【第104回日本選手権】展望:女子フィールド編

日本陸上競技連盟
チーム・協会

【フォート・キシモト】

【女子フィールド】
◎跳躍
・女子走高跳

女子走高跳は、近年、1m75〜80前後で勝負が決まる状態が続いている。20〜30年ほど前には1m90台での優勝記録が続いていた時期があったことを考えると、少し寂しいことは否めない。しかし、今年は、もしかしたら1m90を超える高さに挑戦するシーンを見ることができるかもしれない。
その最右翼といえるのが、1m85でリストトップに位置する津田シェリアイ(築地銀だこAC)だ。社会人2年目となる選手だが、8月に1m84をクリアして、東大阪大4年の2018年にマークした自己記録1m83を更新。全日本実業団では、それをさらに1cm上回った。1m70から跳躍を開始した全日本実業団では、序盤が雨となるなか、1m82までの高さをすべて1回で成功。1m85も、「あまりいい跳躍ではなかった」そうだが、2回目でクリアした。1m88でも非常に惜しい跳躍を見せており、自身も「今季中に1m90を必ずクリアしたい」と強い意欲を示している。2013年以降、日本選手による1m90台の記録は出ていない。天候にもよるだろうが、ぜひ日本選手権で実現させてほしい。
1m78を跳び、日本リストで津田に続いているのは、大玉華鈴(日本体育大)と浅井さくら(筑波大)。大玉は七種競技を専門とする選手で、七種競技で日本インカレ2連覇を達成したあと、日本選手権の1週前に長野で開催された日本選手権混成では2位の成績を残した。連戦のなか、どうコンディションを整えてくるか。浅井は、この1m78を日本インカレで成功して、走高跳での学生チャンピオンとなった。愛知・岡崎城西高3年の2016年にマークした1m81の自己記録更新がみえてきたといえるだろう。
日本リストでは、この3選手に続いて、1m77に成功している選手が2人、さらに1m76は日本選手権2連覇の実績を持つ仲野春花(ニッパツ、2017年・2018年)を含めて6人が並ぶ。入賞争いは、試技内容に左右される熾烈なものになるだろう。ディフェンディングチャンピオンの神田菜摘(福岡大)は、今季はまだ1m70がシーズンベスト。ここからどこまで上げてこられるか。

・女子棒高跳

女子棒高跳は、竜田夏苗(ニッパツ)、諸田実咲(中央大)、那須眞由(RUN JOURNEY)の3選手が優勝争いを展開することになりそうだ。
好調を維持しているのは、諸田実咲(中央大)。昨年シーズンまでのベストは4m10だったが、7月に室内で4m20をクリアすると、8月中旬には屋外でも4m21の自己新に成功し、8月23日に室内競技会で4m30の高さを攻略し、学生記録保持者となった。日本インカレでは3m90で優勝を果たしている。日本選手権は2017年から出場して、ここまで4位、6位、3位。記録の安定感も増しており、初優勝が狙える状況が整ったといえるだろう。
諸田の勢いを止めるとしたら、昨年初優勝を果たした那須か。昨年は4月の織田記念で4m25の自己新をマークすると、日本選手権、全日本実業団、国体と、3つのタイトルを獲得し、トップランカーとしての地位を確立する1年となった。今季は、4m20を2回クリア。2月の日本選手権室内優勝、9月の全日本実業団を連覇と相変わらずの勝負強さをみせている。4m30以上の記録を狙っていける力はある。
3選手のなかで最も実績を残しているのは竜田だ。日本選手権は武庫川女子大3年の2013年に初優勝を果たしたあと、社会人1年目(モンテローザ所属、2015年)にも勝っている選手。アジア選手権等の日本代表経験も持っている。今季は、まだ4m10にとどまっているが、昨年の南部記念では4m30の自己記録をマークしているだけに、5年ぶり3回目の優勝を目指すことは十分に可能だ。以前から課題とされているパフォーマンスのばらつきを、うまくコントロールしたい。
日本選手で3m35以上の高さを跳んでいるのは、日本記録保持者の我孫子智美(4m40、2012年)、錦織育子(4m36、2006年)、近藤高代(4m35、2004年)の3人に絞られる。竜田・諸田・那須が競り合うことで、日本記録あるいは歴代上位記録に近づく高さでの勝負が繰り広げられることに期待したい。
高校3年生ながら出場する古林愛理(明石商高)は昨年のインターハイチャンピオン。今季は、去年マークした自己記録を3cm更新して高校歴代3位に浮上する4m03を跳んでいる。同じく昨年2年生でインターハイ4位に食い込んだ大坂谷明里(社高)は、3m80から今季4m00まで記録を更新してきた。この2人が高校記録(4m12、2018年)に迫る高さでバトルを繰り広げる可能性もありそうだ。

