連載:壁を乗り越える女子プロゴルファーたち

開幕戦で見事な復活劇を見せた渡邉彩香 4年前に逃した五輪代表の座も諦めない

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今年の国内女子ツアー開幕戦で5年ぶりの優勝を手にした渡邉彩香 【Photo by Atsushi Tomura/Getty Images】

 日本女子ツアー屈指の“飛ばし屋”の復活を、ファンも待ち望んでいたに違いない。国内女子開幕戦「アース・モンダミンカップ(6月25日〜29日カメリアヒルズカントリークラブ)」で、渡邉彩香が昨季の賞金女王・鈴木愛とのプレーオフを制し、5年ぶりの優勝を手にした。2016年、リオ五輪代表の座を最後まで争った渡邉は、プロとしての自信を取り戻し、新たなステージへと再び歩みはじめた。もちろん東京五輪も視野に入れて―――。

一番の武器であるドライバーがどこに飛ぶかわからない

――渡邉プロは、ツアー参戦2年目の2014年に初優勝、翌年には年間2勝を挙げ賞金ランキング6位と躍進しました。ただ、翌年以降優勝から遠ざかり、2018年にはシード権を逃してしまいます。この間、何があったのでしょう?

 リオ五輪の代表の座を争っていた2016年の夏頃までは、前年からの良い状態が続いていました。でも、代表になれず、4年後の東京への意識が強くなった時に、「代表として出るからには、もっとレベルアップしなきゃいけない」と考えるようになりました。私はプロデビュー以来、ドライバーの飛距離を一番の武器にしていたのですが、試合で悔しい思いをしたり、失敗を経験したりするうち、当時は「もっとまっすぐ打てるようにしなきゃ」という気持ちが強くなっていたんです。そこから、“飛んで曲がらないショット”を追い求めるようになって、曲げたくないので以前のように振り切れなくなり、振り切れないから曲がるという負のスパイラルに入ってしまった感じですね。

――そして昨年はツアー参戦した2013年以降ではワーストの成績(賞金ランキング115位)となってしまいました。どんなゴルフをしていたのですか?

昨年はドライバーショットに不安を抱えていて思うような成績が残せなかった 【Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images】

 とにかくドライバーショットに不安を抱えていて、どこに球が飛ぶか分からない状態でした。だから、まったくゴルフにならなかったし、アンダーパーが出る気も全然しませんでした(苦笑)。良くなりそうな兆しもまったくなかったので、2018年と去年は精神的には本当にしんどかったなと思います。
――そんなどん底の状況から抜け出すために、何から取り掛かったのですか?
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著者プロフィール

早稲田大学卒業後、ゴルフ用品メーカー、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスのゴルフライターとして活動。これまでに男子の世界4大メジャーすべてを取材。著書に『スタイリッシュゴルフマナー&ルール読本』(PHP研究所)、訳書に『超一流ゴルファーに学ぶスランプからの脱出法』(日本経済新聞出版社)がある。オフィス・プレーゴ所属。

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