山梨学院vs.帝京長岡 4つのポイント 決勝へ“陣取り合戦”が勝敗の鍵

安藤隆人
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山梨学院vs.帝京長岡、決勝進出へのポイントを4つに分けて解説していく 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

 ついにベスト4が出そろった第99回全国高校サッカー選手権大会。1月9日に行われる準決勝第1試合は11年前の選手権王者・山梨学院と、2年連続ベスト4進出の帝京長岡との一戦になった。ここでは、この試合を4つのポイントから解説する。

1.ダブルボランチを中心とした堅守vs両サイドの技術と推進力を生かした変幻自在の攻撃

 山梨学院の今年の武器は長谷川大監督が徹底して構築してきた守備にある。【4-2-3-1】のフォーメーションで、強固なブロックを作るのではなく、奪うポイントを明確にして、ボールホルダーに対して、トライアングルを作って連続したプレスをかける。特に石川隼大と谷口航大の2年生ダブルボランチのインテリジェンスが高く、彼らがボールの動きに目を配りながらも、常に次の展開を意識して、チャレンジ&カバーを繰り返す。チャンスと見るや2人で一気に挟み込んでボールを奪い取って、素早い攻守の切り替えを見せる。

 このダブルボランチをいかに揺さぶれるかが、帝京長岡にとって山梨学院攻略の大きなポイントになる。帝京長岡の左MF上野一心と右MFの1年生・廣井蘭人の両サイドハーフは、サイドバックが高い位置に張り出したときに、サイドバックと2トップの間のスペース、守備側からするとボランチ脇のスペースにどんどん侵入し、相手の守備網にヒビを入れていく。

 この“陣取り合戦”でどちらが上回るかで、この試合の優位性は大きく左右されるだろう。もしかすると帝京長岡は今大会の基本布陣であるダブルボランチの【4-4-2】ではなく、キャプテンの川上航立をアンカーに置く【4-1-4-1】の布陣を敷いて、相手のダブルボランチとマッチアップをさせて前に圧力をかけてくるサッカーも選択肢にあるかもしれない。

2.サイドバックの裏のスペースの活用

 これは1つ目のポイントと連動することだが、帝京長岡は攻撃時に後ろを2枚にして、両サイドバックがワイドの高い位置を取る。そうなったときに山梨学院が狙うのはその裏のスペース。実際に準々決勝の昌平戦でも、帝京長岡と同じように両サイドバックが高い位置をとって攻撃に絡んでくる相手に対し、「局地戦に挑んでくる相手は得てしてサイドバックを高くしてくるので、サイドバックの裏を狙って、相手のベクトルをコントロールすることを意識した」と長谷川大監督が語ったように、奪ったボールを素早く展開し、トップ下の野田武瑠と両サイドハーフを走らせて、そこで起点を作った。
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著者プロフィール

1978年2月9日生まれ、岐阜県出身。5年半勤めていた銀行を辞め単身上京してフリーの道へ。高校、大学、Jリーグ、日本代表、海外サッカーと幅広く取材し、これまで取材で訪問した国は35を超える。2013年5月から2014年5月まで週刊少年ジャンプで『蹴ジャン!』を1年連載。2015年12月からNumberWebで『ユース教授のサッカージャーナル』を連載中。他多数媒体に寄稿し、全国の高校、大学で年10回近くの講演活動も行っている。本の著作・共同制作は12作、代表作は『走り続ける才能たち』(実業之日本社)、『15歳』、『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、『ムサシと武蔵』、『ドーハの歓喜』(4作とも徳間書店)。東海学生サッカーリーグ2部の名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター

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