【フォート・キシモト】

・女子走幅跳

女子走幅跳で、今季日本リストトップを占めているのは、山本渚(鹿屋体育大)。昨年の九州インカレでマークした自己記録6m13を、7月の徳島県選手権で6m31(+1.8)まで伸ばした。このときは、風にも恵まれ、追風参考記録(1回)も含めて6回のうち5回の試技で6m台に乗せており、8月のGGPでは5m96(+0.4)で3位に食い込むと、悪天候のなか、全4回の特別ルール(2回の試技で上位8選手に絞り、残り2回はトップ8で競う)で行われた9月の日本インカレでは、1回目をファウルしたものの、2回目に6m15(±0)を跳んで首位に立つと、3回目も6m15(-1.4)をマーク。1.3mの向かい風となった最終跳躍では6m17に記録を伸ばして、優勝を果たしている。
優勝を争う一番手に上げてよさそうなのは、昨シーズンから走幅跳に主軸を置くようになった秦澄美鈴(シバタ工業)だろう。昨シーズンはGGPで日本人トップ(3位)の成績を残したほか、日本選手権で初優勝。全日本実業団にも勝利。記録的にも、6m45(-0.8)の自己記録をマークしただけでなく、安定して6m30〜40台での跳躍を残し、トップランカーへと飛躍してきた。2月の日本選手権室内を6m28で制したあと、今季の屋外最高記録は6m25(+1.3)にとどまってるが、上位選手が顔を揃えたGGPでは、きっちり優勝を果たしている(6m24、+0.7)。連覇とともに、自己ベストを上回るシーズンベストを狙っていきたい。
GGPで秦に続いて2位となり、このときの6m22(+0.7)が今季の自己記録となっているのが大学2年生の高良彩花(筑波大)。園田学園高2・3年時の2017・2018年に連覇を達成しいている選手で、6m44の自己記録(=U20日本記録、U18日本記録、高校記録)を持つ。日本インカレは4位にとどまったが(6m03、-0.5)、上位争いできる力は十分にある。また、高良と同じ自己記録(6m44=U20日本記録、高校記録)を高校2年時の2007年に跳んでいる中野瞳(和食山口)も地力のある選手。高校3年時に潰瘍性大腸炎の診断を受け、以来、この難病と闘いながら競技を続けてきた。ここ2年は、2018年に6m43、2019年に6m42と自己記録に迫るシーズンベストをマーク。今季は13年ぶりの自己新記録を目指している。これが日本選手権で達成できれば、初の日本チャンピオンの座もぐんと近づくはずだ。
2015年にいきなり日本歴代2位の6m84(+1.2)をマークし、翌2016年の日本選手権を制して同年のリオオリンピックに出場した甲斐好美(千葉陸協)は、2017年・2018年は不出場、昨年の2019年は8位の結果に終わっている。今季は、9月20日にマークした5m87(-1.0)がシーズンベスト。国際大会や全国クラスの大会では助走のばらつきがネックとなって、記録が伴わない点が課題とされてきたが、ここが改善できていれば、上位争いに加わる可能性はある。

