「渡邊雄太ってすごい」となるきっかけに 群馬・笠井康平が振り返る、WC2011決勝

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笠井康平、渡邊雄太(左)を軸にノーシードで決勝に進んだ尽誠学園。ベンドラメ礼生(右)など擁する優勝候補の延岡学園と戦った 【写真は共同】

 2011年のウインターカップは、延岡学園(宮崎)が全試合に20点差以上をつける強さで初優勝を飾った。加えて夏のインターハイ、秋の国体、冬のウインターカップを制する『3冠獲得』は能代工業(秋田)が1998年に達成して以来、13年ぶりとなる快挙でもあった。

 そんな圧倒的強さを誇る延岡学園の決勝の相手は、ノーシードから駆け上がった“ミラクルチーム”尽誠学園(香川)。ポイントガード笠井康平(3年)と日本人2人目のNBAプレーヤー渡邊雄太(2年)の得点力を軸に、接戦に次ぐ接戦を制する粘りを発揮し、これまで超えられなかったベスト16の壁を一気に破った大会だった。大健闘した尽誠学園の色摩拓也コーチは、準優勝へ躍進した選手たちをこのようにたたえていた。

「周りの人は奇跡だと言うけれど、僕は彼らの一生懸命にやる練習を毎日見てきたので、奇跡というのはかわいそうと言いますか、なるべくしてなった結果だと思います。ただ、僕の思っている以上に選手たちは成長しました」

 準優勝の立役者である笠井康平が、延岡学園との決勝と快進撃の舞台裏を振り返る。

個人的に手応えを感じた福岡第一戦

 2011年のウインターカップは、決勝までの一試合一試合が勝負で、思い出に残る大会でした。いちばん印象に残っているのは2回戦でインターハイ準優勝の福岡第一(福岡)に86-70で勝利したことです。福岡第一は留学生の(エルハジ・)マリックがケガで出られないこともあり、高さではうちのほうが渡邊雄太と川上潤平(2年)という2m級が2人もいたことでまさっていました。それでも福岡第一を倒すのは大変だと思っていたのですが、いざ試合が始まると「雄太がアドバンテージ取れているな」という印象があり、勝てる確信はなかったのですが「やれるな」と早い段階で思いました。この試合で僕は思い切りよくシュートを打って37点取ることができたのですが、今思うと、この試合が僕の得点力のピークだったかもしれません(笑)
 
 3回戦で湘南工科大附属(神奈川)を100点ゲームで倒すと、準々決勝の洛南(京都)戦はまたも接戦。マッチアップ気味のゾーンがうまく機能し、66-65で我慢して守り抜いた勝利でした。チーム的には「イケる」と感じたのは洛南に勝ったあとだと思うのですが、個人的に手応えを感じたのは福岡第一に勝ったあとだったんです。僕、福岡第一に勝って泣いたんですよ。第一に勝ってうれし泣きをしたあとにプレッシャーがなくなり、楽しみながら余裕を持って試合に入ることができ、「チームが乗ってきているな」というのを俯瞰(ふかん)で見ることができた記憶があります。

 準決勝は沼津中央(静岡)。最大17点差開いたのを63-58で大逆転した試合でした。前半は留学生のシェリフ・ソウを止められなかったのですが、後半に入って雄太と川上が同時に出たことで、その高さをシェリフが嫌がり、次第にシュートを落としだしました。そこで、リバウンドをコツコツ拾うことで流れが変わり、そのタイミングで僕と雄太のシュートが当たり出したんです。この試合もサイズで上回って、留学生相手に戦えた手応えがありました。
 
 決勝まで、どの試合もそうだったのですが、大会前に詰めて練習したマッチアップ気味のゾーンが本当に効きました。ガード陣が運動量多く動いて、頭を使いながらやるディフェンスで、これがどのチームにも通用したので決勝まで勝ち上がれたのだと思います。
 
 決勝の延岡学園戦は……55-88で33点差の大敗でした。1Qから点数が離れてそのままカムバックできず、波に乗れずに試合が終わったなあ…という決勝でした。
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