2020年度 第8回Jリーグ理事会後チェアマン定例会見発言録

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2020年9月15日

2020年度 第8回Jリーグ理事会後チェアマン定例会見発言録

2020年9月15日(火)17:00〜
オンラインにて実施
登壇:村井チェアマン
新型コロナウイルス対策本部 藤村特命担当部長
事業統括本部 出井本部長
陪席:原副理事長
木村専務理事
窪田理事
フットボール本部 黒田本部長
クラブ経営本部 鈴木本部長
(株)Jリーグ 商品化事業統括部 明石部長
ブランドマネジメント 橋場クリエイティブオフィサー

〔司会より決議事項、報告事項について説明〕
本日14時から第8回理事会が開催されました。本日の発表事項は5件でございます。
決議事項より簡単に説明させていただきます。

《決議事項》
1.新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン改定の件
一部ガイドラインの改定を行いました。主に「プロトコル1:感染予防と感染対象」をより実践的な内容に書き換える他、10月以降も暑さ、涼しさに関わらず飲水タイムを設けるなどを反映しております。本件については、後ほど詳細について説明をさせていただきます。

2.2021シーズンJ3クラブライセンス判定結果について(J3入会を希望するクラブ)
2021シーズンのクラブライセンス申請があったJリーグ百年構想クラブに関する、判定結果が決定いたしました。申請があったのは、下記6クラブです。
・ラインメール青森(JFL)
・ いわきFC(JFL)
・ ヴィアティン三重(JFL)
・ 奈良クラブ(JFL)
・ FC大阪(JFL)
・ テゲバジャーロ宮崎(JFL)
すべてのクラブにJ3ライセンスが交付されました。

3.実行委員選任について
ヴァンラーレ八戸の実行委員を細越 健太郎氏から下平 賢吾氏へ変更することを承認しました。

《報告事項》
1.2020Jリーグ11月・12月開催試合の日程発表の件
11月以降に開催されるリーグの日程、キックオフ時刻、スタジアムについて10月2日(金)に発表させていただきます。

2.Jリーグオフィシャルネーム&ナンバー導入について
〜2021シーズンから全クラブの選手番号・選手名の書体統一を決定〜
Jリーグの公式試合に出場する選手が着用するユニフォームに表示する、選手番号および選手名の書体デザインを全クラブで統一し、2021シーズンからJリーグオフィシャルネーム&ナンバーとして、導入することを決定いたしました。のちほど詳細をご説明いたします。

〔村井チェアマンよりコメント〕
9月の定例理事会を先ほど終えました。9月になってずいぶん涼しくなった感じがしております。Jリーグもおかげさまで、一部クラブでは折返しを迎えました。
J1で言えば17節を終えるクラブが出て参りました。鳥栖のように、まだ12節というクラブもあるので、一律ではありませんが、まずは中盤まで来たという状況でしょうか。
今後、終盤に向かっていく中では過密日程を戦っていかなければなりません。新型コロナウイルスも完全に終息している状況ではない中で、しっかりとクラブと連携をしながら対応してまいりたいということを、今日の理事会でも申し合わせたところでございます。
まず、お客様をお迎えする入場数に関しては、先般の政府の見解があったように、ベースは50%という引き上げがあったわけですが、Jリーグは現状30%を目安に進めていこうと、すでに申し合わせておりました。
クラブによってはスタジアムが大きいクラブもあれば、15,000人、J2では10,000人というクラブもあり、スタジアムの収容数の違いがあることはJリーグの一つの特長になっていますので、一律という考え方ではなくて、個々のクラブの状況に応じて、しっかりと感染対策をしながらも、段階的に引きあげていくことになろうかと思っておりますが、現状はまだ30%を前提としながら準備を進めております。
また、今回ガイドラインの大幅な変更をいたしました。まずは説明をしてから質疑応答に移りたいと思います。