・女子三段跳

女子三段跳は、前回初優勝を果たした森本麻里子(内田建設AC)が、9月の全日本実業団で自己記録を1cm更新する13m27(+0.9)で制し、今季日本リストの首位に立った。日本リストで、これに続いているのは、前回2位の剱持早紀(長谷川体育施設、自己記録13m42・2019年)で、8月末の山梨県選手権で13m03(+2.1)をマークしている。
今季の日本リストだけを見ると、優勝争いは、この2選手を中心となって繰り広げそうだが、大阪成蹊大4年の昨年、日本インカレで日本歴代2位(=学生歴代2位)の13m65をマークして優勝した河合栞奈(メイスンワーク、今季屋外は12m39、室内では12m80)、日本歴代3位の13m52(2016年)のパーソナルベストを持ち、2016年・2017年と日本選手権連覇を果たしている宮坂楓(ニッパツ、今季12m22)は2人を上回る自己記録を持っている。これらの選手が、どのくらい調子を上げてこられるかによっても、戦況は大きく変わるだろう。
逆に、上位候補の記録が伸びないようだと、誰がトップ8に進めるかも全く予測がつかないような接戦になる可能性も。できることなら12m台の記録で競り合うのではなく、学生を含めた多くの選手が自己記録を更新していくなかで、優勝争いが13m台後半で行われるような展開になることを期待したい。日本記録は14m04(花岡麻帆、1999年)、学生記録は13m69(花岡、1998年)、12月から有効期間が再開される東京オリンピック参加標準記録は14m32だ。

◎投てき
・女子砲丸投

女子砲丸投は、3連覇中の郡菜々佳(九州共立大)が、今回は日本記録を保持する円盤投だけにエントリー。これによって、今季15m88を投げて日本リスト1位に立つ大野史佳(埼玉大)が最も有力どころとなった。大学2年の大野は、2019年の昨年にマークした15m83(2018年まえの自己記録は15m27)のパーソナルベストを、今季初戦となった7月の東京選手権で5cm更新する好スタートを切ると、日本インカレでも唯一15m台に乗せる15m58をマークする安定感を見せ、初優勝を果たしている。日本選手権には、西武台高2年の2017年から出場していて、今回で4回目。高校歴代3位の15m27をプットして3位入賞を果たした2018年を超える成績を、手応えはすでにつかんでいるという16m台を、できれば大きく上回る形で達成したい。
大野を止める筆頭を挙げるとしたら太田亜矢(福岡大学クラブ)か。日本選手権は郡が連覇する前の2大会(2015年・2016年)を制しており、2016年デカネーション、2017年・2019年アジア選手権など国際大会の代表経験も有している。今季は、まだ14m98にとどまっているが、自己記録は16m47(2017年)だけに侮れない存在だ。9月の全日本実業団では、その太田を制して、ベテランの吉野千明(埼玉陸協)が14m62のシーズンベストを投げて優勝を果たした。吉野も旧姓の横溝時代の2014年に日本選手権者となっている。2014年にマークした15m77の自己記録に、どこまで迫っていくことができるか。
学生陣で続くのは、15m78(2019年)の自己記録を持つ尾山和華(福岡大)、同じく昨年に15m47を投げている高橋由華(九州共立大)あたりか。14m86(高橋)、14m77(尾山)と14m台にとどまっているシーズンベストを、まずは更新していくことが必要だ。
もう1人、チェックしておきたいのが、高校1年生ながら出場する奥山琴未(生光学園高)。奥山は、上道中3年の昨年、中学生用の砲丸(2.72kg)で従来の中学記録を78cmも更新する17m45の中学記録を樹立した選手。卒業直前の今年2月には、一般用の砲丸(4.0kg)でも14m44の中学最高をマークしている。コロナ自粛が明けてからは、7月の徳島県選手権で投げた13m52が最高で、8月末以降、競技会に出場していない点が気にかかるが、万全の状態で臨めた場合は、さらに記録を伸ばしてくることも可能だろう。まずは、トップ8進出なるかに注目したい。

