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心を整える。
『変化に対応する』
W杯直前の戦術変更 迷い吹き飛ばした名言

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第9回

南アフリカW杯直前の親善試合、日本は韓国に敗戦。会場からはブーイングが飛んだ
南アフリカW杯直前の親善試合、日本は韓国に敗戦。会場からはブーイングが飛んだ【写真:アフロ】

「正解はひとつではない」


 僕は何に対しても、固定観念にとらわれないように注意している。正解を決めつけてしまうと、自分が知らない物の見方や価値観に対して、臆病になってしまう可能性がある。自分の殻に閉じ込もってしまわないためにも、正解はそのときどきに応じて変わるものだと考えるようにしている。


「考えは生き物。常に変化していい」


 しかし頭では分かっていても、実際に自分が変化に直面したとき、それを受け入れて実行に移すのは簡単なことではない。ワールドカップにおいて、僕はそのことをあらためて痛感させられた。

 大会の開幕約2週間前のことだった。


 5月24日、日本代表は埼玉スタジアムで韓国代表と親善試合を行なった。日本を発つ直前の壮行試合であり、スタジアムには約5万7000人のお客さんが駆けつけ、声援を送ってくれた。


 ところが僕たちは韓国のアグレッシブなプレーに圧倒され、ホームなのになかなかチャンスを作ることができない。結果は0-2──。スタンドから大ブーイングが起こったのも、当然だった。


 この試合において、僕たちには「戦う気持ち」が欠如していた。もしかしたら大会のメンバーに選ばれて、どこかほっとした気持ちがあったのかもしれないが、それは言い訳にすぎないだろう。


 このままではまずい。選手同士で本音をぶつけ合う場が必要だと感じた。


 日本を発つ直前、僕はチームキャプテンの能活さん(川口)に、こう切り出した。


「選手だけでミーティングをやりませんか?」


 能活さんによれば、すでに他の選手からも同じようなことを言われていたそうで、すぐにみんなに呼びかけてくれた。誰が言い出したかは重要ではなく、選手だけのミーティングが実行されることに大きな意味があった。


 そして、スイスのザースフェー合宿の2日目、選手全員がホテルの会議室に集まった。


 能活さんがまとめ役になって、一人ひとりが感じていたことを正直に話した。議論のメインテーマになったのは、どこからプレスをかけるべきか、という戦術的なことだった。

長谷部誠

1984年1月18日、静岡県出身。3歳でサッカーを始め、青島東小のスポーツ少年団、青島中サッカー部を経て名門・藤枝東高校入学。2001年の全国総体準優勝。2002年浦和レッズ加入。2008年にドイツ・ブンデスリーガへ移籍。翌年、ヴォルフスブルクにてリーグ優勝を経験。現在はアイントラハト・フランクフルトの主軸として活躍している。2018年にはドイツカップ優勝を達成。ワールドカップでは、南アフリカ、ブラジル、ロシアの3大会連続でキャプテンを務めた。日本代表のキャップ数は114。

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