〔藤村特命担当部長よりガイドライン改定について説明〕
今回は、プロトコル1〜7までの中で、プロトコル1をほぼ全面差し替えといたしました。このプロトコル1では、3月から5月に専門家の先生に助言をいただいて、新型コロナウイルスに対する一般的な予防や、病気になったときはこうしましょうというガイドをしていましたが、今はリーグ戦の最中ですし、全部のクラブが練習をしながらになりますので、サッカー活動とコロナ環境を両立する、より実践的な内容に全面差し替えさせていただきました。
と言いながら、どういうふうに病気になるかというのは3月ころから変わっておりません。咳エチケット、マスク着用、近い距離でマスクなしで話さない、そういった飛沫を避けましょう、飛沫が届かない距離を保ちましょうということが求められています。
その飛沫が壁、机、ドアノブ、ジムの用具につく。皮膚を通して感染することはないのですが、特に顔の粘膜、口、鼻、目を指で触り、粘膜から感染することが多いので、不用意に顔に触れないでください。またグータッチはいいですけど握手やハイタッチはやめておいてくださいというお願いをしております。
選手のみなさんにもなぜこうした行為をしてはいけないのか、感染経路から改めて理解を深めてほしいと思っています。
潜伏期間や感染可能期間もだんだんわかってきたと思います。14日間くらいの潜伏期間があるということ。ウイルスに感染してから5.1日、5.2日くらいで発症する例が多いですが、発症前から人にうつってしまうのがやっかいなところです。発症日の2日前からと言われており、0.7日前が一番うつりやすいというデータも出ております。
発症してから10日くらいで治るのですが、治った後も、1か月くらいウイルスが検出されてしまうことは別の問題でございまして、厚生労働省の文書の中でも病原体原子=ウイルスのRNAが検出されることと感染性があることは同義ではないという表現をされています。そして、発症したあと10日程度がすぎたら、ほぼ感染性はなくなるという説明がされております。この重要性は後述する、復帰タイミングに関連してまいります。
それから大事なことは、かかっても80%の方は軽症のまま治ってしまうことで、残念ながら亡くなっている方は、年齢的に70代以上がほとんどです。10代、20代、30代、40代とサッカーチームの中核をなす年齢層では重症化する割合が低いということもわかってきたと思います。
この病気に感染してしまった時、サッカーにどういう影響があるかという観点で書かせていただいております。10〜14日間は回復までに時間がかかりますということ。濃厚接触者になった場合は、検査で陰性になっても14日間の自主隔離ということになるので、チーム内で濃厚接触者が多いと、チーム活動への影響が大きくなりますから、普段の生活、トレーニング、移動、試合で濃厚接触を減らすような行動をしてくださいということで、ゴールセレブレーションもたくさんなされたいでしょうし、握手やハグも挨拶の一部でしょうけど、この感染拡大している間は、そういうことを避けることによって、チームのリスクが軽減されるということになっています。
一つ事例が出ましたが、クラブ内で複数人が一度に感染した場合はクラスター認定を受けることがあり、この場合は拡大防止が最優先ですから、クラブの活動はかなり長期間停止することになります。
感染の予防もサッカー選手をイメージした書き方に変えております。
(1)はもちろん日常生活で皆さんも習慣化してやっておられるところだと思いますが、これまで保健所から指摘を受けているのは(2)、まずは外食の部分です。特に5名以上の会食はリスクが高く、必ず濃厚接触に指定されています。
それからカフェなどで、マスクを取ってたくさんおしゃべりをしたいのでしょうけれども、できるだけマスクをつけるというのが注意点になります。そして、危ない場所に出向かないということです。
クラブの遠征はきっちり管理していますが、県境を超えた私用での移動は今のところ、謹んでいきましょうということです。
トレーニングの注意点はプロトコル4に詳しく書いておりますが、ここに要約を載せております。
毎日の体調管理と行動記録が大切ということは3月からずっと変わっておりません。あらためて全員の毎日の健康チェックをお願いしますということと、行動記録をしっかりつけていきましょうということです。
今、リーグ戦が始まって、安全を確保しながら活動を継続するというモードでございます。選手、オフィシャル、関係者、観客、社会の安全が最優先です。みんなが感染しないで健康を保てるということを最初に考えましょうということで、その前提に立って、できる限り予定どおり公式戦を実施できるように、関係者全員が努力しましょうということにさせていただいています。
その公式戦はできるだけお客様と一緒にやっていうという考えで、取り組んでいきます。その活動を図で表しました。トレーニングや試合はありますが、それを支えるのは日々の心身の健康の維持・向上です。日常生活の健康管理と行動管理によって、健康を保ちサッカーをする前提を作っているのであって、それができているかどうかを2週間に一回チェックするのが検査の役割という位置づけです。