・女子円盤投

今年の女子円盤投は、記録と勝負の両面が楽しみな種目。昨年59m03の日本記録を樹立し、インビテーションでドーハ世界選手権にも出場を果たした郡菜々佳(九州共立大)が、今回は円盤投に種目を絞って出場。意外なことに、まだ達成できていないこの種目での日本選手権獲得に挑む。
郡は、今年は2月15日に拠点とする九州共立大で行われた記録会に出場して、52m75をマークしてシーズンイン。 その1週間後にシドニー(オーストラリア)で52m30、3月末に50m21を投げている。コロナ自粛期間明けは52m95(7月5日)で再スタート。その後、5試合に出場しているが、52m台からは記録を伸ばすことができていない。日本選手権を確実に制するためには、セカンドベストの55m50に迫る投てきができるようになっておきたいところだ。
郡の初優勝を、そう簡単に許してはくれなさそうなのが、優勝経験を持つ辻川美乃利(内田洋行AC)と齋藤真希(東京女子体育大)の2人だ。辻川は筑波大2年時の2017年と4年時の昨年に優勝を果たしている選手。今年は2月と3月に筑波大記録会で49m台をマークしていたが、コロナ自粛期間明けは49m07からスタートし、1戦ごとに記録を上げてきた。9月の全日本実業団はシーズンベストとなる52m63で優勝。日本選手権では、2年連続3回目の優勝を目指すとともに、昨年マークした54m46の自己記録更新も狙える状況を整えてきている。
2018年に辻川の連覇を阻んだのが、当時、鶴岡工業高3年だった齋藤だ。齋藤はこの年に、52m38のU18日本記録を樹立し、年度末の2019年3月には54m00の高校記録もマークした。東京女子大の所属となった昨年は、日本選手権は辻川にタイトルを奪還されたものの、アジア選手権やユニバーシアードを経験。年度末となる今年3月には54m19を投げて、U20日本記録保持者の肩書きも手に入れている。コロナ自粛期間後は51m台からスタートして、8月末に今季日本リスト2位の52m93をマークと、比較的順調に状態を上げてきていたが、連覇を狙った日本インカレでは2回ファウルして記録なし(新型コロナウイルス対策の一環で、2回で上位8選手を決め、残り2回をその8選手で競う特別ルールで実施された)に終わってしまった。日本選手権で、その悔しさを払拭する結果を残したい。
番狂わせがなければ、この3選手が優勝を争うことになるだろうが、上位入賞、トップ8進出に向けても戦いは熾烈となりそうだ。多くの選手が50mラインを越えるレベルで競り合う活況を期待したい。

・女子ハンマー投

昨年は6選手が60m台をマークし、2017年の7選手に続く活況となったハンマー投。室伏由佳(当時、ミズノ)が日本記録の67m77をマークして16年。そろそろ日本記録更新のアナウンスが聞きたい種目だ。コロナ禍により投てき練習に支障が出た影響もあるのか、今年60m台に乗せているのは渡邊茜(丸和運輸機関)のみにとどまっている。比較的シーズン序盤に好記録が誕生する傾向にある種目だが、その時期に活動が制限されたことで、秋シーズンに記録を伸ばしていく選手が出てくる可能性もありそうだ。
リスト1位の渡邊は、66m79の自己記録(2016年、日本歴代3位)を持つ選手で、今年は2月にシドニーで64m29をマークしてシーズンイン。その後は、コロナ自粛期間を挟んでの4戦を63m台で推移し、9月の全日本実業団で65m22の今季最高をマークして優勝した。この記録の安定性をみる限り、2年連続3回目の優勝を果たす可能性が高そうだ。自己記録をマークした2016年のあと、2017年以降のシーズンベストは65m21、2018年65m24、2019年65m49。綾真澄が持つ日本歴代2位の67m26(2006年)はもちろんのこと、前述した室伏の日本記録を更新できる力はついている。
59m43を投げて今季の日本リストで渡邊に続いているのは、2018年に60mオーバーを果たし、昨年には64m44まで記録を伸ばしてきた佐伯珠実(チャンピオン)。日本選手権では、2018年・2019年と連続して3位入賞を果たしている選手だ。また、65m32の自己記録を持ち、2017年・2018年に連覇を達成している勝山眸美(オリコ)は、昨年煩ったヘルニアが、どこまで回復しているか次第。今季は58m56まで記録を戻してきている。昨年4月に61m77と60m台をマークし、前回大会で2位に食い込んだ小舘充華(流通経済大)は、今年は59m26を投げて日本リストで渡邊・佐伯に続き、日本インカレも制した。この3選手が、自己記録を更新していけるようだと、勝負もいっそう面白くなってくる。
若手では、昨年60m49のU20日本記録を樹立し、今季は58m44で日本インカレ2位に食い込でいる渡邉ももこ(筑波大)、さらには今年に入って自己新記録を連発し、8月22日には高校2年生ながら58m81(高校歴代3位、U18日本記録)まで記録を伸ばしている村上来花(弘前実高)あたりが、どんな快投を披露してくれるかにも注目したい。

