ハワイから来た、期待のルーキー #3 エリエット・ドンリー

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エリーこと#3エリエット・ドンリーは#8角野亮伍、#10駒水大雅ジャックとともに、海外でのプレー経験と日本国籍の持ち主で、今季エヴェッサに入団した期待の逆輸入ルーキーズのひとり。そんな彼は日本で生まれ育ち、その後に父親の母国であるアメリカに渡った。

「生まれたのは日本で、その後は父の仕事の関係で何度か日本とアメリカを行き来しました。バスケと出会ったのは日本にいた5歳くらいのころで、お兄さんといっしょに始めたんです。中学生から高校1年生までハワイに住んでいて、それからアメリカ本土に戻ってから家族はまた日本に引っ越したんですけど、僕は自分のプレーに興味を持ってくれたハワイの大学に進みました」

大学3年生までは出場機会がほとんどなく、芽が出なかった。しかし4年生の昨シーズンに平均出場時間26.8分、1試合平均得点12.4、同リバウンド5.8と一気に飛躍。そんな彼にかねてから注目していたエヴェッサから声がかかったことで、プロ選手への扉が開いた。

「最初に連絡が来たときはすごく驚いたと同時に、うれしかったですね。バスケのプロ選手になるのは、幼いころからの目標でした。日本は自分が生まれて、これまでの人生の半分近くを過ごした国だし、母の母国でもあります。そんな場所でプロとしてプレーするのには、やはり特別な思いがあります」

なにごとにも丁寧で礼儀正しく、だれとでもフレンドリーに接する。エリーはまさに、絵に描いたような好青年。今夏チームに合流すると、仲間たちはすぐに彼を受け入れた。

「僕はだれとでも、すぐに仲良くなれるんです。でも最初にチームに合流したときは、やっぱり緊張していましたね。だけどみんなは新人選手なのに話しかけてくれたり、いろんなことを教えてくれたり、すごく優しかった。それが、うれしかったです」

すぐにチームメイトとの絆を築いた彼だが、そのなかでも同期入団の#8角野、#10駒水との関係は特別なものがある。

「彼らは仲間であり、ライバルでもありますが、それ以上に友達ですね。みんな英語を話せるので、コミュニケーションに問題はありません。僕とタイガ(#10駒水)は、独り暮らしをするのが初めてなんです。僕は日本語が話せますが、アメリカで暮らした時間のほうが長くて、日本の常識みたいなものをわかっていないところがあります。タイガも生まれたのは日本ですが、オーストラリアで育ったこともあって、まだあまり日本語を話せません。そんな僕らに、日本で長く育ったリョウゴ(#8角野)が日本でやっていいこと、悪いことを教えてくれるんです。リョウゴには感謝していますし、彼がいてくれて良かったと思っています」

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エリーは今季の開幕戦だった、10月3日の広島ドラゴンフライズ戦で早くも初出場。第1Qの終盤に、交代出場で初めてプロの舞台に立った。

「プロで最初の試合だったので、やはりちょっと緊張しましたね。コートのなかで起きていることの、なにもかもが早く感じた。地に足がつかないというか、なんだかフワフワしたような、そういう感じでしたね。それと同時に、試合に出ることを楽しみにしていたので、うれしい気持ちも大きかったです。でも、たくさんファウルをしてしまって……(苦笑)」

プロ初出場の緊張感、初めての日本の判定基準への戸惑い。それらがそうさせたのか、彼はこの試合でパーソナルファウルを5つ犯し、第4Q終盤にファウルアウト。自分に向けた憤りの感情を隠そうとすることなく、ベンチに退いた。

「最初に出た試合でファウルアウトするなんて、信じられないと思いましたよ(笑)。判定はアメリカとは、また違いましたね。でもあの試合から、日本ではどういうプレーがファウルになるのか、ならないのかを学んで、今はファウルをしないようにしています」

エヴェッサの歴史上、ルーキーがデビュー戦でファウルアウトしたのは初めてのこと。

「ははは(笑)。そういう記録はうれしくないですが、クラブの歴史に名前が残るなら、それもいいかな。でも次の日の試合は落ち着いてできたし、内容も良かったと思う。あれからも試合に出させてもらって、自分が成長していると感じています。以前より力強くなった感じがするし、1対1のディフェンスも上達したと思う。試合に出るごとに、自分らしいプレーができてきています。それとプロの世界は、想像していた以上にフィジカル面が強かった。そこはトレーニングを頑張って、もっと対応できるようにしていかないといけません」

“自分らしいプレー”について問うと、彼はこう答えた。

「僕はシュートもパスも、いろんなことができる。チームのためにはなんでもやって、そのなかで正しいプレーをする選手だと思っています。そのときのコート上でチームに足りないもの、チームが求めているプレーを表現する。エネルギーが必要ならエネルギーを出して、ディフェンスを求められたら全力で相手を止める。得点が必要な場面では、積極的にシュートをねらう。これからもチームが求めることに、全力で応えていきます」

まだ第一歩を記したばかりの、プロ1年生。しかし日本でも試合の開催が予定されている2023年のワールドカップに向けての重点強化選手として、日本代表候補に選出されているなど、ハワイから来たエヴェッサのルーキーには大阪だけではなく、日本中からも期待と注目が寄せられている。

「小さいころから日本代表になりたいと思っていたので、特別な思いはあります。そのチャンスがあるのだから、なんとしてもかなえたいです。そのためには1日1日を大事にして、成長していきたい。今季の目標は、チームが勝つための力になること。コーチが求めることには、なんでも応えていきます。将来的には今の自分のスタイルを極めていって、ひとつのことに突出しているのではなく、全部のことができて弱いところがない選手になりたいです」

エリーが歩むプロ選手としての道は、明るく照らされている。これからもその成長を、リアルタイムで見届けてほしい。
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著者プロフィール

2005年にクラブ創立。七福神のお一人で商売繁盛の神様である「戎様」を大阪では親しみを込めて「えべっさん」とお呼びするところから、 人情・笑い・商売の街大阪を活気づける存在であることを願い「大阪エヴェッサ」と命名。 同年にスタートしたbjリーグで開幕から3連覇を成し遂げる。 2016年9月に開幕した男子バスケットボールの最高峰・Bリーグでは、ホームタウンを大阪市とする大阪唯一のクラブとしてB1に参戦。

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