2週間に一回の検査ですから、試合までの間に体調不良や濃厚接触が出たりします。そういう場合は試合の手前で、陽性の人、濃厚接触の人、それから保健所の濃厚接触判定に間に合わない方についてはJリーグの独自の基準で、疑わしい方を除いた残ったメンバーで、試合やトレーニングを実施していく、という体制を組ませていただいています。それをプロトコルの1、3、4、試合での注意点は5、6、7あたりをセットとし、ガイドラインという形でご案内させていただいています。
選手、チームだけではなく、メディアの皆さん、中継制作スタッフの皆さん、パートナーの皆さんへの協力もガイドラインでお願いしているところでございます。
繰り返しになりますが、陽性判定を受けた方は、直ちに自主隔離ですし、試合やトレーニングは参加いただけません。濃厚接触指定を受けた選手も自主隔離で、試合、トレーニングに参加しない。そして、保健所による濃厚接触指定が試合に間に合わない場合は、リーグ独自の基準で濃厚接触疑い者を指定することをさせていたこうと思っています。
クラブでもこれまでたくさんの陽性事例がありましたが、各所の保健所から、どういう場合が濃厚接触で、これは危ないかな、と思ったものが意外と感染は低かった、という事例もたくさん出していただきました。その事例を整理し、専門家とも協議して、保健所がこの範囲が濃厚接触ですとおしゃってくださった少し外側に、より厳しい基準で我々独自の濃厚接触疑い基準を作り、疑いのある方を指定させていただき、陽性、濃厚接触、疑いの該当者を除いたメンバーで試合を開催してということで共有させていただいております。クラブから保健所への説明も順次させていただいているところです。
ただ、一つのクラブの中で、複数の感染者が同時に出た場合はクラスターの恐れがありますから、専門家に相談して、慎重に検討することになってまいります。
その暫定的な濃厚接触疑いに関するJリーグ基準も掲載してございます。
発症日の2日前以降の接触を確認するのが原則ですが、複数人で1時間以上の外食については5日前から濃厚接触疑いの対象にしようとなっております。
また陽性になった方と日常的に接している方、通訳と担当選手ですとか、寮で同室などは濃厚接触疑いという判断になってまいります。
1メートル以内、マスクなし、15分以上の会話、一般の飲食店で陽性の方と飲食をともにした方は先ほどご説明したとおりです。移動中の飲食も、十分に注意を払わなかった場合は、濃厚接触疑いとさせていただきます。
48時間(2日間)以上、症状が連続した方は陽性疑いとみなして、その方は試合を休みますが、その方との関係で濃厚接触疑いと判断される方も、試合は遠慮していただくことを、お互いに申し合わせるということでございます。
また、有事の心構えとしては、少し感染の勢いは弱まっていますが、いつ誰が感染しても不思議ではないということは変わりありません。感染した人やクラブには、まずお見舞いを申し上げることがあるべき姿、対処であって、非難したり、忌み嫌ったりすることは不適切ということも確認させていただいております。
今年の6月以降、日本でも欧州でもトップレベルでのサッカーが再開していますが、感染拡大を防ぎながらサッカーリーグを実施できていることは、我々にとっても大きな自信になっています。
クラブの中で陽性の人が出たら、こんな行動をしてくださいということは、ガイドライン上で整理できるようになっています。最初にやることは5項目で、それから保健所の指示でいろいろなことが進んでいきますということ。スクリーニング検査については、陽性者が出たときに他にいないかどうかを確認できれば一番安心できるのですが、これはマストではなく、クラブでの判断、医療機関での判断ということで整理をさせていただいております。
陽性以外のいろいろな心配なことが、試合直前や家族、知人に起きた方には、こんな判断をしてください、ということも改めて一覧表を充実させて形にしております。
陽性判定からの復帰は、厚生労働省が6月半ば頃に新しい基準を出しております。症状がある方でも、発症から10日間経過して、なおかつ症状が収まってから3日間経過していれば、PCR検査をしないで、時間の経過だけを見て、退院してこられます。それから、症状が収まった後24時間経ったあとで、2回連続PCR検査を受ければ退院できることは、厚生労働省が示しております。例えば、2日目に症状が回復して、3日目、4日目の検査で陰性が確認された場合、早ければ5日で退院してこられることが、このパターンです。
症状がない場合は、発症日からカウントできないので、検体を採った日から10日を経過し、引き続き症状がない方は追加のPCR検査はなく職場復帰にしてよいというのが、今の国の基準です。
これを国が定めてくださっているので、この検査なし退院みたいなときに、念の為PCR検査をやってみようとした場合、直後の検査で陰性結果が得られないことが起きています。冒頭に説明したとおり、感染してから10日程度で感染性は失われているはずなのですが、ウイルスのかけらを拾ってしまうことがあると言われています。
今は、Jリーグ公式検査で陰性判定を得ないと試合にエントリーできないというルールでやっていますが、このルールと、国が定めている早期復帰に向けた基準との兼ね合いを専門家とリーグとクラブで検討させていただいているところです。
それから選手、スタッフ、アカデミー、スクールも含めて、体調不良やPCR検査を受けるときには、リーグに情報を集約させてくださいということは、これまでと変わらずに運用させていただいております。
今回、このようにプロトコル1を刷新させていただきました。