【フォート・キシモト】

・女子やり投

女子やり投は、旭川東高3年の2014年に世界ユース選手権で金メダルを獲得して以降、大器として常に注目され続けてきた北口榛花(現JAL、DA修了生)が、昨年の“覚醒”から、さらに進化した姿を見せてくれそうだ。日本大4年の昨年は、5月に64m36の日本新記録を樹立し、日本選手権で初優勝を果たした。ドーハ世界選手権では決勝進出にはわずかに届かなかったが、シーズン最終戦として臨んだ北九州カーニバルで66m00のビッグスロー。日本記録を再度更新するとともに、2019年の世界リストで7位に食い込む結果を残した。
コロナ禍のなか社会人となって迎えた今季も、その好調は維持できている。8月のGGPこそ59m38での優勝だったが、9月の全日本実業団では、1投ごとに技術をチェックしながら記録を上げていく展開で、最終投てきでシーズンベストの63m45をマーク。現段階で今季世界リストでは10位につけている。昨年の段階で、すでに東京オリンピックの参加標準記録(64m00)は突破しているだけに、日本選手権では、世界で戦うことを意識しての、もう一段階高い水準でのパフォーマンスを期待したい。
北口に続く選手たちは、オリンピック参加標準記録64m00が、一つの目標となってくる。有効期間が再開されるのは12月からとなるため、実際に、この記録に挑戦するのは来季になってからとなるだろうが、今のうちに少しでも自己記録を近づけておきたい。
昨年の日本選手権で、日本歴代3位の62m88をマークして2位となり、7年ぶりに自己記録(59m22)を更新するとともに、ドーハ世界選手権の出場切符も手に入れた佐藤友佳(ニコニコのり)は、実現が可能な一番手といえるだろう。今年は2月に南アフリカの競技会で60m59のセカンドベストをマークしてシーズンイン。このときには6回の試技のうち3回で60m台に乗せてきた。2019年に出した60m台が自己記録の62m88のみだったことを考えると、明らかに力はついている。コロナ自粛明けの7月以降は56〜57m台の記録で推移しているが、本番に向けて、どのくらい仕上げてくることができるか。国士舘大4年の2017年に60mスロワーの仲間入りを果たし、ロンドン世界世界選手権に出場したのち、ユニバーシアードで当時の学生記録となる62m37をマークして銀メダルを獲得した実績を持つ斉藤真理菜(スズキ)は、2018年に日本選手権のタイトルも獲得したが、その後は、故障の影響などで伸び悩んでいる。今季は、GGPでシーズンベストの58m64を投げて、北口と佐藤の間に割って入った(2位)。復調の手応えもつかめているということだが、確実な結果を残すためには、もう少し記録のばらつきをなくしていきたい。
日本選手権で過去に2回の優勝経験を持つ宮下梨沙(MPE)は、2011年に初めて60mオーバーを果たし、2016〜2018年には安定して60m台の記録を残しているベテランで、2011年・2017年世界選手権出場実績を持つ選手。昨年は57m12にとどまったが、今季はすでにそれを上回る57m51のシーズンベストをマークしている。 若手が台頭してくるなかで、どれだけ存在感を発揮できるか。
学生では、日本インカレ1・2位の上田百寧(福岡大)と武本紗栄(大阪体育大)が上昇機運を絵が得いている。日本インカレでの58m12(上田)と57m43(武本)は、ともに自己新記録。今季のうちに上位選手との差を縮めておきたい。2017年に59m94をマークしている山下実花子(九州共立大)、昨シーズンに59m16まで記録を伸ばしてきた右代織江(新潟アルビレックスRC)も、60mオーバーは手の届くところにある。日本選手権で、ぜひ実現させてほしい。


※記録・競技会等の結果は9月24日時点のもの。欠場に関しては9月29日発表の情報を追記している。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト


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