連載:Bリーグ特別対談

田臥勇太×中澤佑二のレジェンド対談 焼き肉屋での挨拶から刺激しあう関係に

ダブドリ編集部

前編

10年以上の親交があるという田臥選手と中澤さん 【写真:三浦雄司】

 Bリーグの選手と他スポーツの選手や著名人が対談する本企画の第4回は、日本人として初めてNBAのコートに立った日本バスケ界が誇るレジェンド田臥勇太選手(宇都宮ブレックス)が登場。元サッカー日本代表で現在はテレビでも大活躍中の中澤佑二さんの話術に、田臥選手がたじたじに? 前編は、ストイックな2人が体との向き合い方を語った。

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中澤さんのストイックさを見て、自分は全然だなと思いました(田臥)

――10年以上の親交があるということですが、お2人が出会ったきっかけを教えていただけますか?

中澤 僕は本当にバスケが好きで、能代(能代工業高校)の頃から田臥選手のことはよく知っていて、勝手に憧れていたんです。ある日焼き肉屋さんに行ったら、その田臥選手が友人の方と一緒にいたんですよ。僕は家族といたんですけど、緊張とワクワクで焼き肉どころじゃなくなりました。本来僕は人見知りなんで、話しかけたりするのは苦手なんです。でも「これは行くしかない」と思い切ってごあいさつさせていただいて、ちょっとお話しをさせていただいたのがスタートです。

――田臥さんも著書を読む限りだと人見知りなタイプなんですよね?

田臥 はい、そうですね。

――いきなり中澤さんに声をかけられてどうでした?

田臥 お店に入ったときにいらっしゃるのがわかって、実はこっちのテーブルでも「中澤さんだ!」と話していたんです(笑)。

一同 (笑)

田臥 そうしたら声をかけていただいたので、嬉しかったですね。

――中澤さんは著書の中で、田臥さんから刺激をもらって代表復帰を決めた(2006年のドイツW杯後に代表引退を宣言したが、その後撤回して2010年南アフリカW杯にも出場した)という話を書かれていましたよね?

中澤 そうですね。田臥選手から「日本のバスケは2つのリーグに分かれてしまっている状況だけど、自分がアメリカでチャレンジすることで、競技の知名度を上げることができるかもしれない」という話を聞いていたんです。NBAにチャレンジするというのは、ものすごく大変なことだと思います。その頃、僕は悩んでいた時期だったんですが、田臥選手からチャレンジする姿勢を見せてもらったことで、自分のJリーガーとしての立ち位置を改めて見つめ直すきっかけを作っていただいたんです。田臥選手がいなかったら、あのとき僕はそこまでモチベーションを上げることができなかったと思います。

田臥 とんでもないですよ(笑)。ご飯に行っても、特にシリアスな話をしたわけではなかったんです。お話は楽しいし、面倒見もいいし、いいお兄さんだなって思っていたんで、まさかそんな風に思ってくれているとは思いもしませんでした。お話するまでは「ちょっと怖いなあ」と思っていましたけど(笑)。

中澤 ハハハハハ。

田臥 でも嬉しいですよね。そういうきっかけになれたのならば、自分がアメリカでやった意味もあったと思えますし、自分も代表でやられる中澤さんを見て勇気をもらっていたので。

現役時代、田臥選手も驚くストイックな生活をしていたという中澤さん 【写真:三浦雄司】

――お2人ともかなりストイックで、そこが共通点で仲良くなられたとお聞きしました。

田臥 いや、僕は中澤さんとお会いして、自分なんて全然だなと思ったんですよ。いつも食事のセッティングをしてくださるんですけど、時間も本当に早くて、ちゃんとヘルシーな食事をして、ちゃんと次の日の準備ができる時間に家に帰るんです。

中澤 僕からしたら、自分に合わせてもらって「申し訳ないな」という気持ちがあります。ただでさえ、中澤佑二と外食に行くとつまらない飯ばかりなので(笑)。サッカーの後輩は僕とは行かないって言いますもん。決められたメニューしか食べられないから(笑)。

田臥 いやいや、本当においしい店に連れて行ってくださるんですよ。

中澤 ネットのおかげです。ネットの星3.5以上を選びます(笑)。あとは赤身のお肉がおいしいとか、魚がおいしいとか、体にいいと言われている食材を使っているとか、そんな感じです。

田臥 お酒も飲んでないんですか?

中澤 引退してからトライしたんです。梅酒をチョロっと飲んだんですけど、やっぱりおいしくないですね。

――現役時代は打ち上げにも参加されなかったという話ですが。

田臥 今はどうされているんですか?

中澤 今? 呼ばれないですよ(笑)。

一同 (爆笑)

中澤 皆さんに気を遣われていますね。「多分あいつは来ないだろ」って(笑)。

田臥 そういうお話をご本人からも聞いていたんですが、代表のチームメートだった方からも同じお話を聞いたので「本当にそうなんだ」と思いました。

中澤 ハハハハハ。

田臥 だから、それぐらいになんなきゃダメだなと思って、僕も同じ道をたどっていますよ。

――え?

田臥 呼ばれないし(笑)。

一同 (笑)

田臥 お酒も飲まないですし、もともと後輩を連れて「行くぞ!」というタイプでもないのですが、中澤さんとご一緒させていただいてから「自分もこれでいこう」と思いました。影響を受けています。

中澤 間違ってますね(笑)。

――田臥さんも中澤さんを見て吹っ切れたということですよね。それまではちょっと悩んでいたけど。

田臥 そうです。吹っ切れることが大事だなと思いました。

中澤 本当にやめた方がいいですよ。おいしいものをいっぱい食べてください(笑)。

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著者プロフィール

異例の超ロングインタビューで選手や関係者の本音に迫るバスケ本シリーズ『ダブドリ』。「バスケで『より道』しませんか?」のキャッチコピー通り、プロからストリート、選手からコレクターまでバスケに関わる全ての人がインタビュー対象。TOKYO DIMEオーナーで現役Bリーガーの岡田優介氏による人生相談『ちょっと聞いてよ岡田先生』など、コラムも多数収載。

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