〔村井チェアマンよりコメント〕
新型コロナウイルスの新たなガイドラインについて、少しボリュームある内容について説明をさせていただきましたが、最初に、この内容について質疑を受けたいと思います。そのあと、統一のオフィシャルネーム&ナンバーの新たな考え方を導入しますが、これについてもボリュームがある内容となりますので、説明をさせていただき、ネーム&ナンバーについてのご質問をお受けしたいと思います。
3ブロック目にJ3に関する入会基準もしくは、11月以降に関する今後の日程についてなど、その他、全体を通じてどんなことでもご質問をお受けしたいと思います。ガイドラインに関する1ブロック目、ナンバーに関する2ブロック目、それ以外の3ブロックということで、皆様からのご質問をお受けしたいと思います。

〔質疑応答〕
1ブロック目の質疑応答は特になし

〔村井チェアマンよりJリーグオフィシャルネーム&ナンバー導入について説明〕
一般的には、商品サービスの改善、改良については顧客・消費者のライフスタイルの変化に合わせて適用していくものだと考えております。
サッカーを取り巻くお客様のライフスタイルもこの間、実は大きく変化しているという認識を持っておりました。2017年に、試合をDAZNを通じてインターネットで配信することになり、今までお客様がサッカーに触れ合う機会の多くはスタジアムもしくは家庭のテレビでしたが、スマホもしくはPC、タブレット、様々なテレビ以外のデバイスで視聴される方が急激に増えてまいりました。
視聴される空間も、一定程度の照明があるスタジアムや家庭とは違い、タクシーや電車の中、陽の光が非常に強い中になり、また自分が動いたり、タブレットが振動したりする中で視聴される方が非常に増えています。ある意味、いつでもどこでもどんなデバイスでも視聴できるという当初の想定通り、サッカーとの環境変化が起こってきたわけでございます。
サッカーもしくはクラブが好きになる、その前には、必ずどなたか選手のファンになる、さらにその前には、いいプレーをしたあの選手は誰だっけ、といったような個人を認識するところからサッカーのファンの裾野が広がると考えたときに、一番の入口である背番号や名前の視認性が低いことを当初から懸念していました。このプロジェクトは2年前から始動しておりまして、海外のケースを学びに行けば、イングランドのプレミアリーグは、全選手のネーム&ナンバーを統一して、リーグのオウンドメディアでもそのフォントを使用していました。
そのフォントを見た瞬間に誰だかが分かる、そしてそれがプレミアリーグのものだと分かる、こうしたブランディングをプレミアリーグはずっと続けていること、ここからの学びがこのプロジェクトのスタートでございました。
多少、釈迦に説法でしたが、私がこのプロジェクトを想定するときに、真っ先にイメージしていたのが、昔、ビールは商店街の酒屋さんが勝手口にビールを運んできて、割烹着を着た奥さんがそれを受け取るというのが日本のライフスタイルの象徴的なシーンでした。これが、女性が社会進出をして、残業して帰ってきて、プッシュっと冷蔵庫の缶ビールを楽しむというライフスタイルの変化が、ビールやそうした飲料の商品開発を後押ししたということを学んでおりました。
サッカーも例外なく、こうしたお客様の大きな環境変化に合わせて、プロジェクトを足掛け2年で進めてまいりましたが、全クラブとやっと、ネーム&ナンバーの統一という形で、ユニバーサルデザインという考え方を下敷きに置きながら結実することとなりました。

