第2回:ウィザーズの舞台裏に迫る! 2Kゲームをテレビ中継することになった経緯、そしてeスポーツの可能性とは?

ワシントン ウィザーズ
チーム・協会

【ワシントン・ウィザーズ】

ワシントン・ウィザーズがお届けするインタビューシリーズ! 第2回目のゲストにはeスポーツのディレクター、アンドリュー・マクニール氏を迎え、NBA2Kのテレビゲームをテレビ中継することになった経緯、そして今後のeスポーツ界の可能性について語っていただきました。

「2Kゲームのテレビ中継はウィザーズのファンに共同意識を育んでもらいたいという思いから」

––– はじめに、ご自身のこれまでのキャリアについて、また、モニュメンタルスポーツ&エンターテイメントでの役割について少しお聞かせ願えますか?

モニュメンタルではeスポーツのディレクターを務めています。チームオペレーションと、われわれのeスポーツプロパティーであるNBA 2Kリーグの『Wizards District Gaming(ウィザーズ・ディストリクト・ゲーミング)』、ワシントン・キャピタルズのeスポーツに特化したサブブランド、『Caps Gaming(キャプス・ゲーミング)』のビジネスオペレーション、その両方を監督しています。2019年の夏にモニュメンタルに入る前は、テキサス州オースティンの『South by Southwest(サウス・バイ・サウスウエスト/SXSW)』でゲーム部門の責任者をしていました。

––– eスポーツにキャリアのチャンスを見いだし、今のような産業に発展すると感じられたのはいつですか? 子どもの頃からよくゲームをされていたのでしょうか?

ビデオゲームをしなかった時期などありませんね。1986年に父がセガ・マスターシステムを買ってきて、私の記憶にある限り、家にはいつもビデオゲームがありました。子どもの頃は友人たちと外でスポーツをして目いっぱい遊んでいました。テキサスの暑さから逃れる必要がある時は家の中でビデオゲームをしていました。学年が上がるにつれてバスケットボールをより高いレベルでプレーするようになりました。その中で練習や試合の合間のダウンタイムを埋めるのにビデオゲームはぴったりでした。

eスポーツをキャリアとして本格的に捉えるようになったのは2014年か2015年になってからです。SXSWにいた時に、スポーツとテクノロジーのインターセクションを中心としたプログラミングの立ち上げと実行を手伝ったことがあり、そのプログラムをまとめる際にeスポーツが産業的な主題となったことで、目にしたり聞いたりすることがどんどん増えていきました。モニュメンタルのような伝統的なスポーツ界の組織や人々がeスポーツに多額の投資を始めたのはこの頃です。そしてNBAが2Kリーグの創設を発表した時に「これはイケている。バスケットボールとゲームだ。2つとも大好きなものじゃないか!」と思いました。それからは、2Kリーグに関わることが自分のキャリアの次の必然的なステップだと考えるようになりました。

––– ウィザーズ・ディストリクト・ゲーミングでNBA 2Kリーグチームのオペレーションに関わった感想はいかがですか? NBAチームのオペレーションとの最大の違いは何だと思われますか?

私はNBAチームのオペレーションに深く関わったことはないので、それとウィザーズ・ディストリクト・ゲーミングとの最大の違いを話すのは難しいですね。ただ、言えるのはNBA 2Kリーグのチームと仕事をするのは非常にエキサイティングだということです。2Kリーグはとても若いリーグで多くの可能性を持っています。その成長に微力ながら役立てるというのはワクワクします。また、2Kリーグのチャンピオンシップを争えるチームのために自分の力を貸すことで、私の中にある競技者の血が騒ぐんですよ。本当に素晴らしい環境です。

––– この中断期間中にウィザーズは『NBC Washington(NBCワシントン)』と手を組み、2Kの試合をテレビ中継することになりました。このアイデアはどうやって生まれたのでしょう。以前からあなたのチームがお考えになっていたことなのでしょうか?

