
第6回

試合に負けて気分が沈んでいるときも、逆に試合に勝って高揚しているときも本を読むと心が落ち着く。
負けたあとなら、乱れた気持ちを整えてくれる。
勝ったあとには、浮わついた気持ちを抑制してくれる。
本を読んでいるときはその世界に入り込みたいので、誰にも話しかけられたくない。自宅のソファに座って、音楽を消して読む。チームの移動中に本を読むときはそうはいかないので耳栓をするか、もしくはiPodで読書の邪魔にならないようなリラックス系の音楽を聴いている。
幼少の頃から本に親しんできたわけではなかった。本を読み始めたのはプロになってから。きっかけは、とある先輩が移動中に本を読んでいる姿を見て、カッコいいなぁと思ったから……。プロサッカー選手というのは、長時間練習をするわけではないから、意外と空き時間が多い。そういう時間を有効活用するためにも、僕は本を読むようにしている。
浦和レッズ時代は東野圭吾さんや宮部みゆきさんといった人気作家の小説を読むことが多かった。ドイツに行ってからは哲学系の本が圧倒的に増えた。それはデール・カーネギーの『人を動かす』という本に出会ってからだ。ドイツではひとりでいる時間が増えて、よりサッカーや人生のことを深く考えるようになったからというのも関係しているだろう。とはいえジャンルを限定してしまうと自分の幅まで狭めてしまうような気がするので、今はいろいろなジャンルの本を読むようにしている。
ちなみに、ドイツではデュッセルドルフやハンブルクに行かないと、日本語の本は手に入らない。だから、いつも渡欧前の日本の空港でまとめ買いをする。機内持ち込みのスーツケースの半分くらいを本が占めてしまうこともある。
ただ、ワールドカップのときには空港でまとめ買いという思惑が外れてしまった。合宿地のスイスに向かうフライト時間が深夜で空港のお店が軒並み閉まっていたのだ!(当然ですが……) その時点で僕が持っていた本はたった3冊だけ。結局スイス合宿からワールドカップまでの約1ヵ月間、この3冊だけで過ごすことになってしまった。
そのうちの一冊が、『超訳 ニーチェの言葉』(ディスカヴァー21)だった。この厚い本をゆっくり読み込むことができたという意味では、逆に所有数が少なくて良かったかもしれない。
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