連載:『やべっちF.C.』の功績 新番組『やべっちスタジアム』の全貌

やべっちスタジアムがいよいよスタート 矢部浩之が語る番組への思いとF.C.のこと

飯尾篤史

そこはご両親に懸かってます

新番組でやりたい企画として「ボールは蹴りたい」と即答。「新しい伝説作っていきたい」と意気込んでいる 【(C)テレビ朝日】

――『やべっちスタジアム』でもやりたい企画はありますか?

 全部やりたいですけど、やっぱりボールは蹴りたいですよね。2002年に『やべっちF.C.』が始まるとき、「プロとボール蹴りたい」って言ったんですよ。それをずーっとやってこられたんで、続けられたらうれしいですよね。子どもの頃から、サッカーだけはずーっと好きなんですよね。たまにしかボール蹴らへんくせに、「うまなりたい」と。「俺、まだできるんちゃうか」と。これはね、プロのマジックというか、プロとボール蹴ったら、うまく見せてくれるんです。毎年年末にフットサルをやらせてもらって、本当に感じることで。だから、まだできるんちゃうかって。

――矢部さんも来年は50歳になります。

 50歳かぁ。そう考えると、キング・カズさん(三浦知良)、すげえなって(笑)。でも、僕もやりたいですね。できれば代表クラスの選手とボール蹴って、卑怯(ひきょう)な手を使ってでも、勝ったという映像を残していきたい。新しい伝説作っていきたいですね。

――『やべっちスタジアム』はDAZNでの配信です。いつでも、どこでも、スマホやタブレットでも見られるようになるので、これまでとは視聴環境が変わるかもしれませんね。

 移動しながらでも、ちょっと外でご飯食べながらでも、気軽に見られるのはデカいと思いますよね。それに、『やべっちF.C.』は日曜の深夜やったんで、ちびっこたちは録画して、月曜の朝に見てから学校に行ってたんですって。

――選手の皆さんも午前中から練習があるので、録画して、翌日に見る人が多かったようです。

 録画し忘れちゃうこともあったでしょうけど、DAZNならその心配もないですからね。Jリーグのファン、サポーターはDAZNに入っているでしょうし。もし、『やべっちF.C.』を見てくれてて、DAZNは見られないちびっこがいるなら、そこはご両親ですよね。お父さん、お母さんに懸かってます(笑)。加入して見ていただけたらなって思います。

サッカーを挫折した人間やから

来年の東京五輪も盛り上げたいと語る矢部さん。その先には98年フランス大会から続くW杯の連続現地取材も視野に入れている 【飯尾篤史】

――現在のDAZNは硬派なサッカー番組が多いので、お笑い要素の入ったサッカー番組は異色だと思います。

 だから、チャンスと捉えてますね。『やべっちF.C.』がスタートした当時の地上波もそうやったなって。僕はサッカーが好きで、サッカーを挫折した人間やから、プロ選手をリスペクトしたいんですよ。それまでのサッカー番組のMCの方は、けっこう毒舌やったんですよね、日本サッカーに対して。ダメなところを指摘していって、海外サッカーを褒めちぎる、みたいな。それにすごく違和感があって、「え? プロってすごいで」って。だから、絶対にけなすことはしないと思って、それを続けてきた。DAZNでもそのスタンスは続けていきたいし、戦術を語るようなコアなチャンネルが他にあった方が、『やべっちスタジアム』の良さが生きるかなと。あと、スタジオ番組を生配信するのはDAZN初の試みだというので、これもデカいなと思ってます。生の良さは絶対あるので。

――しかも、日曜日の23時スタートなんですよね。

 そう、ほぼ一緒なんですよ。だから、僕の生活リズムもほぼ変わらない(笑)。ありがたいですよね。

――『やべっちF.C.』は02年の日韓ワールドカップ(W杯)を目前に控えた4月に始まりました。『やべっちスタジアム』も東京五輪を来年に控えるタイミングで始まりますね。

 そこでまた選手と交流できたら、番組も熱くなれるし、開催されることを願うばかりですよね。そのあとは、なんとか22年のカタールW杯に行きたい。1998年のフランス大会からずっと現地で見てるんですよ。98年は『ぐるナイ』で行って。○×どろんこクイズで相方に勝って、アルゼンチン戦をゴール裏で見られた。目の前で(ガブリエル・)バティストゥータに決められてね。02年の日韓W杯からは『やべっちF.C.』で行かせてもらって、これは途切れさせたらあかんなっていう。だから、DAZNさんにめいっぱい媚(こび)売って、ダメならプライベートで行くしかない(笑)。

――あらためて、『やべっちスタジアム』への意気込みや、ファン、サポーター、選手へのメッセージをお願いします。

 日本サッカーを応援してたのに、いつの間にか応援される側になってた、っていうのは本当にその通りで。だから、「このまま終わりたくないな」と思ってました。いろんな方々のおかげでDAZNで新番組をやれることになったんで、「終わってしまうの?」と惜しんでくれた方にはぜひ、ご覧いただきたいですね。やべっちらしさを残しつつ、もちろん、新しいことも考えながら、僕もスタッフも全員がサッカーを楽しめるような番組にできたらいいな、と思っております。もし、DAZNを見られないちびっこがいたら、お父さん、お母さん、よろしくお願いします(笑)。
矢部浩之(やべ・ひろゆき)
1971年10月23日生まれ。大阪府吹田市出身。90年4月、大阪府立茨木西高サッカー部の先輩である岡村隆史を誘い、ナインティナインを結成。若手ユニット「吉本印天然素材」への参加を経て東京に進出。以降、バラエティをはじめ、ドラマ、映画でも活躍する人気タレントに。2002年4月から20年9月まで『やべっちF.C.』(テレビ朝日系列)のメインMCを務めた。

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著者プロフィール

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

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