ZOZO大会事務局長の畠山恩さんが明かす 異例の米国開催を決断した理由と舞台裏

北村収

日本のギャラリーがいない寂しさを痛感

米国開催ならではの取り組みとして、1番ティーの横にメッセージフォトボードを設置した 【写真提供:ZOZO CHAMPIONSHIP】

ーー今年は特別な大会になったと思います。大会を通して改めて気づいたことなどありましたか?

 特に最終日はすごくワクワクする試合展開だったと思うんですけど、これが日本の習志野だったらどうなっていたんだろうと思いながら試合を見ていました。ギャラリーの方がいたら、歓声もあってゲーム展開も少しは変わったりしたのかなと。やっぱりファンの方がいて、初めてトーナメントって完成するんだなぁと改めて感じました。

 逆に無観客だからこそ気づいたこともありました。ショットのボールにインパクトする時の音や、キャディさんとの会話とか、会場もとても静かなところなので、生で見ていると五感がすごく敏感になっていたと思います。いつもは見られない景色や音、においなどが感じられました。そういう意味ではいちゴルフファンみたいな発言になってしまいますが、無観客ならではの良さも現地では感じていました。

 ただ、優勝が決まった時にギャラリーのみなさんや、ここまで一生懸命頑張ったチームのメンバーが横にいなかったのはやっぱりさびしかったですね。

ーーほかに米国開催ならではの取り組みなどはありましたか?

 日本のファンのみなさんの気持ちを米国にも持っていきたかったので、1番ティーの横にメッセージフォトボードというのを作らせていただき、選手がティーオフするときに必ず見ていただけるようにセッティングしました。なるべく日本とのつながりを深めたいという狙いがありました。また、今回はスポーツナビさんにも出していますが、リッキー・ファウラーのインタビュー動画、トミー・フリートウッドとジョーダン・スピースのインスタライブ、今回の推薦選手の座談会も実施させていただきました。あとは「ZOZOチャンピオンシップ」のマーチャンダイジングを昨年から行っていますが、今年は海外や国内のさまざまなブランドさんともコラボをさせていただきました。

 他の大会では行っていないような取り組みを日本開催のトーナメントが、しかも海外のブランドとコラボして実施できたことは、PGAツアーの人からも「ZOZOチャンピオンシップ」は他のトーナメントに良い影響を与えていると言っていただけましたし、頑張って良かったと思っています。

来年は「ファンのみなさんと一緒にお祝いしたい」

米国開催の「ZOZOチャンピオンシップ」はパトリック・キャントレーが逆転で米ツアー3勝目を飾った 【Getty Images】

ーー現在行われている出場選手から提供されたチャリティ販売(締め切りは11月16日まで)も魅力的なものが多いですね。これも日本のファンとのつながりを強化するための施策ですか?

 そうですね。それも現場で選手一人一人に頼んでいるんですよ。大会会場で使っていたティーマークや本物のピンフラッグもあります。また、ジェイソン・デイが自ら使用したヤーデージブックもあります。デイ本人のカラーリングやメモ書きなどもあり、他にも貴重なグッズが沢山あります。
ーー来年は日本での開催を目指していると思いますが、どんな大会にしたいですか?

 まずはファンのみなさんと一緒にお祝いしたい、日本に戻ってきたよってしっかりと伝えたいですね。昨年の大会では、小さいお子さんから年配の方々まで、本当に素敵な笑顔を見ることができました。スポーツやゴルフが持つ力というか、みなさんの目がキラキラしていたあの姿をもう一度見たいですし、日本のみなさんにPGAツアーをぜひ見ていただきたいです。ですからみなさんで、また昨年のような瞬間を迎えましょう! というのが今の私の気持ちですね。

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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