない量のトレーニングをこなしてきた。
「昨年はとても悔しい結果に終わりました。だから取り返すしかない。決して昨年も鍛えてこなかったわけじゃない。でも、やっぱり足りなかった。それは結果が物語っています。
だから今年は振り切りました。ほしいものを得るには、それなりの犠牲を払わねばならない。きれいごとでは無理。選手もスタッフも、もっとハードワークしなくてはいけない。
特に足りなかったのがストレングストレーニング。東北社会人リーグからJFLと、戦うカテゴリーが上がるにつれ、サッカーの練習に時間を割かなくてはいけなかった。もちろんストレングストレーニングは、昨年もそれなりにやっていました。でも、例年に比べるとボリュームが減っていたのは否めません。
原点に立ち返れば、いわきFCは『日本のフィジカルスタンダードを変える』と宣言しているクラブ。その思いに戻って、もっと鍛えなくてはいけないと思い直しました。幸い、Jリーグのクラブと比較しても、トレーニング施設は十分。これだけ恵まれた環境があるのだから、やる。それ以外の選択肢はありません」
【@IWAKI FC】
補強完了のDFと、タレント豊かなアタッカー。
昨年の24得点はリーグ4位タイ。だが失点も多く、得失点差は±0。そのため、DF陣は即戦力を重点的に補強した。
高いビルドアップが求められるGKはベテラン坂田大樹に加え、いわてグルージャ盛岡から射庭康太朗を補強。そして昨年メンバーが定まらず不安定さを露呈したCBは徳島ヴォルティスから奥田雄大、京都サンガF.C.から江川慶城を補強。ムードメーカーの田中龍志郎が負傷で長期離脱となったのは痛いが、昨シーズン途中に加入し活躍した小田島怜、黒宮渉、2年目の黒澤丈など、人材は充実している。
引退と移籍で層が薄くなったボランチは、昨季中盤に負傷から復帰して軸となった山下優人に加え、国士館大から宮本英治、流通経済大からシャドーもこなす関野元弥を補強。
そして田村監督が「今年、最も見てほしいポジション」と語るのが両サイド。いわきFCの攻撃力の象徴である3年目の日高大と5年目の金大生の両翼に、左右をこなす嵯峨理久が仙台大より加わった。嵯峨の加入に伴い、両サイドにはより多彩な役割が求められていく。
【@IWAKI FC】
今まで両サイドは主に使われる役割でしたが、今年からはゲームを作らせたい。使われるだけでなく、自分も積極的に使う。そんな役割です。選手自身が賢くなければできませんが、他のチームが行っていないことへのチャレンジはやりがいがあります。
そして日高、嵯峨がその役割を担うことで、金大生の持ち前の縦への突進力がさらに生きてくるはず。そのように個人を生かしながら、戦術を上手く落とし込んでいきたい」
前線の攻撃陣は、大黒柱のターゲットマン鈴木翔大に加え2年目の岩渕弘人、ベテランの平岡将豪、キャプテンを務める山口大輝の他、昨季ヴィアティン三重で活躍した古川大悟、そして青森山田高出身3年目のバスケス・バイロンなど、タレントがそろう。昨年10月にチリから戻り、今年はシーズンインからフル稼働するバイロンには今年、新たな役割が与えられる模様だ。
やろうとすることは、おそらく似ている。
「2月の地震の影響もあり、これまで強い相手とのトレーニングマッチを組めていません。いわきFCを打ち負かす可能性のあるチームと戦うのはこのダービーが初めて。この試合は一つの指標になるでしょう。
福島ユナイテッドの時崎悠監督は、湘南ベルマーレで選手そして指導者として一緒にやっていた旧知の間柄。サッカー観、やろうとすることは似ている印象があります。だから、どんなことをしてくるかが非常に楽しみです。おそらく、今までの福島ユナイテッドのような、つないでつなぎ倒すサッカーはしないはず。
今時点では、トレーニングの成果が順調に積み上がっている感触はあります。それが福島ユナイテッドという相手にどれだけ通じるのか。そして、どんな課題が新たに出てくるのか。JFL開幕に向けて、非常に大事な試合になると思います。
今年はこれまで積み上げてきたことをベースに、さらに進化したチームになる。新たないわきFCを、ファンの皆さんがどう感じてくれるか。それもまた楽しみで仕方ありません」
【@IWAKI FC】
東日本大震災から10年。復興は依然として道半ば。そんな中、復興の一つの象徴であるJヴィレッジスタジアムで2月28日(日)13時から、福島ユナイテッドFCといわきFCが、互いのプライドを懸け激突する。
この試合は「福島県新型コロナウィルス感染予防拡大防止対策」に準じ、Jヴィレッジスタジアムの収容定員5000名の50%以内となる2500名という入場制限を設けて開催される。そしてより多くの方に試合をご覧いただくため、JヴィレッジYouTubeチャンネルにて、ライブ配信を行う予定だ。
https://note.com/nrhkmd221
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