連載:渋野日向子、全英女子オープン連覇の可能性

渋野日向子が挑む全英女子OP、攻略法は? 岡本綾子プロ「我慢すればチャンスある」

小川朗
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昨年、全英女子オープンを制した渋野日向子。今年もこの笑顔が見られるか? 【Getty Images】

「Go back to school!」(出直してこい!)

 1984年10月7日。地元紙の1面にこんな見出しが躍った。

 今から36年前。渋野日向子が昨年優勝した際に使ったホールは違えど、同じウォーバーンGCで行われた全英女子オープンで岡本綾子が優勝を飾った(当時はデュークス・コースを使用)。しかも2位に11打差という大差をつけて……。翌日、地元紙はふがいない岡本以外の選手たちに「学校に戻って一から勉強し直してこい!」と、痛烈な批判を投げかけたわけだ。

 惜しまれるのは、この大会がメジャー昇格前だったこと。のちに全米女子プロ選手権の会場となるワシントンDC郊外のベセスダGCや、デラウエア州ウィルミントンのデュポンCCでも、岡本は優勝を飾っている。岡本にはこうした「早すぎた優勝」が多い。

 そこで岡本本人に、全英でぶっちぎり優勝を演じた当時の記憶を呼び起こしてもらったのだが、どうにも歯切れが悪い。

「30年以上も前の話だから……。あんまり覚えていないのよ。とにかく寒かった。毛糸の帽子をかぶって、カシミヤのセーター2枚重ね着していたのは覚えています。この間、試合中でプロショップで買ったカシミヤのセーターが出てきた。それで分かったのは、当時の私が今と比べてやせていたこと(笑)」

リンクスではあきらめない姿勢が大事

1984年、メジャー昇格前の全英女子オープンで優勝を果たした岡本綾子プロ 【Getty Images】

 36年前の全英女子オープン覇者に聞いたのは、思い出話だけではない。主要テーマは、8月20日に開幕する今年の全英女子オープンについてだ。話は今年のコースの解説から始まった。

 84年の岡本と昨年の渋野が優勝した開催コースはインランド(内陸部)にあるが、今年のロイヤル・トルーンGCはスコットランドの代表的リンクスコースのひとつ。ゴルフ場の持つ性格は全く違う。

「内陸部のコースだとアップダウンもあって、アメリカのオハイオあたりの芝と似たところもあるけど、リンクスの芝は別物」

 同じ英国でも、渋野は昨年とはまったく違う芝に対応する技術が求められる。

 リンクスとは海沿いに作られたコースだが、渋野は今年、潮風が強く吹く中でプレーをすることになる。リンクス特有のこぶだらけのフェアウエーのどこにボールを置くのか。
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著者プロフィール

1960年山梨県甲府市生まれ。甲府一高→日大芸術卒。82年東スポ入社。「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女のメジャー大会など通算300試合以上を取材。その中には岡本綾子が11打差で優勝した1984年の全英女子オープンも含まれる。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任。退社後はフリージャーナリストとして週刊誌、ニュースサイトなど各方面に執筆中。(株)清流舎代表取締役COO。東京運動記者クラブ会友。日本ゴルフジャーナリスト協会会長。

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