〔出井本部長よりJリーグオフィシャルネーム&ナンバー導入について説明〕
2021シーズンからの全クラブの選手の背番号と選手名につきまして、統一した書体、新たにオリジナルフォントを開発しました。J.LEAGUE KICK(Jリーグ キック)という名前を付けたフォントになりますが、そちらで統一させていただければと思っております。
対象はJリーグの公式戦すべてを予定しています。
現在(資料で)デザインを見ていただいていますが、デザイン設計の決定に至る背景を補足させていただきます。
これまでの課題は繰り返しになりますので、割愛させていただきますが、選手を知ってもらうためのキーワードとして、背番号とネームが非常に重要であるというところで、視認性をあげていきたいということです。
2017年にJリーグでとったレポートでは、その段階ですでに77%の方がスマートフォンでの視聴形態を体験しているということを考えると、様々な視聴環境下でも分かりやすい背番号というのをぜひ作っていきたいというところからスタートしています。
そういう意味では、誰もが分かりやすいものを作りたいということ、それからどうせ新しいデザインを提案させていただくのであれば、皆さんに喜んでいただける、見やすいねと言っていただけるものを作りたいということで今回スタートしています。
そういったところで、様々な外部の知見とご協力をいただきながら、北欧で最大のブランディングエージェンシーでもあるKontrapunkt(コントラプンクト)社のご提案を受けた書体となっております。
詳細の資料はメディアの皆様向けの資料にも書いてございますので、そちらもあわせてご覧いただ ければと思います。
今回、視認性を考えるうえでポイントとしていたのは、先程ユニバーサルデザインという話もありましたが、大きく言いますと、色彩、色をどう設計していくのかということ、見やすい書体が何だろうということ、机上だけでなく、実際にテストをしながらそれを検証していくという3点にこだわりながら開発させていただきました。
まず、色でございます。こちらはカラー検討プロセスということで何枚か紹介させていただいておりますが、いわゆるユニバーサルデザインです。できるだけ多くの方が利用可能なデザイン、色彩ということを意識し、Jリーグのクラブで過去3年に使用された背番号の色を見ながら、色の絞り込みを行ってきました。
また、こちらにあります通り、これはイメージですが、色覚に特徴をお持ちの方は、実は多くいらっしゃいまして、その中でもP型・D型と言われているのは、男性では20人に1人と言われています。
そういった方は赤と黒のコントラスト、これはイメージですが、赤と黒のコントラストが、例えばP型(1型)の色覚の特徴をお持ちの方はこちらにあるような色合いに見えてきます。こういった様々な色覚の特徴を持った方にも見やすいようなデザイン設計をしていきたいと考えまして、最終的には全クラブのメイン・サブのJクラブカラーとそれぞれの色の組み合わせ、コントラストを検証しながら、最終的にこちらにある5色、赤、青、黒、黄色、白という色を選定させていただきました。
いろんな特徴を持った方にも見やすい色合い、コントラストの設計でございます。
2つ目はデザインでございます。こちらも皆様向けの資料に入っていますので、細かい文字はお読みいただければと思います。
デザインコンセプトとしては、サッカーでボールを蹴ったときのカーブ、カーブキックをイメージした書体にさせていただきました。
その中で、見やすさというところでご紹介したいのは、こういった文字のオープンになっているエリアの範囲が大きければ大きいほど、遠目に見ても認識しやすいと言われております。今回はそういったものも意識しながらデザインの設計をしております。
最後に、机上の設定だけではなく、しっかりと検証するということでございます。
実際に審判員の方にご協力いただきながら、スタジアムで5つの観点、動きながら、試合のシーンをイメージしながら、雨だったら、遠くから見たら、日暮れだったらどうかといった様々な形で、ピッチ上に人を置きながら、どのデザインであれば背番号の認識がしやすいかというテストをしました。
また、スタジアムだと条件が限られますので、3DCGテストということで、CGで背番号を再現しながら、こちらにあるようなAからGまでの様々な状況でのテストをさせていただきました。イメージはこんな形でございます。逆光をイメージしたCGをやってみたり、ユニフォームが動いた時に見やすいかなど、様々なテストを重ねさせていただきました。
こういったテストを重ねながら、最終的にJリーグオフィシャルネーム&ナンバー、J.LEAGUE KICK(Jリーグ キック)というオリジナルフォントを開発させていただきました。
実際の使用開始は、来シーズンの公式戦からになります。
ぜひ、見やすさ等も含め、様々な皆様のご意見をいただきながら、いいものにして浸透させていただきたいと考えていますのでよろしくお願い申し上げます。

〔司会より補足〕
本件はプレスリリースとあわせて報道資料をメディアチャンネルにアップさせていただいております。デザインデータもございますので、ぜひ報道にご活用いただければと思います。

〔ネーム&ナンバーについての質疑応答〕
Q:新しいデザインは選手背番号が見やすくなる、わかりやすくなるという意図で作られたと思いますが、現在のユニフォームのルールでは背中だけに番号表示をしていて、ユニフォームの前面(前身頃)への番号表示はクラブの任意だと思いますが、そのようなルールが今後変更されることはあるのでしょうか。

A:出井本部長
引き続きの課題だと思っていますが、現状はユニフォームの体の前面の背番号はクラブが選択する形になっています。今回、背番号を通じてより選手をわかりやすく知っていただきたいという想い、考えについては各クラブの皆さまと合意いただいたと思っていますので、任意の部分は各クラブにご判断いただければと考えております。

