連載:Bリーグ特別対談

里崎智也×島田慎二が“徹底討論” プロ野球ファンをBリーグに呼ぶには?

ダブドリ編集部

バスケを知らない人に向けて柔らかくしゃべる。これが大事だという観点を持っている人がバスケ界には少ない(島田)

里崎さんのような観点を持つ人材がバスケ界には少ないことを島田チェアマンは懸念している 【写真:三浦雄司】

――野球とは違う魅力がバスケにはあるというお話でしたが、知らない人にそれを伝えるにはどうしたらいいと思いますか?

里崎 こういう競技を越えた取り組みは一つの手ですよね。最近YouTubeではやっているコラボみたいなもので、これをきっかけにBリーグに興味を持ってくれる僕のファンはいると思います。僕は朝の情報番組に出させていただいているんですが、僕の役割は2つあると思っています。1つはコア層に向けてしっかりと解説をしていく。もう1つは、全く興味がない人に興味を持ってもらう。この2つを考えたとき、実はコア層に向けた解説の方が簡単なんです。

――一見しっかりとした解説の方が難しいように見えますが、むしろ簡単なんですね。

里崎 コア層は絶対についてくるんです。全く興味がない人に興味をもってもらう作業の方が難しいです。硬くしゃべるのは簡単なんですよ。柔らかくしゃべるのはめちゃくちゃ難しい。そこをどれだけ頑張れるかがバスケファンの裾野を広げるには大事だと思います。

島田 仰る通り、選手は専門的なことを話すのは得意ですし、子供からおじいちゃんおばあちゃんまでを相手に柔らかく話すというのは高度だと思います。でもそれ以前に、そもそもそれが大事なことだという観点を持っているかではないでしょうか。バスケに全く興味がない人、野球は好きだけどバスケなんて見たことがないという人に「面白そうだな。一回バスケを見てみようかな」と思ってもらうにはどうしたらいいのか。これが重要課題だという観点を持っている人がバスケ界にどれだけいるかというと、残念ながらかなり少ないと思います。

里崎氏はコア層向けの解説と一般層向けの解説を意識して分けていると言う 【写真:三浦雄司】

――里崎さんが柔らかくしゃべるときに気をつけていらっしゃることはありますか?

里崎 一般層には専門用語が全く通用しないことです。朝の情報番組だと「おっつけるってなんですか?」って聞かれるんです(編集部注:おっつけるとはコンパクトなスイングで内角にきた球を流し打ちすること)。

一同 (笑)。

里崎 あとは「反対方向へのバッティング」もダメです。

――え、それもダメなんですか?

里崎 「反対方向ってどこですか?」と言われる。

――なるほど(笑)。

里崎 だから朝の情報番組だと30秒しか尺がなくても「右バッターの反対方向、ライトへのバッティング」というところまでかみ砕いてしゃべらなければいけないんですよ。

島田 へえ。

里崎 でもプロ野球ニュースだと「おっつける」でいいんです。朝の番組だとそこまで言わなければいけない。僕自身、勉強になりました。ゼロをイチにするにはそういう言い方が大事なんだなと思いました。

島田 そうなんですよね。われわれはスポーツの世界で仕事をしているので、そういう感覚をつい忘れがちですが。

――バスケは野球より厳しいですよね。外来語というか、英語ばかりですもんね。

島田 バスケは外来語系が多いですよね。しかもバスケを好きな人はマニアックにバスケを好きすぎるので、言語をかみ砕くという概念がほぼ無いと思うんですよね。そこは気をつけないといけないですよね。私自身は競技を語ることが少ないのですが、千葉ジェッツの社長をやっていたときは苦労しました。例えばヘッドコーチの試合後のインタビューで、ファンへのメッセージと言っているのに専門用語が出てきてしまったりする。試合会場にいる人ならバスケを見にきているということで一定のハードルを超えていますが、その癖がいろんな場面で出てきてしまう。もうちょっとライトな人たちに対してどうやって伝えていくかという観点は持たなければならないと思います。

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※『BS12 水曜バスケ!』
【新春特別企画】里崎智也×島田チェアマン・スペシャル対談
〈放送日〉
・2021年1月6日(水)よる7時〜【前編】
・2021年1月20日(水)よる7時〜【後編】
〈チャンネル〉
BS12 トゥエルビ

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著者プロフィール

異例の超ロングインタビューで選手や関係者の本音に迫るバスケ本シリーズ『ダブドリ』。「バスケで『より道』しませんか?」のキャッチコピー通り、プロからストリート、選手からコレクターまでバスケに関わる全ての人がインタビュー対象。TOKYO DIMEオーナーで現役Bリーガーの岡田優介氏による人生相談『ちょっと聞いてよ岡田先生』など、コラムも多数収載。

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