井川慶が不惑で描く最後のロードマップ「体が動く限り、僕は現役であり続ける」

沢井史

井川慶が考える、現役生活の幕引き

井川は昨年4月30日の甲子園でのセレモニーに参加。変わらない投球フォームを見せた 【写真は共同】

――井川選手と同じく米国でプレーした松坂大輔投手は、今季から古巣の埼玉西武で復活を遂げようとしています。井川選手もいずれは阪神に復帰して投げたいという思いはありますか?

 僕が復帰するのは厳しいと思います。今のNPBのレベルは知っていますから。松坂君は器用な投手で、ボールを動かしたり投球スタイルを変えることができるけど、僕にはなかなかできません。それよりも、僕自身の投球スタイルをどこまで維持・継続できるかを大事にしたいです。

――同じ左腕の大先輩・山本昌さん(元中日)は50歳まで現役を続けましたが、意識することはありますか?

 山本昌さんは特別ですよ(笑)。考えられないです。僕がオリックスにいた頃、ウエスタン(・リーグ)で中日と試合をするときは、(帯同していた山本昌さんの)アップの様子を見ていましたが、本当にすごいです。技術はもちろんですけれど、体の強さもないと、あれだけ投げられません。

――井川選手のこの2年間は、実戦のマウンドに立つことを目指して、反復練習の繰り返しです。モチベーションを維持するために、意識していることはありますか?

 ドリームマッチなどのイベントで投げる機会が結構あるので、そこを目標にやっています。タイガース時代のファンの方から声援をもらうことも多くて、すごくありがたいし励みになります。みんなに、僕の元気な姿を見せたいです。

――井川選手は今年、どのような1年にしたいですか?

 今の僕には特定のチームに所属してプレーできるほどの力はないので、まずは1シーズン投げられるよう力をつけて、来季につなげていきたいです。実は(チームから)声をかけてもらったことはあるのですが、そこで投げられるレベルに達していないと判断したので、断っていたんです。投手として投げる以上、若手に見せられるレベルにならないといけないと思うので。

 まずはそのレベルにまで到達することが、今年の目標です。公園で練習していると、プロでなくても高い意識を持って走っている人や、毎日懸垂などのトレーニングをやっている人を見かけます。そういう人の姿は刺激になります。来季、投げられるようになれば、その1年間を満足のいくシーズンにして、現役を終えたいです。

(企画構成:株式会社スリーライト、撮影協力:北新地Minority)

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著者プロフィール

大阪市在住。『報知高校野球』をはじめ『ホームラン』『ベースボールマガジン』などに寄稿。西日本、北信越を中心に取材活動を続けている。

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