【増田啓介の新人日記】第1回「プロとして初の開幕を前に」

川崎ブレイブサンダース
チーム・協会

【©KAWASAKI BRAVE THUNDERS】

特別指定選手として登録された2シーズンを経て、今季正式に川崎ブレイブサンダースに加入した増田啓介選手(22歳)。
8月には「FIBA ワールドカップ2023 重点強化選手」に選出され、次世代の日本代表候補としても期待がかかっています。
プロ初のシーズンを過ごす増田選手の、コートの中では熱く、コートを離れると飄々とした、そんな日々の様子を連載でお届けします。

増田啓介(ますだ けいすけ)
1998年1月22日生まれ。静岡県出身。福岡大学附属大濠高校から筑波大学へ進み、大学3年時に関東リーグ戦の得点王に。4年時のインカレではチームを優勝に導き、自身もアシスト王と優秀選手賞を獲得。
2018-19シーズン、2019-20シーズンに特別指定選手として川崎ブレイブサンダースへ加入し、今シーズン、プロ契約を勝ち取った。オフェンスで見せる独特のステップと、外国籍選手にも当たり負けない守備が強み。愛称は「まっすー」。

【©KAWASAKI BRAVE THUNDERS】

3シーズン目にして迎える、初の開幕

特別指定選手から数えて3シーズン目ですが、開幕は初めてです。
初の開幕だからという思い入れはあまりないですが、前シーズン、前々シーズンはチームで一緒に練習したのも2か月程度の短い時間でした。今年は7月に全体練習が始まったときからずっと一緒に練習できたので、完成したチームに後から参加するよりも、最初からいられるっていうのは自分にとってプラスです。川崎は自分以外の選手は日本を代表する選手ばかりで、そのチームにシーズン途中から入ってプレーするというのは、やはり難しいものがありました。
フィットしているというほどの実感が持てるのはまだこれからとは思いますが、コート内外において、チームルールや決まりを今までよりもしっかりと知れていると感じます。戦術的な部分もそうですし、社会人としての考え方も含めて。
Bリーガーになって一番学生と違うところは、ファンの方の応援だと思います。大学バスケって面白いんですけど、見に来てくださる方が決して多いわけではないので、Bリーグは、チームのファンの方が本当に多いなと思いました。ユニフォームを着て応援してくださったり、毎回会場へ足を運んでくださる方が多くて、それはやっぱ全然違うなと思います。

2018-19シーズンは4試合、2019-20シーズンは14試合に出場した 【©KAWASAKI BRAVE THUNDERS】

筑波大学と川崎、同じところと違うところ

まもなくプロのシーズンを迎えますが、大学のシーズンと比べて緊張感に違いはないです。
開幕への準備も、バスケット的なところ、最初は基礎から始まって試合に向けて戦術的なところをやっていくのは変わらないと思うんですが、プロの方がチームの人数が少ないというのはあります。あと大学ならチームメイトの年齢も近く、ものすごいキツい練習でも、ふざけ合ってじゃないですけどお互い楽しく乗り越えるというのはありますが、ここは年齢も違いますし、自分のことは自分でやるという雰囲気もあります。でも、その中にいるからといって、自分が変わることはないです。人は人、自分は自分という感じです。
ディフェンスから速攻のチームというのは筑波も川崎も同じですが、プレーする選手のタイプも、プレースタイルも違います。筑波には身長も大きくてドリブルもつける、あと数年したらBリーグで活躍するような、うまい後輩がたくさんいました。みんな身長が大きくてみんな走れるって感じだったんですけど、川崎は、(藤井)祐眞さん、(篠山)竜青さん、辻(直人)さんみたいに身長が小さくて動ける選手と、外国籍選手のバランスがいいチームです。筑波は留学生もいないし全員日本人のチームですが、5人大きい選手で戦うような特徴もありました。
ただ「まずはディフェンスから走る」という軸となるところは同じなので、それがあったのは割と(川崎のチームに)入りやすいところもあったと思います。