Q:ファン・サポーターは気になると思いますが、Jリーグのユニフォームのマーキングは1枚につき4,500円〜5,000円かかります。ナンバーを統一することで、ファン・サポーターがユニフォームを購入する際のマーキングの値段を下げることは考えられるのでしょうか。

A:出井本部長
ぜひそうした形に持っていければという風には思っておりますが、ユニフォームのプリントは単純に統一したから安くなるという計算ではないところがございます。我々としては少しでも多くの方に背番号付きのユニフォームを手に取ってもらいたいと思っておりますので、各クラブの商品化、マーチャンダイジング担当者とご相談しながら進めていきたいと思っています。

Q:1.商標管理者について
デザインの商標はどこが管理しているのでしょうか。
2.クラブへのライセンス料について
各クラブがこのデザインを使用するときにライセンス料が発生するのでしょうか。無料で使うことができるのでしょうか。
3.書体の運用期間
この書体は基本的に1シーズンのみなのか、3シーズン、5シーズン長期的なものなのか、プレミアリーグの事例があったら教えていただければと思います。

A:出井本部長
1.商標管理者について
デザインの管理はJリーグが一括して管理しています。意匠についての現権は公益法人が保有しながら、ネーム&ナンバーや商品化については株式会社Jリーグにご協力いただきながらやっています。具体的な商品化やプリントについては株式会社Jリーグと一緒に進めていきたいと思っています。

2.クラブへのライセンス料について
今のところそうしたものは予定しておりません。

(株)Jリーグ エンタテインメントカンパニー部門 明石商品化事業統括部長より補足
出井が申し上げた通りで、クラブにできるだけ安く提供するという目的ですので、そのような対応になっております。

3.書体の運用期間
クラブの皆様とお話ししていますが、新しいチャレンジとなっておりますので、単シーズンで成果の答えが出せるものではないと思っています。
少なくとも3シーズンはこれを使用しながらしっかりと振り返っていきたいと思っています。
プレミアリーグは手元に資料はありませんが、1997年くらいから導入されていて、かなり長くやっていらっしゃると思います。

Q:これまでも見にくいと思ったのは、フォントだけではなく色の組み合わせもあると思います。ユニフォームはクラブによってはファーストからセカンド、サードまでユニフォームがありますが、ファーストでは見やすいけれどもセカンドやサードでは見にくいといったものもありました。特に地の色に溶け込んでしまっているような組み合わせだと非常に見にくいので、あまり見た目にはよくないと思いますが、ゼッケンのように文字が浮き立つように地の色を敷いてその上に数字を置くという工夫もされているのでしょうか。

A:出井本部長
ご指摘の通り、ユニフォームの字の色で見やすい、見にくいという事例は当然発生すると考えています。いくつか工夫をしていますが、一つ目は、ナンバーについては縁取り線を入れることで、できるだけ見やすい形に工夫をしています。二つ目は、実際にクラブには使う色をお選びいただくことになりますが、その色の組み合わせはコントラストによって変わりますので、コントラスト的に見やすいかどうか。三つ目は、それでも適合しない場合は、通常は座布団と呼んでいますが、そうした下地の色をセットにした形でするのか、クラブとご相談させていただきながら進めていきたいと考えています。

橋場クリエイティブオフィサーより補足
コントラストについては、今回、カラーユニバーサルデザイン機構という組織の方にご相談させていただき、コントラストが適合するコントラスト比というものをアドバイスいただきました。アプリを使ってコントラスト比を検証できるというようなシステムをご紹介いただきましたので、そちらを使って各チームのユニフォームの生地と背番号の色が適合したコントラスト比になっているか、ひとつひとつ各クラブのユニフォームのデザインを検証しながら進めていくことを開始している状況です。そのような形で視認性を高めていきたいと考えています。

Q:ネーム&ナンバー統一導入のきっかけは、見やすいものをということもあると思いますが、実際に何年のどのチームの物が見にくかったという例はあるのでしょうか。

A:出井本部長
例については具体的に上げるのは難しいです。すべてのデザインが見にくいというものではありません。一番大きかったのは、DAZNで配信いただくようになって、スマホで観る機会が非常に増えました。スマホの画面はテレビの大画面と比較して非常に小さくなりますので、なおさら視認性が大事だなと考えた次第です。

(苦情が多く来たからということではないのでしょうか。皆様からの問題意識という理解でよいでしょうか。)

