Bリーグ新チェアマン島田慎二は何者か? 高校はサッカー部「選手権に出たかった」
ギリギリ若いつもりでアグレッシブに
「アグレッシブにやっていくので、応援してください」と話す島田新チェアマン 【スポーツナビ】
こういうときだからこそ、攻めていかなければダメだと思うんです。観客を満員にしてチケット収入を上げる……。スポーツビジネスのセオリーはそうなっていたわけです。でも否が応でも新型コロナウイルスでお客を入れられない、もしくは制限付きの入場となっています。
ソフトバンクさんがパートナーなので、そのテクノロジーを使った観戦体験ができることを今考えています。それが良い悪いでなくチャレンジをしないと、新しい価値を提供できない。やらざるを得ないのでやる。1年、2年で形になって、さらにお客さんが入れられる状況になれば、ハイブリッドでさらに強固な経営になるはずです。だからこそこの機会を利用して攻めたいなと思っています。
クラブの財務基盤が傷んでいるところの手当はしっかりやりますけれど、攻めと守りのバランスに尽きますね。ただどちらかというと「攻撃は最大の防御」くらいで、むしろ攻めていくくらいの気持ちが必要かなと。資金的な手当も広義の守りかもしれないけれど、攻めのつもりです。
――「こういう人間と仕事をしたい」「Bリーグにはこういう人材が必要」といったお考えはありますか?
基本的に誰とでもうまくやっていけるのが、私の売りです。誰とでもやっていけますというのがベースにありつつ、2年前にここにいたので、リーグの人たちの人柄や能力は大体分かっています。基本的に優秀です。Bリーグ、Bマーケティングのスタッフたちは優秀な人が多い。人材について不安はなくて、私がリーダーとして正しくやっていれば十分やれると今は見ています。
――Jリーグは過去5名のチェアマンのうち3名がクラブの社長経験者です。一方で公平性を懸念するバスケファンの声を目にします。島田さんのように直前までクラブ経営者だった人がリーグのトップを務めることをどうお考えですか?
それぞれの見方だし、状況によるのかなとは思います。(異論を)あまり気にはしていません。ただ私は「クラブの成長なくしてリーグの発展なし」を合言葉にいろいろな発信をしています。クラブが良くならないとリーグも良くならない。リーグが良くならなければバスケ界も良くならない。それが私の思想です。
川下の、エンドユーザーを捕まえているクラブの意志が分からなければ、顧客ニーズを捉えられない。それは当たり前の話です。クラブに関わっていた人がリーグのチェアマンになることについて、ポジティブな部分はあっても、ネガティブなことは基本ないと感じています。
――ジェッツの会長退任はすでに発表されていますが、他の兼務も原則として解いて、Bリーグのチェアマンに全力を注ぐということで大丈夫ですか?
はい。それはお約束します。
――ファン、クラブとの向き合いはいかがですか?
ファンと飲み会をしたり、ファンと近いところでやってきた経営者なので、ファンの思いもダイレクトに感じてきました。ジェッツの会場でもいろいろな方が声をかけてくださるので大変ですよ(笑)。「おう」「よろしく」とやっているので、全国を回ってもそういうノリで行くと思います。一瞬真顔だと怖いかもしれないですけれど、遠慮なく声をかけてください。
ただファンと向き合いたいというのはありつつも、クラブをサポートするために行政、トップスポンサー、株主との交わりが大事で、ウイークデーにビジネス現場でサポートすることのほうがミッションとして大きいかなと考えています。
――ファンへのメッセージをお願いします。
ジェッツで何かを判断するときは狙いや理由をオープンにして、それがファンとの信頼関係にもつながっていました。立場は変わりますけれど、同じようにしていきたいと考えています。いろいろなことをオープンにしたいし、SNSも有効活用するチェアマンでいようとも思っています。自分の言葉で語っていきますし、何かレギュレーションを決めたときも「こういう思いでやっています」と出したい。
みんなのいい接点ってなかなかないし、ここを取ったらここの人が不満……となる現実はあります。でも「なぜこれを選択したか」と考えを伝えることが大切です。
それは出さないでという部分もあるかもしれないですけれど、基本的にはいろいろなものをディスクローズ(開示)して、決断の是非の前にプロセスを明るみにしたい。理解して応援してもらえるような、丁寧な向き合いをしていこうと思っています。
49歳で「四十代チェアマン」はサッカーでもバスケでも初めてですね。もうすぐ50歳ですけど、ギリギリ若いつもりでアグレッシブにやっていくので、応援してください。