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川島永嗣  耐心力
W杯セネガル戦は完全に自分のミス
迷惑かけた翌日、西野監督と交わした言葉

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第2回

セネガル戦での失点。悔しさよりも"申し訳ない"という気持ちが先行していた
セネガル戦での失点。悔しさよりも"申し訳ない"という気持ちが先行していた【Getty Images】

 第2戦で対戦するセネガルについては、個人的に「グループリーグで最も強い相手」という印象があった。


 世界的にも注目を集めたサディオ・マネだけでなく、単純に圧倒的なスピードを武器とする選手が複数いるだけで脅威だ。例えば、僕らとの試合では途中出場だった9番の選手(マメ・ビラム・ディウフ)のスピードは、実際に体感してみて驚くほどだった。


 セネガルの映像を見る限り、「ブロックを作ってカウンターを狙う」戦い方が彼らの特徴だった。僕らがそう分析してくるとわかっていたからこそ、あの日のセネガルは逆にアグレッシブなハイプレスを仕掛けて僕らの意表を突こうと考えたのかもしれない。実際、立ち上がりの時間帯はセネガルの勢いに圧倒され、押し込まれる時間が続いた。

 失点が生まれたのは11分。あれは完全に自分のミスだった。


 日本の左サイドからクロスが上がり、元気のバックヘッドのクリアが12番(ユスフ・サバリ)の足元に落ちた。僕はシュート体勢を作ろうとする相手の動きに合わせて腰を落とした。ほとんどフリーの状態であったこと、さらにキックのモーションを見て「強打が来る」と判断し、両手で拳を作った。ところが実際に飛んできたシュートは当たり損ねのユルい弾道で、逆に不意を突かれて拳の“正しい位置”でボールを捉えることができなかった。その結果、パンチングで弾いたボールを自分の目の前にいたマネの足に当ててしまった。


 明らかなミスだった。試合が2-2のドローで終わったことで、個人としては本当に救われたし、チームとしては決勝トーナメント進出に望みを繋ぐことができた。

申し訳ない気持ちでいっぱいだった

 ロシア大会を通じて、西野さんの“勝負師”としてのキャラクターは見ている人にも伝わったと思う。


 普段からそういう雰囲気を出しているわけじゃない。ただ、何度も口にしていた言葉があった。


「強気で行け」


 コロンビア戦については、「『最低でも1-1でOK』ではない。もし1-1の状況なら『絶対に2-1にして勝ち越す』という強い気持ちを持って戦え」とかなり強調していた。セネガル戦もそうだった。


 監督のタイプとしては、それほど口数が多いほうではない。はっきりとした意志を持っているけれど、それによって選択肢を限定することはなく、「こういうやり方もある」と可能性を広げる。


 個人的には、西野さんの就任以来、それほど多くの言葉を交わしたわけではなかった。でも、信頼してくれていることは強く感じていたから、申し訳ないという気持ちでいっぱいだった。チームが生まれ変わったことで誰よりも大変な思いをしていたのは西野さんだったに違いない。ああいう形でチームの指揮を執ることになったにもかかわらず、結果を出すために重大な決断をいくつも下さなければならない。そんな状況を理解していたからこそ、信頼して使ってもらっている自分は「少しでも支えたい」と思っていた。その気持ちとは裏腹に、迷惑しかかけていなかった。

川島永嗣

1983年3月20日生まれ。埼玉県出身。浦和東高校卒業後、大宮アルディージャに加入。名古屋グランパスエイト、川崎フロンターレを経て、2010年にベルギー1部のリールセSKに移籍。11年から2年連続でチーム年間最優秀選手に選ばれる。その後、同1部の名門スタンダール・リエージュやスコットランド1部のダンディー・ユナイテッドを経て、16年にフランス1部のFCメスに移籍。日本人GKとして初めてヨーロッパリーグ、チャンピオンズリーグ予選に出場。18年8月、同1部のRCストラスブールに加入。W杯は、10年南アフリカ、14年ブラジル、18年ロシアの3大会連続で出場し、日本代表のゴールを守った。受賞歴は、09年Jリーグベストイレブン&フェアプレー個人賞など。英語・イタリア語・フランス語など、複数言語を話すことができる。185センチ、74キロ。

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