前走日本ダービー組の取捨は? セントライト記念を分析
【2019/9/16 中山11R セントライト記念(G2) 1着 8番 リオンリオン】
いつものように過去10年(新潟で行われた2014年は除く、以下同様)のセントライト記念のデータから、レースの傾向を分析、今年のレースを展望してみたい。 データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
セントライト記念の前走レース別成績(2014年を除く過去10年)
■表1 【セントライト記念の前走レース別成績(2014年を除く過去10年)】
セントライト記念の前走日本ダービー組成績(2014年を除く過去10年)
■表2 【セントライト記念の前走日本ダービー組成績(2014年を除く過去10年)】
このように前走日本ダービーで着順が悪かった馬が巻き返してくるのは、実はめずらしくない。逆にダービーで上位に入線した馬が簡単に好走できるほど甘くもない。
2018年のセントライト記念を振り返ると日本ダービーで16着と敗れていたジェネラーレウーノが4番人気で勝利を飾った。一方、日本ダービーで3着と好走していたコズミックフォースは5番人気で7着と敗れた。
17年は前走日本ダービー5着のアルアインが1番人気で2着と好走し、16年は前走日本ダービー3着のディーマジェスティが1番人気に応えて勝利した。ダービーで善戦した馬が地力をみせたわけだが、この両馬は皐月賞馬だ。中山でG1を勝つ力がある馬がセントライト記念で好走するのはむしろ当然かもしれない。
2015年のセントライト記念はキタサンブラック(前走日本ダービー14着)とミュゼエイリアン(同10着)によるワン・ツー決着。ダービー2着のサトノラーゼンは1番人気で7着と敗れてしまった。ミュゼエイリアンはダービーで逃げを打ち、キタサンブラックは2番手追走というレース運びをしていた。2019年に話を戻すと、リオンリオンもダービーで逃げており、サトノルークスは2〜4角で3番手にいた。つまりダービーで4角3番手以内にいた馬がセントライト記念で巻き返したことになる。その意味で19年と15年の結果は、非常に似ているように感じる。
前述のジェネラーレウーノもダービーの2〜4角の位置取りは2番手だった。16年3着プロディガルサンは前走日本ダービー10着だったが、4角は3番手だった。11年2着のトーセンラーは前走日本ダービーで4角2番手だった。「ダービーでの4角位置」という点は、セントライト記念を考えるうえで大きなカギになりそうだ。前走日本ダービー組のなかでは、前走4角3番手以内の競馬をしていた馬は要注意とみたい。
先行馬以外では、上がり3ハロンでメンバー中3位以内だった馬もマークしておきたい。16年ディーマジェスティ、12年フェノーメノが該当し、好走を果たした。あとは皐月賞優勝馬が出走してくれば有力となる。
セントライト記念で3着以内に入ったその他の馬(2014年を除く過去10年)
■表3 【セントライト記念で3着以内に入ったその他の馬(2014年を除く過去10年)】
今年のセントライト記念出走予定馬
■表4 【今年のセントライト記念出走予定馬】
まずは前走日本ダービー組に注目だ。今年はガロアクリーク、サトノフラッグ、ヴァルコスの3頭が登録してきた。前走着順はそれぞれ6着、11着、14着と振るわなかったが、巻き返してくる可能性は十分あると考えたい。前走の2〜4角での位置取りを調べると、前からヴァルコス→ガロアクリーク→サトノフラッグという順番だった。ヴァルコスは4角4番手と前目ではあるが、3番手以内ではなかった。この点がどうかだが、一応この3頭の中では前で競馬をしていたことは間違いない。皐月賞馬(コントレイル)も不在で、ダービーで上がり3ハロン3位以内の脚を使った馬もこの中にはいなかった。ヴァルコスがダービーのような積極的な競馬をできるなら楽しみだ。
前走ダービー組以外では前走ラジオNIKKEI賞を逃げ切ったバビットや、青葉賞3着のフィリオアレグロあたりが注目されるだろうか。いずれにしてもセントライト記念当日の人気に注目したい。前述したダービー組の3頭は上位人気に支持される可能性が高そうなので、別路線組が割って入るのは容易ではないはずだ。
文:小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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