卓球界に活力をもたらした「夢の祭典」 新たな手法と、背後にあった入念な対策
めったに見られない「男子vs.女子」の真剣勝負など、あっという間の2時間となった 【岡本範和】
卓球の「2020 JAPAN オールスタードリームマッチ」が14日、東京・大田区総合体育館で行われた。第1部の「日本代表選抜vs.Tリーグ選抜」では、張本智和(木下グループ)や石川佳純(全農)ら来年に延期された世界卓球2020韓国・団体戦に出場する選手たちが、Tリーグの精鋭たちと白熱したラリーを披露。第2部の男子日本代表と女子日本代表の対決では、公式戦ではまずお目にかかれない男子と女子の真剣勝負が繰り広げられた。
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卓球界の意気込みが感じられた1日
新型コロナウイルスの影響により、3月に行われたカタールオープン以来、トップ選手の試合が開催されたのは約6カ月ぶり。第1部で森さくら(日本生命レッドエルフ)に8-11で敗れた石川が「半年ぶりの試合でめちゃめちゃ緊張した」と語ったように、いきなりの大舞台で打球感を取り戻すのは並大抵のことではなかっただろう。
それでも久々の緊張感を味わった後は、両軍が混じって記念撮影。ネットを挟んで対峙(たいじ)していた選手たちが、半年ぶりの“再会”を喜ぶ姿が印象的だった。
1-1で迎えた「男子日本代表vs.女子日本代表」の戦いは、時間の都合上、勝負を決する第3ゲームがワンポイントマッチで終了するなど、「真剣勝負」の雰囲気とは遠い局面があったのも事実だろう。ただ、「男子vs.女子」という斬新なマッチメークや、配信を利用した視聴者との臨場感の共有など、3年目を迎えるTリーグとともに、卓球界全体をこのイベントから大いに盛り上げていこうという意気込みが感じられた1日だった。
大会実施の裏には入念な感染対策も
華やかな祭典の裏には、運営側の入念な感染対策が施されていた 【岡本範和】
また、当日に体調不良のため欠場が発表された水谷隼(木下グループ)については「(14日の)13時30分くらいに、本人から電話で『少し体調が悪い』という報告があったので『それならば来るな!』と返事をしました。彼は日本代表のエースですが、少しでも体調が悪い人間は会場に入れないという、強い意志を示しました」と宮崎・理事長補佐。五輪メダリストの水谷が参加していれば、より今大会の盛り上がりは増していた可能性もあるが、Tリーグの対応に迷いはなかった。また、水谷にとっても貴重な実戦の場であったのは確かだろうが、自ら体調不良を申告し、欠場を選択したのは英断だったと言えるだろう。
「卓球界にとっての大きな一歩」
石川は再開に向けて「(この日は)私にとっても卓球界にとっても大きな一歩になると思います。ここからまた、たくさんの試合を始められたらいいと思います」と笑顔。選手、そして卓球ファンにとっての「いつもの日常」が戻ってくる日は近い。
(取材・文:守田力/スポーツナビ)
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