アスリート人生を支えた知られざる名言 水中vs.水上のアスリート対談VOL.2

構成:スポーツナビ
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提供:BOATRACE

「頑張るということは、もうダメだと思った時からが始まりだ」

DJケチャップ じゃあ誰から行こう、さっき寺川さんから行ったから松田さんから行こう。

松田 これいくつか思い当たってるのがあるんですけど、言葉自体に力があるものか、その言葉にストーリーがあるものだったら、どっちがいいですか?

菊地 それ、どっちも聞けないですか?

DJケチャップ そうよね、どっちも聞かせてくれたらいいよね。

寺川 丈志、すごい前に台本もらったでしょ。

松田 違うよ、もらってないよ(笑)。

【スポーツナビ】

松田 同じ競泳選手の中村礼子選手(アテネ・北京オリンピックの200m背泳ぎ銅メダリスト)。寺川さんの背泳ぎの大先輩ですけど、大事にしている言葉を聞いたときに、「ほーなるほどなぁ」って思ったことがあるんですよ。「頑張るということは、もうダメだと思った時からが始まりだ」っていう言葉を中村礼子さんが大事にしているって言ってて、それ聞いたときに「うわ、水泳の練習はマジでそれだな!」って思いましたね。

DJケチャップ へー、なるほど。

松田 要は、きつくなってきてからが練習なんですよ。水泳の練習って。

DJケチャップ はい。

松田 そこまではウォーミングアップみたいなもんで、そこから頑張らなきゃいけないんだっていうのをすごく表しているなって思ってたんで。人から聞いた言葉で結構インパクトがあったのはその言葉ですね。

DJケチャップ だからその言葉が残ってて練習にも強く、また(競技に)臨めたってことですもんね、気持ち的に。

松田 そうですね、きついときって自分だけが苦しいと思いがちじゃないですか、人間って。だけど中村礼子さんがその言葉を大事にしているって聞いたときに、「あーやっぱりみんなそんな気持ちで頑張っているんだな」っていうのをすごく思ったなっていう。

DJケチャップ なるほど。

【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

松田 自分の話になっちゃうんですけど、リオの800mフリーリレーで銅メダルを獲ったんですけど。あの銅メダルがこの言葉なかったら多分取れなかっただろうなって、思っている言葉があって。

DJケチャップ それ、最初から聞きたいやん。

松田 予選が終わったあとに、5位だったんですよ日本が。それで「おい、ちょっと大丈夫かよ? 日本チームメダル獲るとか言ってたのに」みたいな雰囲気が、身内にも周りにも流れたんですよね。その時に、僕が江原(騎士)選手と小堀(勇気)選手に言ったのが、「とにかく2人で3秒上げろ」って言ったんですよ、タイムを。

DJケチャップ これ寺川さん、3秒ってなかなかの数字じゃないですか?

寺川 ありえません! 3秒って、体まるまる一つ以上なんですよ。

松田 そう。それで僕、結構それを言うか言わないか迷ったんですけど。江原選手と小堀選手ってそんなにスタミナがあるほうじゃないんですよ、実は。なので、僕予選からアンカーだったんで、前の2人に「予選ちょっと余裕もって泳いでいいよ」って言ったんですよ。「最後に俺が調整するから」って、ちょっとこうかっこつけて先輩っぽいことを言ったんですよね。そしたらその2人が結構ゆっくり泳いじゃって、僕予選から全力で泳いだんですよ。「もうこれやばい」ってなって。それで、5位通過だったんですけど、正直なところを言うと予選で全力で泳いでるんで、自分のタイムが見えちゃったんですよ、多分決勝もこれくらいだっていうのが。よくて予選と同じタイムっていう感覚を、自分で感じちゃったんですよね。だからそれを正直に言って、「俺もうたぶんこの記録とほぼ一緒だと思う」って。予選から全力で行ったんで、「(決勝でタイムが)上がることはほとんどない気がする」って自分で正直に言って。だから「お前ら2人で3秒上げてくれ」って言ったんですよ。そしたら実際に萩野(公介)選手が1秒上げて、江原選手と小堀選手で3秒上げて、トータル4秒上がって、それで銅メダルに滑り込んだんですよね。

DJケチャップ ほーーー!

松田 だから、あれは言ってよかったなって、今でも思っている一言かなっと思って

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