まるで漫画のような劇的展開 タイガーvs.松山、ZOZOの激闘を振り返る

北村収

タイガーのボギーで松山にチャンス

14番ホールでバーディパットを沈め歓声に応えるタイガー・ウッズ 【Getty Images】

 タイガーが残り7ホールで松山は残り6ホールで3打差。圧倒的にタイガーが有利な状態だったが、「自分がいきなりミスを犯して接戦になった」と12番でタイガーがまさかのボギーで2打差に縮まり、勝敗の行方はわかならなくなった。

 最初のキーホールとなったのは14番(パー5)。松山が1.5メートルのバーディチャンスにつけていた。これを沈めると1打差。「ヒデキのパットを見たかったので、セカンドショットをあえて遅らせた」とこのバーディパットを後組のタイガーは見つめていた。松山は下りの難しいラインを惜しくも外してしまいパー。その後タイガーが放ったセカンドショットはグリーンにまったく届かない位置に落下。松山がパーだった結果を見て、レイアップの選択をしたのだった。タイガーはこのホールを3打目でしっかりチャンスにつけ、「同伴競技者のパットを参考にして決めることができた」とバーディ。松山との差をスタート時の3打に戻した。

冷静に勝利への攻め方を貫いたタイガー

17番ホールでバーディパットを外した松山英樹 【Getty Images】

 16番(パー3)で松山がバーディを奪い、また差は2打差に縮まった。さらに17番(パー4)でもピン手前5メートルにつけてバーディチャンス。「自信を持って打ったがボール1個違った」とパットを外し、1打差にするチャンスを逃した。

 そして2打差のまま18番(パー5)を迎えた。松山はティーショットを右サイドのバンカーに入れてしまったが、「イーグルをとればワンチャンスあると思った」と選んだクラブは普通だったら持たない3W。スライスでの2オンを狙ったが曲がり切らずバンカーに。3打目も大きくオーバーしてしまい結局パー。攻め続けたがスコアを大きく伸ばすことはできなかった。

 一方でタイガーは最後まで松山の結果をみて判断し、優勝への組み立てを行っていた。「自分がセカンド地点にたどりついた時、ヒデキが3打目をバンカーからグリーンに乗せたことを知った。最後にパーをとれば(ヒデキがバーディ)でも優勝できると思った」とセカンドショットは無理せずレイアップ。終始2位の松山のプレーを確認しながら自身のプレーを選択し、勝利をつかみ取った。

 月曜日の残り6ホールで常にチャンスにつけていた松山は、「タイガーが落とすことはないと思っていた。伸ばせていればなぁ」と悔しがった。一方でタイガーは、「15番でこれを決めたら優勝だと思ったパットが決まらず、16番でヒデキがバーディパットを決めてその結果最後まで分からない試合となった」と振り返った。

 優勝会見の最後で、「日本に来るときはいつでも多くのファンがかけつけてくれる。日本のファンのような知識が深く、情熱的なファンの前でプレーするのは楽しい。また来年、この経験ができることを楽しみにしている」と語ったタイガー。大会前に、「自国でやることはすごく嬉しいし、勝ちたいという気持ちが強い」と話していた松山。今年の開催地は米国・シャーウッドとなったが、多くのファンが今年も2人の戦いが見られることを期待している。

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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