NBAとNHLのシーズンが中断されて以降、われわれが『NBC Sports Washington(NBCスポーツ・ワシントン/NBCSW)』の良きパートナーとなり、コンテンツの穴埋めのために短期間でできることはないかと考えているうちに事態は目まぐるしく動きました。私が覚えている限りでは、NBA 2K 20とNHL 20を使ってウィザーズとワシントン・キャピタルズのレギュラーシーズンの試合をシミュレートしてはどうかと最初に提案したのはモニュメンタル・スポーツ・ネットワークの戦略的イニシアチブSVP兼GMのザック・レオンシスだったはずです。両方のシーズン中断が決まった数日後、われわれはNBCスポーツ・ワシントンとの電話会議の中でそのアイデアについて話していて、それからすぐにNBAとNHL両リーグの選手会と、両ビデオゲームの開発者から話を進めるための承認を得ました。このシミュレーションを実現し、放送しようというモニュメンタルとNBCSWの完全な共同努力によるものです。

––– この新しいチャレンジを数試合が実施し、どのようなプラス面とマイナス面がここまでありましたか? 新コンテンツの成功の定義とは何でしょう?

一番のプラス面は試合がなくなってしまい、何か熱狂できるものを探し求める人々が多い中で、ウィザーズファンに楽しくてエキサイティングなアクションを提供できることです。これらのシミュレーションにおいて成功を定量化する基準などはなく、そうしたものは求めていません。私たちのファンに楽しみを与えたいというのが全てなのです。

––– 2Kゲームをテレビ中継することにどのような機会を見いだしていますか?

こうしてNBA 2Kのシミュレーションを放送することによって、特に機会を見いだすとか、探そうという意図はありません。ただ世界に一種の正常をもたらそうという思いから始まり、ウィザーズのファンに共同意識のようなものを育んでもらいたいと思ってのことです。

––– “スポーツファン”ではあっても、自身がゲーマーではない人々の関心を引くことの難しさというのはどのような部分なのでしょうか。

幸いにも、スポーツのビデオゲームというのは今やほとんど現実と違いがないほどリアルになりました。特にビジュアル的には、スクリーンで見るものと実生活でNBAを見るのとでほとんど変わりません。このリアリズムがシミュレーションの放送を可能にし、これらが本当のゲームデーであるかのようにソーシャルメディアを使ったマーケティングやメッセージングを可能にしたのです。このような時期でも、ファンがつながっていられる新たな方法を提供する機会を得ることができました。

––– 産業としてのeスポーツにはどこに最大のチャンスがあると感じられますか?

eスポーツのすごいところは、信じられないほど手頃なアクティビティだということです。身長も、走る速さも、力の強さも関係ありません。どこに住んでいようと、どんな人種で、どんな信仰を持ち、どんな性的指向でも関係ないのです。誰でもプレーすることができます。そのアクセシビリティによって数多くの人々を参加者としてだけでなく、視聴者として仲間に招待することができるのです。テクノロジーが進むにつれて、モバイルeスポーツも成長し続けることでしょう。そうすればさらに多くの人をこの産業に引き入れられます。

––– キャリアの中でSXSWのようなイベントに関わり、先頭に立ってトレンドをご覧になっていらっしゃいましたが、スポーツとエンターテインメントの経営に関わるようになった今、考え方はどのように変化しましたか?

イベントとしてのSXSWは常に発見とインスピレーションの連続でした。ですから、それが常に私のキャリアの基礎的一部だったのだと思います。そのために私はいつもトレンドを探し続け、新しいアイデアにオープンでした。私がeスポーツにプロとしての関心を向け、このような形でその産業に携わろうとした理由はそれが大きいと思います。

––– 日本のeスポーツ産業は成長中ですが、コミュニティーを成長させようとしている人々にアドバイスするとしたら何かありますか?

百聞は一見に如かず。私の経験から、それがeスポーツの最も効果的な戦略の1つです。じかにeスポーツに触れる人を増やせば増やすほど、多くの人々が可能性に目を開き、そこにある余地を理解することになります。大きなイベントでなくてもいいのです。草の根的なeスポーツイベントこそ、最も効率的な方法の1つです。ファンの情熱と参加者の競争力を人々が目にした時、そこから動き出すものなのです。
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著者プロフィール

アメリカプロバスケットボールリーグ・NBA所属のワシントン ウィザーズの公式日本語サイトです。監督、選手インタビューを含む試合前後のレポート、字幕付きオリジナルコンテンツも随時掲載。

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