【#STAYHOMEのすすめ】スタンフォード式・西野精治教授に聞く「健康的な睡眠を整えるためのポイント」
【写真:アフロ】
たとえば、日本人には入浴という習慣があります。入浴すると体温が上がるのではないかと思われますが、体温はいったん上がったら、その後に下がる性質があります。身体が高温になると、危険だから熱を逃がそうとする動きがあるのです。40度のお風呂に15分入った場合、体内の温度は約0.5度上がります。お風呂から上がって90分ほど経つと、入浴前よりも体温が下がります。そのタイミングで寝れば、寝つきも良くて入眠直後に深い睡眠ができるのです。
普段はシャワーで済ませたり、それほど長くお湯に浸からなかったりする人もいるでしょう。ただ、それでは睡眠に対する大きな効果が期待できません。外出自粛やリモートワークによって、家で過ごす時間が増えているかと思います。今の時期こそ余裕を持って、ゆっくり湯船につかるようにしてみてください。
【写真:アフロ】
健康な睡眠というのは、入眠してから最初に深い睡眠、つまりノンレム睡眠をとることです。個人差や日によっても異なりますが、そこからノンレム睡眠の状態が90分ほど続きます。その後に少し、浅い睡眠であるレム睡眠に入り、この周期が明け方まで4〜5回繰り返されるのです。明け方になるころにはレム睡眠の時間が長くなっていきます。つまり、入眠後のノンレム睡眠で睡眠の重要な機能をほとんど果たし、明け方はどちらかといえば起きる準備をしていると考えても良いと思います。
さまざまな原因によって、この健康的な周期が乱れてきます。代表的なものが、睡眠時無呼吸症候群。眠ったら呼吸が止まってしまうので、そのたびに覚醒反応が起きます。そういった人たちは最初に深い睡眠がとれないので、明け方になっても深い睡眠に入ろうとしています。睡眠不足の場合も同様です。睡眠不足になると、明け方でもやはり眠たくて深い睡眠に入ろうとするので、なかなか朝起きられなくて頭もすっきりしません。
また、睡眠は免疫機能だけでなく、記憶の定着や自律神経、ホルモンにも影響があります。おそらく成長ホルモンのためでしょうが、日本では「(22時〜深夜2時の)シンデレラタイムに寝た方が良い」と言われることがあります。しかし、それは大きな間違い。何時に寝るかどうかではなく、とにかく深い睡眠に入ることが重要です。
深い睡眠のためには、やはり規則正しい生活を送ることが第一でしょう。そうすれば入眠時に最適な状態に持っていくことができます。
西野教授からのメッセージ
睡眠は根本的な生理現象ですが、非常に個人差があるもの。自分が良いと思った習慣でも、他の人に合うかどうかはわかりません。「ポジティブルーティン」と呼んでいますが、自分が良かったことは覚えておきながら、いろいろ試してみて良かったことを続けることが大切なポイントでしょう。
(取材協力:Viibar/オルタスジャパン)