筑波大学時代から背番号は「11」 【樋口綺子】

Bリーガーになるつもりはなかった

実は、Bリーグを初めて見たのは、最初に特別指定選手で加入する3か月くらい前でした。
辻さんがNBL最後のシーズンのMVPってことも知らなかったです。竜青さんや辻さんを初めて知ったのは、日本代表のオーストラリア戦でした。加入する半年前くらいのことです。
めっちゃ失礼なんですけど、何十点差でオーストラリアが勝つと思っていました。NBAにいる選手が来ると知って、試合を見たいなと思ってチケットを買って行ったんですけど、八村選手や日本代表の選手がすごくて、びっくりしました。その時に竜青さんや辻さんやニック(・ファジーカス)のことを知りました。まさか半年後に一緒にバスケするとは思ってなかったです。向こう側にいた選手と一緒にプレーするようになってみて、同じチームだけどすごいなと思います。ぜんぜん違う世界の人というよりは、同じチーム内で尊敬している人、ですね。

「向こう側にいた選手」とともにコートに立つようになった 【©KAWASAKI BRAVE THUNDERS】

Bリーガーになりたいとかバスケット選手になりたいという夢もなくて、特別指定選手で川崎ブレイブサンダースに加入して、こういう選択肢もあるって気づいたんです。大学の時に年代別の代表に選んでいただいても(Bリーグに入ることは)あまり考えてないですと言っていたんですが、吉田(健司・筑波大学ヘッドコーチ)先生に、川崎から特別指定の話をいただいたから体験みたいな感じでいいから一回行ってこいと言われて、じゃあ行ってきますというのが始まりでした。
それでとどろきアリーナを見て、バスケってこんなに盛り上がってるんだ、と知りました。それまでは、バスケの試合を見に行くくらいなら同級生と遊びに行きたい、という感じでした。NBAなら有り金全部はたいてでも見たいと思っていたんですが……
特別指定選手になるまでは、就職活動をして、実業団でプレーするか普通に職業に就こうかと思っていました。実業団で必要とされるならバスケをするし、やらなくていいならやらなくていいか、という感じでした。

特別指定選手として最初に加入した頃 【©KAWASAKI BRAVE THUNDERS】

プロになったのが正解なのか企業で働くのが正解だったのか、どっちが正解かはわからないです。同級生が企業で働いているのを見ると、普通の生活がうらやましく見えることもあります。緊急事態宣言後に、同級生はリモートで働いているのに自分は練習もできていなくて大丈夫かなと思ったりもしました。
5年後、10年後にどうなりたいとか、あんまり深く考えるタイプでもないです。ただ、死ぬまでバスケ選手というのは無理なので、早いうちから考えた方がいいのかなとは思います。
そんなことを言いながらも、今はバスケ選手なので、これに全力で取り組みたいなと思ってます!

新シーズンの楽しみ

プレシーズンに6試合行った練習試合は、プレータイムもシェアしていたので手ごたえは分からないですが、久しぶりに試合をやって楽しかったです。

9月に行われた練習試合でのプレー 【©KAWASAKI BRAVE THUNDERS】

早くシーズン開幕してほしいなって感じです。練習より試合の方が楽しいから。練習の方が楽しいとか好きだとか楽しい人っているんですかね?(笑)
試合もですし、全国色んなところに行けるのが楽しみというのもあります。出かけるのは昔から好きですが、中高生の時は忙しくてあまり行けなかったです。(遠征先で)あんまり外出はできないかもしれないけど、楽しみです。
まだ対戦したことのあるクラブの方が少ないくらいですし、せっかく行くので、ご当地グルメを楽しみたいです。例えば宇都宮なら餃子を食べてみたりとか……色んなアウェーに行っているサンダースファミリーの皆さん、ぜひ美味しいもの教えてください!
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著者プロフィール

川崎ブレイブサンダースは、1950年のクラブ創設以降70年以上にわたり川崎市をホームタウンとして活動する「B.LEAGUE」所属のプロバスケットボールクラブです。前身の東芝バスケットボール部時代を含めてリーグ優勝4回、天皇杯では2021年・2022年の連覇を達成、クラブ史上と天皇杯でクラブ史上初・5回目の優勝となる連覇を達成しました。 2021‐22シーズンにキャプテンを務めた藤井祐眞選手は3年連続のリーグ個人賞3冠を受賞、2021-22シーズンには初めてレギュラーシーズン最優秀選手賞(MVP)を受賞。2021年11月に行われた2023年W杯予選では日本代表にも選出されました。 その他篠山竜青選手、2018年に帰化したニック・ファジーカス選手をはじめ日本代表経験のある選手も在籍しています。

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