ソフトバンクは「ロボット応援団」が出現 各球団の無観客試合での取り組みは?

ベースボール・タイムズ
 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で開幕が延期されていたプロ野球が先月19日に始まり、今月10日からは観客を条件付き(最大5000人)で入れての開催に踏み切った。ここに到るまでNPB各球団は、それぞれが工夫を凝らした取り組みを行い、無観客試合を盛り上げてきた。

SNS上を騒がせたロボット応援団

PayPayドームの外野特設ステージには、ロボットのペッパーとスポットが出現。一糸乱れぬ応援で試合を盛り上げた 【写真は共同】

 その中で話題を集めたのが、福岡PayPayドームの外野特設ステージに登場したロボットたち。6月19日の開幕戦では人型ロボット「ペッパー」5台による応援だったが、7日の楽天戦では一気に20台に増え、さらに四足歩行型ロボット「スポット」20台も加わり、7回裏の攻撃前に球団歌「いざゆけ若鷹軍団」に合わせて一糸乱れぬダンスを披露した。
 この様子を見たファンは騒然となり、SNSを中心に「面白い」、「サイコー!」、「最先端ヒーロー」といったものから「シュールすぎる」、「怖い」、「キモい」というものまで意見がわたり、大盛り上がり。『パ・リーグ.com Lite』がツイートすると、福岡ソフトバンクの公式ツイッターも「本日のヒーローたち!(笑)」とリツイートし、斬新かつ未来感あふれる新たな応援スタイルを世間に提示した。

大型ビジョンを使用した、個性あふれる応援

 コロナ禍での新たな応援方法を素早く提示したのは、北海道日本ハムだった。3月のオープン戦からファンのメッセージ入りの応援ボードをスタンドに掲出。「エア応援歌」としてファンの『北の国から』、『チキチキバンバン』の歌声をチャンス時に流す試みも行った。そして6月19日のシーズン開幕後は、ファンに対して募集した球団公式歌『ファイターズ讃歌」の歌唱動画をイニング間に大型ビジョンで放映した。
 大型ビジョンを利用したファン参加型の「リモート応援」は他の球団でも実施され、オリックスでは、タオルやチャンスダンベルなどを使用した映像を流し、選手を後押しした。

新たな試み「リモート応援チケット」&「リモートチアラー」

 千葉ロッテでは、観戦証明書やユニフォームなどの観戦グッズの特典付きの「リモート応援チケット」を販売。同時に6月23日のホーム開幕戦からは、ヤマハ株式会社が開発したリモート応援システム『リモートチアラー』を試験的に導入。リモート応援チケット購入者がスマートフォンを利用して歓声や拍手をスタジアムの選手にリアルタイムで届けることができるようになった。

 ファンの間でも好評だった「リモート応援チケット」は、観客を入れる7月以降の試合でも販売されることになり、7月14日の日本ハム戦から8月2日の楽天戦までの計18試合を対象に追加販売されることになった。

阪神はNPB初の投げ銭を導入

 ロッテが実験的に導入した「リモート応援システム」は、セ・リーグ の阪神も採用。同時にファンから募集した応援メッセージ動画をまとめたオープニングムービーを甲子園のビジョンで放映し、選手との一体感を高めた。さらに阪神は、NPB初の試みとして、ネット決済を使った「投げ銭」システムを導入。応援する選手、好プレーをした選手に対して購入したポイントを直接贈ることができる投げ銭を贈ることができ、ファンとの新たな接点を提示した。

東京ドームを彩った「橙魂スタンドアート」

 YouTubeやインスタライブが好評を得ている巨人も、無観客開幕に合わせてファンの応援メッセージを大型ビジョンに表示。録音された声援やチャンステーマを場内スピーカーから発して臨場感を作り出した。その中で特に目を引いたのが、無観客のスタンドの美しさ。ジャイアンツのチームカラーであるオレンジ色の「橙魂ユニホーム」や黒色の「応援ボード」などを使って「橙魂スタンドアート」を作り出した。

無観客スタンドでドアラにホームランボール直撃!?

 ハプニングも発生した。6月26日にナゴヤドームで行われた中日対広島戦の4回表、広島の鈴木誠也が放った打球が、たまたまバックスクリーン横のカメラ席にいた球団マスコット・ドアラのすぐそばに着弾。間一髪、避けることができたが、「マジで危なかった。ちょっと狙われてる気がしました」とドアラ。ニュースなどでも取り上げられ、球団がYouTubeで映像を公開すると、ファンから「無事でよかった」と優しいメッセージを送られる一方、「流石ドアラさん!もってますね!」、「何回見ても面白い」と愛のあるイジリを受けた。
 ここで紹介しなかった球団でも、趣向を凝らした様々な試みを実施し、「無観客」というかつてない状況下での試合を盛り上げた。そして今後は、「ウィズ・コロナ」の下で徐々にファンを球場に迎え入れ、ペナントレースを盛り上げて行くことになる。だが、この期間に生まれた新たな手法は今後も生かされ、形を変えながらも継続されて行くことになるだろう。新たなプロ野球の楽しみ方が生まれることによってファンが増え、日本球界が発展することを、強く望みたい。
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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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