その通りです。

村井チェアマンより補足
特定のクラブのこのユニフォームが見にくいとこの場で申し上げるのは差しさわりがあるので控えさせていただきますが、実際のJクラブのユニフォームで識別しにくいと言われるユニフォームの、試合のシーンを5分程度に編集した映像をつくりました。一方でプレミアリーグの映像を数分間つくり、コントラスト対比で実行委員会などではプレゼンテーションさせていただきました。明らかに見にくいクラブが多く存在しているのがJリーグでした。

Q:DAZNで観るようになってということだと思いますが、DAZNからの意向もあったのでしょうか。

A:村井チェアマン
まったくありませんでした。

(確認ですが、5色の色は各クラブが選んでよいということでしょうか。)

A:出井本部長
基本的にはクラブが自分のところのファースト、セカンド―、サードユニフォームとの組み合わせで希望のカラーをご指定いただきます。
コントラストチェックをしながら、見やすいのはどの組み合わせだろうかという確認をお互いでしていくことになります。

Q:各クラブにはユニフォームのサプライヤーがあると思いますが、メーカー側からこのネーム&ナンバーの統一に対する反対意見は無かったのでしょうか。

A:出井本部長
ご指摘の通り、当然いろいろな葛藤は検討のプロセスの中でございました。最終的には様々な環境下で少しでも見やすいものをということで、最終的にご賛同いただけたと思います。

(来年Jクラブのユニフォーム を購入した場合はどのメーカーでもこの番号が付いているということでよいでしょうか。私の周りでもユニフォームを買うサポーターがとても多いのですが。)

そのようになっていきます。
是非ご購入いただいてご感想をいただけると嬉しいです。

Q:1.クラブとの合意形成について
今の質問にも関わりますが、ジェフユナイテッド千葉のように長年同じフォントを使用したり、清水エスパルスのように独自フォントを導入するなど、新しくクラブ単位のブランディングが進められてきた中で、クラブからのリアクションやどのような合意形成をたどってきたのでしょうか。
2.選手名の表記について
ユニフォームには、各クラブ背番号のみで選手名を明記していないチームも多数あると認識していますが、来季から背番号の下に選手名を入れることは義務になるのでしょうか。
3.デザインへのこだわり
フォントのデザインについて、ユニバーサルデザインということもあると思いますが、視認性とは別に 見栄えの面で重視したことはありますでしょうか。

A:出井本部長
1.クラブとの合意形成
ご指摘いただいた通り、長く同じ色、フォントを使っているクラブもいます。議論の過程ではサプライヤー同様、さまざまな葛藤がございました。
そうした中でも、見やすくしていく、少しでもファン・サポーターや多くの方々に認識していただくこと。長く応援いただいているファン・サポーターについては動きやポジションで選手を識別できますが、ライトファンにとっては少しでもわかりやすいほうが良いだろうというところについて、その1点を仰ぎながら、ご納得いただいたと言いますか、様々な方向の葛藤を飲み込んでご理解いただいたという経緯だと理解しています。

2.選手名の表記について
来年以降のルールについては、現状ではネームはクラブの任意とさせていただいております。視認性をよくするという目的を考えたら名前はつけたいですが、クラブによってさまざまな事情がありますので、精神としてはできるだけつけていきましょうということで、最終的にはクラブの任意とさせていただいております。

3.デザインへのこだわり
A:橋場クリエイティブオフィサー
先ほどの説明の中にありました通り、視認性というものは当然最重要としています。見栄えについては、コントラプンクト社からご提案いただいたデザインのコンセプトがカーブキックで、フットボールの非常に象徴的なものをインスパイアしてつくっていただきました。スポーティーで非常に動きがある書体であるということ、これがJリーグのダイナミックな試合展開に似合うのではないかということで、見栄えも意識しながら書体を選定させていただいたという経緯があります。
カラーに関しましても5色を選定させていただきましたが、例えば赤色を選定する際に、色覚特性も考慮しながら、各チームのチームカラーの中間色を用いて、クラブカラーというものを極力意識しながら色を選定し、全体最適となるカラー、チームのイメージが伝わるカラー、そうした見栄えも意識して色を選定していったという経緯があります。

Q:新しいネーム&ナンバーを使用する対象の大会は、Jリーグ戦、リーグカップ戦、J1参入プレーオフ、スーパーカップとのことですが、天皇杯、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)では使えないのでしょうか。

A:明石商品化事業統括部長
ACLでは当然Jリーグのマークが入っているものが使えないので、クラブ独自という形になります。 フォントだけ使いたいという希望がありましたら提供することはできます。
天皇杯は使えます。

(リーグのロゴが無しで使えるということでしょうか)

クラブの希望があれば使えます。

出井本部長より補足
Jリーグロゴが入っているナンバーとなりますが、大会によってはナンバーにロゴが入っているものは規制されている可能性がありますので、クラブから希望があればプレーンな、Jリーグのロゴが入っていないものもご利用いただけるように準備しています。
できるだけ多くの試合でこのナンバーが使用できるようにしていきたいと考えています。

〔その他の質疑応答〕
Q:ACLが1か月延期になったという日程の変化がある中で、リーグ戦の日程はどのようにしていくのでしょうか。

A:黒田本部長
ACLの日程につきましては、先週AFCの理事会において新しい日程が発表されています。新しい日程はJリーグの最終7節と重なりますので、Jリーグ側の日程をどうするかを現在検討しています。
さらには出場3クラブとの協議もしてまいります。現時点で何か決まっているものはございません。

(可能性の一つとして、12月19日の最終節の終わりを延ばすことは考えてますでしょうか。天皇杯の日程を考慮すると難しいと思いますが。)

ご認識の通り、後ろには天皇杯を控えておりますので、現時点で12月19日のリーグ最終節を後ろに倒すのは現実的に難しいと考えています。

Q:9月19日から観客数の上限が緩和するということで、個々のクラブで判断を任されているかと思いますが、おおまかにJ1、J2の試合ではほとんどの試合で30%になるのかなどの目安を把握されていたら教えてください。

A:村井チェアマン
すでにJリーグの実行委員会では、政府の見解が出る前のタイミングで、緩和がある程度あったとしても30%を目途にやっていこうということで協議し、各クラブが準備しております。9月19日時点では30%にあたるところでの緩和が一つの目安となっていると思います。

木村専務理事より補足
まずは30%を目安にスタートし、その後は段階的にということになります。感染防止に気を付けながら各クラブの判断でということになると思います。

Q:8月のJ2で、主審に対して選手たちが集団で執拗に抗議をする取り囲み事例で、罰金と判断される事例が2件ありました。Jリーグでは処分を公表していないと思います。理由を教えてください。

A: 競技運営部・中村
広報として発表しているのは、ピッチ上のレッドカードとイエローカードの処分で、停止試合数について世の中に決定内容をお出ししているというルールで今まででやっておりました。囲い込みという言い方が適切かわかりませんが、複数人でという部分に関しては、過去よりリリースという形ですぐにお出ししていません。これが今までのやり方で、理由については、明確にお答えできないのですが、ピッチ上のレッドカードとイエローカードによる出場停止の他はリリースしていないという運用でやっていたために、出ていないということになります。

A: 広報グループ・吉田
本件は明確に明文化されておりませんが、基本的に広報と運営の間で過去からルール化して、細かい基準でやっているというところです。開幕時からのルールなど本当の正確なところは現時点で確認できませんが、基本的には、すべてのものを公開しているわけではなく、重要事象について公開するというラインに則ったというところでございました。

Q:Jリーグは規約で、Jリーグが決定した懲罰を公表するとあります。例外はプライバシーを侵害するなど特段の事情がある場合とされていますが、罰金と判断されるほどの、囲い込みではなく取り囲み事案だと思っていますが、その処分が公表されないと、他の選手や審判あるいは観客にいたお客さん、DAZNで見ている方が、これで処分されないのかということになってしまうのはよろしくないと思います。すぐにでも規約どおりに公表すべきだと思いますが、お考えはいかがでしょうか。

A: 村井チェアマン
この後、一つの宿題として検討させていただきますが、Jリーグが下す処分は2種類あると思っています。チェアマンが処分を決定する制裁処分。いわゆる制裁案件とは別に、規律委員会、これはチェアマンが不介入で、ピッチ上の判定に伴う処分・罰金。規律委員会にはJリーグチェアマンは介入しないということで、私も一度も会議に出たことはありません。ピッチには不介入で、これは最後にレフェリーが守り、レフェリーの判定に対して規律委員会が処分・裁定を行いますが、今回の事例はこの後者の方です。後者の処分に関して、関係者が申し上げたように、これまで一つの慣例基準で公表していたのですが、公表する基準をどこからどこまでとするのか、またその他については、今日ご指摘いただいた内容について検討させていただきたいと思います。
ちなみに、チェアマンが制裁するものに関しては、制裁処分に関してはこれまでも、これからも公表している状況です。
本日は数多くの質問をいただきありがとうございました。今回はネーム&ナンバーに関することが多かったのですが、今回の改定に関し皆様からのご要望や改善点があればお寄せいただければと思います。今回は誠にありがとうございました。

〔司会より〕
次回は9月21日10時半よりNPBの皆様との合同記者会見を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
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